世界作業療法士連盟(WFOT)がオンラインコース "Disaster Management for Occupational Therapists" を昨年から公開しています。作業療法士のための災害マネジメントコースです。作業療法士向けに作成されていますが、もちろん理学療法士でも学ぶことができます。
このコースでは、自分が架空の国際NGOにボランティアとして登録するところから始まります。その後、NGOの代表者からメールを受け取り、被災地ですでに活動しているボランティアのサポートをするように指示されます。被災地の状況や困っていることなどが提示され、それを見てアドバイスをメールで送るのが課題となります。
他のコース受講者が送ったメールも見ることができ、さらにそれにコメントしたりすることで議論もできる形式になっています。様々な視点の意見を参考にすることができます。
話は時系列で進んでいきますので、発災直後の支援から復興に至るまでの各ポイントで課題が出ます。コースに出てくる災害は、ウガンダの洪水被害、フィリピンの台風被害、中国の地震被害です。
参考図書として『Disaster and Development; An Occupational Perspective』が使われていて、「この本の第何章を参照してください」と所々で出てきます。WFOTの会員は30ドルで購入できるようです。アマゾン等では40ドルほどで出品されています。
ただ、99ドルの有料コースなので、少なくともこの本のその参照箇所くらいは、本を買わなくても分かるようにはしていて欲しいな、というのが感想です。私は災害を作業療法士の視点で見た書籍を他に知らなかったので、興味があり買いました。Part1の総論的な章は、英語の難易度がやや高く、読み進めるのが大変な感じです。Part2ではケーススタディーになっており、興味のある所から読み進めることができます。物語調になっていたりして読みやすい章もあります。
コースの最後には確認テストがあります。全部で17問の選択式で、正しい記述または誤った記述を選ぶ問題です。3問間違いでしたが、そのどれもが、オンラインコースでは取り扱われず、上記の書籍で取り上げられているトピックスでした。しっかり読んで、正しい解を導き出したいと思います。
何はともあれ、コースは無事修了しました。英語なので苦労する部分もありましたが、災害におけるリハビリテーションに関して、作業療法士の視点を学ぶことができたのは、「リハビリテーション専門職」と包括されるEMT内での立場からすると、非常に有益なものだったと感じます。