JICAからの依頼で出前講座を行ったり(出前講座については「JICA伝え方講座」の記事を参照)、自らのオファーによる講演を昨年の11月から計5回行ってきました。対象は高校生および理学療法学生です。今日は、先日、講演に行った高校から生徒たちが書いた感想文が送られてきました。
その高校での講演は、私の中で、「きちんと伝わったかなぁ?」「興味がわく内容ではなかったかもなぁ?」「退屈だったかなぁ?」など、非常に不安と失敗感がありました。講演に行った意味が本当にあったのかという疑問、人前で話すことの難しさという課題、予想外の生徒の反応などで打ちひしがれていました。
しかし、生徒たちからの感想文を読んで、「行って良かった!」と思いました。伝えたかった事が伝わっていたと感想文から読み取れました。以下にいくつか抜粋します。
・自分は恵まれた環境なので勉強しようと思いました。
・しっかり勉強して、ちゃんと夢を叶える。
・話を聞けて考えが変わりました。
・今回の講演を聞いて、自分の世界が広くなった気がします。
・たくさんの人の役に立つ仕事の就きたいです。
・人を笑顔にさせられる仕事につきたいと思いました。
・英語と勉強して発展途上国を助けたいと思います。
・物をもっと大切にしないといけないと思いました。
・青年海外協力隊になりたいです。
・聞いただけではまだまだ分からないことだらけなので、自分の目でみて体験したいです。
・青年海外協力隊の人はいろいろな技術を持っていて、それを外国の人に伝えているのが凄いと思いました。
・専門の技術を持っていれば人の役に立つことができる。
出前講座をきっかけに、素行が良くなかった生徒が急に「勉強したい」と言い出した、という話を別の高校の先生からお聞きしたことがあり、私も生徒の心に響く何かを講演で残したいと思っていました。しかし、私にはそんな魅力ある経験や、伝える能力は持ち合わせていない、と少し自信をなくしていた所だったので、生徒たちの素直で前向きな感想文を読み、嬉しくなって涙ぐんでしまいました。
こういう活動、これからも積極的に行っていきたいと思います。そして、これからの日本を未来を担う若い人たち(私も若いですが)に、もっと勉強するきっかけを与え、勉強した事を人の役に立てるためのキャリアプランを立ててもらい、感謝される人になってもらいたいと願います。
青年海外協力隊(2011年~2013年、ドミニカ共和国)、国際緊急援助隊(2019年4月、モザンビーク)で理学療法士として活動しました。 一理学療法士が世界を舞台にできることとは何か?備えておく知識・技術は何か?青年海外協力隊のその後、緊急医療援助などを堅苦しく綴っています。 このブログを通して、同じ志を持つ人々、この道に進もうと考えている人々などと情報交換できればと考えています。よろしくお願いします。 また、世界理学療法連盟から配信されるニュースの翻訳も、当ブログで取り上げています。是非、ごらん下さい。
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2014年2月19日水曜日
2014年2月11日火曜日
2013年度JOCVリハネットセミナー(京都)
先日、京都にある佛教大学において、JOCVリハビリテーションネットワーク(以下、リハネット)のセミナーが開催されました。災害支援や災害ボランティアに関わった方の実践的な内容や、今まさに起きている現場の生の情報の報告があったり、JICA専門家(以下、専門家)としてミャンマーで人材育成をされた方の話など、非常に高度で内容の濃いセミナーでした。私は仕事の関係で少し遅れての参加でしたが、たくさん学ばせて頂きました。さらに帰国報告という形で発表までさせていただき、大変ありがたかったです。
まず、災害支援・ボランティアに関しては、新しい知識をたくさん知ることができました。その一つがCSCA-TTTというものです。(参照:Major Incident Medical Management and Support)
C: Command and Control 指揮と連携
S: Safety 安全
C: Communication 情報伝達
A: Assessment 評価
T: Triage トリアージ
T: Treatment 治療
T: Transport 搬送
どうしても、医療の分野の災害支援・緊急援助となると後者TTT(トリアージして治療を施し、搬送する)に目が行きがちになりますが、しかし、それらは前者のCSCAができていることが前提である、という事を学びました。言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、CSCA、つまりmedical managementに支えられてTTTができるのだと再認識しておくことは非常に重要だと感じました。そして、この当たり前のように聞こえるCSCAが非常に難しいtechnicalでpoliticalな仕事であることが分かりました。
managementに関して静岡県が開発したHUG(避難所運営ゲーム)が紹介されました。短時間に殺到する避難者をどのように誘導・配置するか、という避難所の運営を模擬的に体験するゲームだそうです。
また、リハネットが継続して行っている東日本大震災の被災者に対する援助で、「自立を目指さない支援」という形があるのではないか、という新たな気づきを共有させてもらいました。私は被災地でのボランティアなどを経験していないので、なるほど、とは思いながらもピンと来ないのが現状です。いつかリハネットを通じて東北でのボランティアに関われたらいいなぁ、と思います。
そして、専門家の方のミャンマーでのプロジェクトに関しては、「専門家だなぁ!!」という感想です。(JICA技術協力専門家について) ミャンマーでは理学療法士協会が設立されたそうです。あの時の(当ブログ「ミャンマー」の記事参照)PTさんたちが今、きっとミャンマーの理学療法界を引っ張っていっているんだろうなぁ、と思うと見に行きたい気持ちになります。
「専門家だなぁ!!」と感じたのは、やはり目標(上位目標、下位目標)をきちんと立て、そのためには何が必要で、何を実施して、成果をどの指標で測るか、など、細かくきちんとされており、それをしっかり実行されている所です。私が参加した青年海外協力隊も同様に、きちんと計画を立てて活動をするわけですが、「技術協力」の枠組みで派遣される専門家と違い、「市民参加」の枠組みで派遣されるので、正直なところ、成果を口うるさく要求されないのです。だからと言って、成果を出さなくていいわけではないのですが、専門家として選ばれて行くような優秀な人材ではない、というのが青年海外協力隊の実情です。
興味深かったのは、現地スタッフを教育し、教育を受けた現地スタッフが指導者となって、現地スタッフを教えていく仕組みです。これは、私もドミニカ共和国での活動の後半に行きついた方法で、専門家の方が同じ方法で研修をしているのを知って、嬉しくなりました。ただ、やはり専門家の方はすごいです。日本人専門家が現地スタッフを研修した場合の研修効果と、指導者となった現地スタッフが現地スタッフを研修した場合の研修効果を、研修前後の筆記試験の点数で比較し、差がないことを確認している点が、感動しましたし、今後の参考にしたいと思いました。
最後に私を含めた2名の活動報告でした。私はこれまでの発表や報告のようなレベルの高いことはしていませんが、これまでの青年海外協力隊とは違うことをしてきた、と思っているので、その点を報告させていただきました。日本にしかできない技術協力、ということで日本の技術を教えることの重要性と現地の期待度について、AKA博田法を例に報告しました。私は博田法を例に挙げましたが、日本の技術であればなんでもいいと思っています。
短期派遣を2度経験されたOTの方の発表も非常に勉強になりました。「治療者として譲れない所」を心の軸に持っていて、プロだなぁ、と感じました。また、やるべき点をチェックリストにして作成し、現地スタッフがどれだけチェックできるか、とさせてみると全然チェックできなかったが、活動後、チェックできるようになった、というのは、成長を目に見える形にしており非常にいい方法だなぁと思い、これもどこかで活用させてもらおうと思いました。
国際協力の経験が豊富な方の集まりの中で、これまでのどんなセミナーよりも得るものが大きかったと感じます。またそんな集まりの中で報告させてもらい、心臓が飛び出るくらい緊張しました。
今後のリハネットのますますの発展に、私も微力ながら協力していきたいと思います。関係者の皆様、ありがとうございました。
まず、災害支援・ボランティアに関しては、新しい知識をたくさん知ることができました。その一つがCSCA-TTTというものです。(参照:Major Incident Medical Management and Support)
C: Command and Control 指揮と連携
S: Safety 安全
C: Communication 情報伝達
A: Assessment 評価
T: Triage トリアージ
T: Treatment 治療
T: Transport 搬送
どうしても、医療の分野の災害支援・緊急援助となると後者TTT(トリアージして治療を施し、搬送する)に目が行きがちになりますが、しかし、それらは前者のCSCAができていることが前提である、という事を学びました。言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、CSCA、つまりmedical managementに支えられてTTTができるのだと再認識しておくことは非常に重要だと感じました。そして、この当たり前のように聞こえるCSCAが非常に難しいtechnicalでpoliticalな仕事であることが分かりました。
managementに関して静岡県が開発したHUG(避難所運営ゲーム)が紹介されました。短時間に殺到する避難者をどのように誘導・配置するか、という避難所の運営を模擬的に体験するゲームだそうです。
また、リハネットが継続して行っている東日本大震災の被災者に対する援助で、「自立を目指さない支援」という形があるのではないか、という新たな気づきを共有させてもらいました。私は被災地でのボランティアなどを経験していないので、なるほど、とは思いながらもピンと来ないのが現状です。いつかリハネットを通じて東北でのボランティアに関われたらいいなぁ、と思います。
そして、専門家の方のミャンマーでのプロジェクトに関しては、「専門家だなぁ!!」という感想です。(JICA技術協力専門家について) ミャンマーでは理学療法士協会が設立されたそうです。あの時の(当ブログ「ミャンマー」の記事参照)PTさんたちが今、きっとミャンマーの理学療法界を引っ張っていっているんだろうなぁ、と思うと見に行きたい気持ちになります。
「専門家だなぁ!!」と感じたのは、やはり目標(上位目標、下位目標)をきちんと立て、そのためには何が必要で、何を実施して、成果をどの指標で測るか、など、細かくきちんとされており、それをしっかり実行されている所です。私が参加した青年海外協力隊も同様に、きちんと計画を立てて活動をするわけですが、「技術協力」の枠組みで派遣される専門家と違い、「市民参加」の枠組みで派遣されるので、正直なところ、成果を口うるさく要求されないのです。だからと言って、成果を出さなくていいわけではないのですが、専門家として選ばれて行くような優秀な人材ではない、というのが青年海外協力隊の実情です。
興味深かったのは、現地スタッフを教育し、教育を受けた現地スタッフが指導者となって、現地スタッフを教えていく仕組みです。これは、私もドミニカ共和国での活動の後半に行きついた方法で、専門家の方が同じ方法で研修をしているのを知って、嬉しくなりました。ただ、やはり専門家の方はすごいです。日本人専門家が現地スタッフを研修した場合の研修効果と、指導者となった現地スタッフが現地スタッフを研修した場合の研修効果を、研修前後の筆記試験の点数で比較し、差がないことを確認している点が、感動しましたし、今後の参考にしたいと思いました。
最後に私を含めた2名の活動報告でした。私はこれまでの発表や報告のようなレベルの高いことはしていませんが、これまでの青年海外協力隊とは違うことをしてきた、と思っているので、その点を報告させていただきました。日本にしかできない技術協力、ということで日本の技術を教えることの重要性と現地の期待度について、AKA博田法を例に報告しました。私は博田法を例に挙げましたが、日本の技術であればなんでもいいと思っています。
短期派遣を2度経験されたOTの方の発表も非常に勉強になりました。「治療者として譲れない所」を心の軸に持っていて、プロだなぁ、と感じました。また、やるべき点をチェックリストにして作成し、現地スタッフがどれだけチェックできるか、とさせてみると全然チェックできなかったが、活動後、チェックできるようになった、というのは、成長を目に見える形にしており非常にいい方法だなぁと思い、これもどこかで活用させてもらおうと思いました。
国際協力の経験が豊富な方の集まりの中で、これまでのどんなセミナーよりも得るものが大きかったと感じます。またそんな集まりの中で報告させてもらい、心臓が飛び出るくらい緊張しました。
今後のリハネットのますますの発展に、私も微力ながら協力していきたいと思います。関係者の皆様、ありがとうございました。