2018年6月29日金曜日

【WCPT News】2018/6/28 各国のデータから世界の理学療法を読み解く

WCPTは重要な仕事の一つとして、世界の理学療法の現状を把握するために情報収集をしています。長年、WCPTメンバー組織から、各国の理学療法に関する規定や臨床状況、教育方法、就業者数などのデータを頂き、公開しています。

WCPTのCEO、Jonathon Kruger氏は「メンバー組織からの情報をまとめることで、今後も豊富で価値のある情報を提供し続けます。それにより、他国の状況などを参考にしながら、政策方針を決定したり、サービス提供の方法を考えたり、人材育成・教育について改革したりできるでしょう。」と述べています。

最新のデータは2017年中頃に102のメンバー組織から集められた情報に基づいています。各国の詳細や図表などを見てみると、理学療法士がどの国に多いかや地域差など、世界の理学療法の状況が一目で分かります。

注目すべき特徴をいくつか挙げると、以下のようなものがあります;

  • 理学療法士の71%が、国もしくは専門職団体による免許を受けている。
  • WCPTメンバー組織の78%が専門分化した関連組織を持っている。
  • 83の国で、国内学術集会等の会を開催している。

各国の状況を表したマップが2013年からの変化を見るのに役立ちます。ここをクリックするとそのマップが見られます。ダウンロードして印刷もできるのでご活用ください。

これに関してメンバー組織からよいコメントが寄せられています。

日本理学療法士協会
「このような分かりやすい形でデータを見ることができるので、アジア太平洋諸国での我々日本の立ち位置・特徴などが理解しやすいです。非常に便利だと感じます。」

コンゴ理学療法連合
「WCPT執行部に感謝申し上げます。我々の現状を把握することや、周辺諸国との相似点などを知ることができます。このデータを見て、我々はまだまだ自国の理学療法を発展させるために努力をしなければいけないと分かりました。」

2018年6月25日月曜日

【WCPT News】2018/5/29 WCPTーICRC 長期連携協定結ぶ

WCPTは国際赤十字委員会(ICRC)と、長期的協力関係を結ぶための覚書に署名しました。

WCPTのEmma Stokes会長は次のように述べています。

「これまで長きに渡りWCPTはICRCと協力して活動をしてきましたが、正式にこのような覚書を締結するのは初めてです。これにより正式な協力関係を築くことができましたので、理学療法が不足している国や地域の、より良い新たな未来の兆しが見えてきました。」

WCPTとICRCはこれまでも世界の理学療法や身体的リハビリテーションの発展に尽力してきましたが、 今後も共に卒前・卒後教育や各国の理学療法協会のサポートを続けていきます。

2011年からWCPTとICRCは様々な課題に共に取り組んできました。WCPTメンバー機関のない国での新たな理学療法団体の設立をサポートしたり、研修施設のカリキュラムや質の発展に働きかけたり、理学療法アシスタントを育成してサービス提供ができるようにしたりしてきたのはその例です。

2014年には「Health Care in Danger project」の活動でWCPTとICRCは共に仕事をしました。

WCPT-ICRC間の覚書により、WCPTの基本方針は広く知られるようになり、理学療法の質も改善するでしょう。また理学療法士やその関係団体の役割・責任は明確化され、ICRCとの協力関係は発展・促進されていくでしょう。

国際的な点では、この協力関係により、WCPTが情報をまだあまり持っていない国の理学療法が発展していくでしょうし、国・地域レベルでは質の高い理学療法サービスを促進するよう国内理学療法団体に働きかけることになるでしょう。また、研修や情報収集、人材関係などの特定の分野での協力も増えていくでしょう。

2018年6月23日土曜日

【WCPT News】2018/6/20 理学療法士によるグアテマラ支援

エクアドル理学療法協会の会員が、グアテマラで起きた火山噴火に対する人道的支援チームに加わり、理学療法の提供をしています。火山噴火により100人以上の死者と300人以上の負傷者が出ました。

エクアドル理学療法協会(SEF)の会長Daniel Wappenstein氏によると、2016年にコロンビアで起きた地震と土砂崩れでの支援経験が、今回の迅速な対応に繋がったとのことです。

Daniel会長は「 我々は地元スタッフと協力して火山灰により引き起こされる呼吸器障害に対して治療を行うことになっています。主に乳児や子供、高齢者が対象です。自然災害により多くの被害を残した国の人々へ、我々のチームは思いやりや包容力、責任感を持ってサポートに当たっています。」

理学療法士のDaniel Camino氏は人助けの気持ちが、この援助チームを結成させる大きな理由であり、理学療法が国内外で発展していくための要である、と述べています。「理学療法士は援助・支援を行うプロフェッショナルです。今後も立ちはだかる困難に対応し続けなければいけません」と語っています。

チームはエクアドルからの3人、コロンビアからの1人の理学療法士で構成されており、人道的支援モデルに基づいてSEFが組織しています。過去には22のエクアドルチームや1つのコロンビアチームを結成しています。このモデルはチリやペルーの災害時にも人道的支援に用いられました。
 
This story first appeared on REDACCIÓN MÉDICA, credit Jonathan Veletanga
Photo credit: Sociedad Ecuatoriana de Fisioterapia

2018年6月21日木曜日

【WCPT News】2018/6/15 学術大会参加費決定

WCPT最大のイベントである2019年学術大会の参加費が発表されました。オンライン登録は7月から始まります。

いくつかのWCPTメンバー機関から寄せられた意見を参考に、WCPTはできるだけ多く、世界の理学療法士が集まるこの学術大会に参加してもらうため、3つの工夫をすることになりました。


  • 一つは、中低所得国および低所得国から参加する理学療法士の参加費を減額します。
  • また、2017年大会と同程度の参加費に維持します。
  • そして、事前申込に対する早割よりもさらに割引になる「超早割」期間を設け、絶対に参加したいという会員を優遇します。
(参考:参加費はこちら→https://www.wcpt.org/wcpt2019/registration)

WCPTのCEO、Jonathon Kruger氏は「これらの特別措置により、より多くの会員が学術大会のさまざまな恩恵を受けられることを嬉しく思います。

プログラムはすでに大枠は決まっており、シンポジウムも幅広い分野で思考を刺激するようなトピックスを用意しています。その一部を紹介しますと、ビッグデータと人工知能、心肺と科学、多様性と包括性とリハビリテーション、精神保健などがあります。

来年の学会はわくわくするような活気溢れるものになるでしょう。参加費に関して今日のようなアナウンスができたことで参加を計画することが楽になれば幸いです。」と述べています。

また、2019年大会でも奨学金プログラムを実施する予定です。詳しくは2018年7月に公開されます。

2019年大会はスイスのジュネーブで5月10~13日に開催されます。


過去のWCPT学術大会の参加者からの感想

「学術大会での経験は想像をはるかに超えていました。参加させていただき光栄に思います。ぜひまた参加したいです。運営も非常によくされており、理学療法に関する問題をいろいろな国の方と話し合えたことは素晴らしい経験でした。ありがとうございました。」

「WCPT学術大会は私のキャリアの中で最も心が洗われる経験となりました。学術大会を通して得る事ができた洞察力や繋がりや知識は一生ものです。」

「計り知れない感情がそこにはありました。各国の参加者が集まったグローバルな場で、お互いを高め合い、常に仮説にチャレンジしていく姿はまさに「理学療法士である」という感じでした。」

「このイベントは私たちの目を開かせてくれます。多くの学びを提供してくれます。様々なチャンスがそこにあります。そして、そのどれもが期待を大きく上回って!」

「様々な国・文化・環境にいるPTとの出会いや繋がりを得る事ができただけでなく、世界の多様な保健制度の中でどのように対応していくか、新たな知見を得ることもできました。」

2018年6月13日水曜日

【WCPT News】2018/5/23 世界リハビリテーション同盟 スイスで発足

世界リハビリテーション同盟(GRA)が5月22日、スイスのジュネーブで発足し、WCPTのEmma Stokes会長が初代副会長に選任されました。

Emma Stokes氏は「今日、WCPTはGRAの設立メンバーとなりました。我々は設立を支える小さなチームの一つとなります。」の述べ、以下のように続けました。

「理学療法や理学療法士はリハビリテーションを提供する重要な存在です。WCPTは世界中の人々が経済的困難なしに必要な時に質の高いニーズに合ったリハビリテーションを受けてもらえるよう、世界中の国と協力していくと今日誓いました。」

「我々はこれによりWHOが発表したRehabilitation 2030 Call for Actionの実現を目指します。我々だけの力よりも大きなインパクトをもたらすことができるでしょう。」

「GRAは2017年2月にWHOのステークホルダー会議【Rehabilitation 2030: A Call for Action】を受けて発足しました。その時からWCPTは他のステークホルダー機関と協力して、世界中のリハビリテーションの発展のために、国際団体の立ち上げに尽力してきました。」

WCPTのJonathon Kruger氏は「戦略的同盟の誕生により、WCPTはメンバー機関の国際的な働きをより効果的になるようサポートできるようになるでしょう。」と述べました。
GRAの使命は、ニーズに合ったリハビリテーションを、システム強化により提供することで、質が高く負担できる価格を目指すことです。WHOと戦略的パートナーとなり活動していくことになります。

GRAは世界の保健制度や社会保障制度におけるリハビリテーションの強化を共に推進するプラットフォームとなるでしょう。多くの組織がそのような目標を掲げて、サービスの受け易さや質、マンパワーの確保、情報収集などの改善を行っています。GRAはネットワークの構築や協賛者を集め、これらの取り組みをさらに進めていきます。

世界リハビリテーション同盟(GRA)開設メンバー

会長:Thierry Regenass
副会長:Emma K. Stokes
副会長:Christoph Gutenbrunner
秘書官:Karsten Dreinhofer
会計官:Jan Monsbakken
選任理事:Stephanie Clarke, Pierre Cote, Isabelle Urseau


GRAを構成する機関

American Speech-Language-Hearing Association (ASHA)
Dementia Alliance International
Global Alliance for Musculoskeletal Health (GMusc)
Humanity & Inclusion (HI)
International Council of Nurses (ICN)
International Committee of the Red Cross (ICRC)
ICRC MoveAbility Foundation
International Society for Prosthetics and Orthotics (ISPO)
International Society of Physical and Rehabilitation Medicine (ISPRM)
International Spinal Cord Society (ISCoS)
World Confederation for Physical Therapy (WCPT)
World Federation for NeuroRehabilitation (WFNR)
World Federation for Occupational Therapy (WFOT)
World Federation of Chiropractic (WFC)