2012年7月27日金曜日

国際標準化

大阪工業大学
 日本には世界に誇る技術がたくさんあります。国内だけでも大きな市場ですから、外に目を向ける傾向があまりなかったせいか、世界に誇る技術も日本国内に留まっていることが少なくありません。平松幸夫氏(大阪工業大学教授)は「国際標準化は仲間づくりである」と述べていますが、この仲間づくりをする人材が日本には不足しています。ですから、日本の技術を国際的に標準化しようと思ったときに、他国へ提案しても、すでに別の標準で仲間づくりが行われていたり、拒絶反応を示されたりするのです。他の国を見ると、標準化に携わる人材の育成を長期的に行っているところが多いそうです。日本の企業では2年程度で異動があったりして長期的な人材育成ができない環境にあります。「日本は特許申請数では世界一なのですが、有効な特許が少ない」と言われるのも、この辺りが原因なのでしょう。
 現在、私は、日本発祥の物理医学の理論・技術「関節運動学的アプローチ(以下AKA)博田法」を海外でも普及させようと活動しています。ターゲットはスペイン語圏の約20か国の医師・理学療法士・作業療法士です。しかし、このAKA博田法は、日本が世界に誇るべき技術なのですが、日本で広く認められているかというと、そうではありません。AKA博田法の理論や技術が優れていることを知っている医療従事者は、その治療効果を目の当たりにし、肌で感じ取った人のみで、そう多くはありません。既存の技術を用いて働いている人で、AKA博田法を教科書や噂で聞いた程度の人にとっては、受け入れがたいものです。
 平松氏は国際標準化について「研究・開発の段階から、世界各国と共同することが望ましい」と述べています。これは国内での標準化でも同様でしょう。「研究・開発の段階から、関係機関と共同すること」、例えば、研究機関・教育機関・医療機関などと早くから連携し、仲間をつくることで、拒絶反応をなくすことができると思います。AKA博田法に関してはこれが不十分だったのではと考えます。
 昨日の日経の経済教室で平松氏は、開発には3つのステップがあると述べていたそうです。(参考→日本のガラパゴス現象を問う)1「要求条件の明確化」、2「要求条件を満たすための基本構造の設計」、そして3「技術開発」です。日本はこの3つのステップの内、最初の2つのステップを踏まないで、いきなり技術開発に入ってしまう、という話でした。AKA博田法も3つ目のステップにのみ心血が注がれたのだと思います。
 今後、AKA博田法を日本のみならず海外にも普及させるために、ステップ1、とステップ2について考え直し、長期的な人材育成を行い、仲間を増やしていきたいと思います。

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