2019年7月28日日曜日

REHUG 大規模災害リハビリテーション支援チーム本部運営ゲーム

本日、奈良県理学療法士協会・作業療法士会・言語聴覚士会の災害対策研修会に参加しました。熊本県理学療法士協会が熊本地震の経験をもとに作成した「大規模災害リハビリテーション支援チーム本部運営ゲーム」(REHUG)のファシリテーター養成のための研修です。
REhabilitation Hombu Unei Game

このゲームは、静岡県が開発した「避難所運営ゲーム」(HUG)から着想を得たものです。Hinanjo Unei Gameの頭文字で、研修会の中では静岡県のものもHombu Unei Gameと紹介していましたが、Hの部分は正しくはHinanjoです。

HUGやREHUGの存在は以前から知っており、気になっていたのですが、研修を受ける機会がなかなかなく、本日、念願のREHUG体験ができました。HUGの体験もいつかしてみたいと思っています。

さて、このREHUGですが、カードの束を1枚ずつめくりながら、そこに書かれているイベントにグループで対応していきます。8人~9人を1グループとして、内3人は調整本部、残りの5~6人は活動本部にいる設定です。調整本部は県庁等に置かれる本部、活動本部は被災地に近い病院等に置かれる本部です。

調整本部と活動本部でそれぞれ役割分担をして、提示されるイベントにどう対応するかを考え、ファシリテーターはより良い方向に話が進むようにお手伝いします。今回の研修で講師をされていた先生は、災害時の支援活動の経験はなく、研修等で学んだ内容をもとにやっておられたので、準備から当日のファシリテートまでかなり苦労されたことと思います。感謝です。

提示されるイベントは、実際に熊本地震で起こったことを基に作られているのが感じ取れるリアルな内容でした。各イベントにおいて、問いかけられている隠されたテーマがあり、それが何なのかファシリテーターはきちんと把握し、受講者に気づいてもらえるよう促していくことが大切です。

本部運営をゲームに落とし込んでいることから、細かい所で現実との乖離が発生しますが、それは「ゲーム」だからと割り切って行う必要があると感じました。しかし、ゲームとは言え、発生するリアルなイベント、人員の割振り、クレーム対応、物品管理、メディア対応など、かなり作りこまれているので、じっくりやると非常にためになると感じました。

災害支援の経験がない方には、馴染みのない用語もあり、例えば「福祉避難所への移動についての意向調査」というイベントがあるのですが、福祉避難所とはそもそも何なのか、について知っている人は今回のグループの中には講師の先生も含めていませんでした。私自身も先日受講したBHELPの研修がなければ、福祉避難所って何? となっていたはずです。

また「建設中の応急仮設住宅の視察」というイベントでも、先日のBHELPの研修で学んだ、入居前に手すりやスロープなどを設置することが災害救助法で費用を補ってもらうために必要な条件だと言うことも、グループ内で共有させてもらいました。

よくできたゲームですが、ファシリテーターの経験値によって受講者の学びは大きく変動するでしょう。私はこのゲーム、カードではなく、プロジェクターでスクリーンに映し出し、それを見ながらグループで考える、という方法の方が良いのではないかと感じました。解説者が一人、全体の進行も務め、ファシリテーターは各グループに入り、共に考えます。解説者はグループで考えが出た後、各イベントで投げかけたいメッセージを説明します。

ちなみに、REHUGのカードや付属資料は、熊本県理学療法士協会が1セット10000円で販売しているそうです。プロジェクターで行うにせよ、作成者への感謝と敬意を込めて、購入してみようかと考えています。