2019年11月24日日曜日

奈良盆地東縁断層帯地震

現在、奈良県では3日間の日程で、自主防犯・自主防災リーダーを養成するための講座が開催されています。内容はほとんど自然災害に関する事で、大学の偉い先生や、気象台の防災管理官、研究者、医師が講演をされます。今日はその2日目でした。3日目には防災士の資格取得試験が行われます。

今日は特に地震の話が多く、特に私が住む奈良県で危険な「奈良盆地東縁断層帯」や、それに関連して興味深い話がたくさん聞けました。

奈良には世界遺産や指定文化財などが数多くあります。現存する最古の木造建築である法隆寺は西暦607年に建立され、これまで大地震で破壊されることなく1400年以上経ちます。なので「奈良は1400年以上大きな地震が来たことがないから安全」と良く言われます。ですが、実際には1400年、エネルギーをため込んでいる、という事であり、安全という認識は間違っているようです。

奈良盆地東縁断層は1400年以上動いておらず、いつ地震が起きてもおかしくありません。またこの地震は単独で起こるのではなく、起こると南海トラフ巨大地震を引き続き起こします。奈良県全域が震度6弱以上になると推定されています。

そうなると古い家屋は倒壊、吉野川が決壊するば断水、道路の寸断による物流の停止、盛土は崩壊し新しい家屋も崩れる、ということになります。災害時にはイオンなどの大型スーパーは様々な市町村と物資支援の協定を結んでいますが、それでも多くの市町村と協定を結びすぎていて、実際問題、食料・水はすぐになくなると予想されています。

耐震性の低い神社や仏閣は倒壊し、文化財や世界遺産はほとんど毀損。さらに火災が起これば消失し、奈良は観光都市としての特徴を失うことになります。そうならないため、講師の先生をトップに奈良県は様々なアクションプランを策定していますが、やはり「そうは言っても、さすがにそんな被害は出ないだろう」という正常性バイアスが働き、他の平時の業務が優先され、後回しにされるようです。

「そんな事が起こっては大変」とは頭で分かっていても、解決策がなくどうしようもない、「それなら起こらないことにしよう」と思考を変えて、日常生活に戻る。講師の先生は、これが日本文化にある諸行無常だと言っておられました。

ハード面は想定以上の災害が来れば、どんなに備えても壊されてしまいます。最終的には、ソフト面の強化が重要で、自助・共助や、そのための訓練が欠かせないのだと感じました。

別の講師の先生は、講義を次の歌で締めくくりました。