2017年10月10日火曜日

【WCPT News】2017/10/2 偉大なる二人のデンマーク人から学ぶリーダーシップ

「Inger Brøndstedと申します。デンマーク出身です。」私がIngerと初めて交わした会話はこのように始まりました。その場所はWCPTヨーロッパ地域の総会で、彼女は代表者として意見をする立場でした。WCPT会合でのこのような出会いは今日に繋がっています。

アイルランド理学療法士憲章協会の代表を私が勤め始めた時、何をするにもナーバスになっていました。話すときは早口になってしまっていて、Ingerがこっそり優しくその事を指摘してくれました。

彼女は英語を母国語としない人のためにもっと配慮することを教えてくれました。それからは、WCPT会合で話をする時は、聴衆の中にいるIngerを見ながら、早口になっていたら合図をしてもらっていました。

Ingerはデンマーク理学療法士会の会長で、WCPTでは1999年から2003年執行部で働き、2003年から2007年は副会長を勤めました。

Ingerは先週、亡くなられました。彼女の死を受けて、私はもう一人の偉大なデンマーク人理学療法士、Johnny Kuhr (1957-2014)を思い出します。彼もデンマーク理学療法士会の会長を勤め、2011年から2014年までWCPTの委員をやっていました。Johnnyも私を優しく指導してくれました。

私の知る範囲では、Johnnyは驚くほど優秀で冷静沈着でした。記憶に鮮明に残っていることは、ブルガリアでの講演のことです。そこでの通訳が期待通りのものではなかったのです。スライドが多すぎたことは分かっていましたが、私は開催者に説明を求めようとしていました。Johnnyは私を呼び寄せ、そんなことしても何も変わらないから、とにかくこのまま続けて最善を尽くすことだ、と諭してくれました。

リーダーシップにはいろいろな形があります。この二人の偉大なリーダーのことを思い出していると、二人には直接この話をしたことがないと気づきました。二人からどれだけのことを学んだか、二人は知らないでしょう。私の成長の軌跡を人に話すことは多くなってきましたが、IngerとJohnnyに話すチャンスを逃してしまいました。

Drew DudleyはTEDトークで「毎日のリーダーシップ」という面白く興味深い話をしています。彼が言うには、リーダーシップは頑張っても手の届かない遠い存在のものだというイメージを自分達で作り上げてしまっているとのことです。

私たちは皆、おそらく知らないうちに他人の成長を促しているだろうと彼は考えています。しかし、私のように、成長のきっかけを与えた人と話をすることがないがために、自分自身の能力に気がつかないこともあります。

リーダーシップというのは様々な方法で行われます。リーダーシップとは大きな役割や出来事であると同時に、お互いを成長させる日々の行いでもあります。IngerとJohnnyはデンマークの優秀な理学療法士であると同時に、理学療法業界の世界的なリーダーでもあります。多くの人に影響を与えたきたことに疑いの余地はありません。

IngerとJohnnyはJim Collinsが示した「5段階のリーダーレベル」について、特徴を提示しました。貪欲で、何かおかしな時は自分自身の行いを見直すことができる、そして、上手く行っているときは、周りの人たちの働きを認めることができる、ということが挙げられます。

そのようなリーダーになろうと努力することで、私たちの人生や私たちが関わる人の人生をより良いものにしていけるでしょう。

2017年10月4日水曜日

【WCPT News】2017/9/25 学会参加は大きな転機 奨励金獲得者の声

ケープタウン大会に参加するための奨励金を得た理学療法士は、専門職としてのこれからや、患者治療において大きな変化があったことを喜んでいます。

今年のWCPT学術大会には2000人を越える参加者が集まりました。その中の18人にとっては特に、今後のキャリアに大きく影響するような経験をしたようです。

WCPTや南アフリカ理学療法協会(SASP)は共同で資金を集め、低所得国からの13人の参加希望者に出席チケットのプレゼントをしました。さらに、開催国の二人の理学療法士とSASPの三人のメンバーにも奨励金を用意し参加できるようにしました。

「奨励金のおかげで人間的にも専門職としても成長できたと聞き、非常に喜んでいます。」とProfessional Policy部門のTracy Bury部長が述べています。

「奨励金を得た個人の成長だけでなく、専門性の拡大や患者にもよい影響を与えます。学会参加というプレゼントの恩恵は他にも影響を与えています。」

エチオピア理学療法士協会のHailu Seifu Tsegaye会長は、学会参加した同僚が連邦保健省で報告した理学療法サービスと教育について注目しています。

「非常に優秀な理学療法士に出会うことができました。遠隔教育者としての役割を担うことで自身のキャリアを磨くヒントをもらいました。

他の国の基本方針や登録制度、またいかに質の維持をしているのか等についても学ぶことができました。学会で得た情報を用いて様々な貢献とサービスの質の向上ができるでしょう」と述べています。

筋骨格系の理学療法士としてネパールで唯一の養成校で教鞭を取っているNishchal Ratna Shakyaさんは自然災害時の人道的支援に関する討論セッションでパネリストとして参加しました。

「世界中の様々な優秀な人に囲まれて討論セッションで活発に参加することを、私は非常に誇りに思いました。倫理、権利、リーダーシップのセッションも私に大きな影響を与えました。低所得国でも高所得国でも同じように困難やチャンスがあるのだと知りました。このことは私の働きかたに直接的に変化をもたらすでしょう。

参加者の一人がネパールの教育と仕事に感銘を受け、コンタクトを取ってこられました。彼はフルブライト奨学金に応募し、ここで教育制度について取り組んだり研究を進めていきたいと考えているそうです。」

Corlia Brandt博士はスポーツや神経筋骨格系、およびウイメンズヘルスを専門とする南アフリカの理学療法士です。彼女は学会を次のように振り返ります。「一生に一度あるかないかの感動的で高度な内容を体験しました。世界の秀でた理学療法士たちを前に私は理学療法業界の礎を見たような気がしました。今よりも自分を高めてくれます。

臨床の面から言うと、専門が同じ臨床家とともに技術面でのプレゼンテーションができたことは、私にとって非常に幸運なことでした。学会に参加して研究や教育、臨床の様々な視点を得ることができました。そして、最も良かったことは個別に優秀な理学療法士と交流できたことです。」

ケープタウンで心身障害児に関わっているAnja Ottoは「WCPT学会は間違いなく今までの経験の中で最も刺激的なものでした。ここで得た知見やコネクションは生涯にわたり大切にします。」と述べています。

学生二人が幸運にも参加奨励金を得て、将来の進路を決める材料となる経験をしました。Stellenbosch大学三年生のLizaan Scheepersは夢が叶ったと言っています。

「奨励金を頂けるとメールで知り、夢が叶ったと思いました。この経験を一生大切にするでしょう。他では得られない大きな発見や新たな視点を世界中の理学療法士から学びました。

学会で学んだことを臨床に役立つように詳しくノートにまとめ、同級生と共有できるようにしました。理学療法士として私が成長していくにつれ、学会の内容がよりクリアになってくるでしょう。理学療法士の仲間入りをするのはとても楽しみです。自分がこの分野でいかに貢献していけるか挑戦していきたいです。」

ナイジェリアのBayero大学で教員をしているBashir Belloは、学会をこれまでの経験の中で最も素晴らしいものだったと言っています。

「学会では多くの全く新しい知識や技術を得ました。学会に参加しなければ決して得ることができなかったものです。私の人生は大きく変化しました。個人的にも専門家としてもこの学会は私に変化をもたらしました。」