2020年2月24日月曜日

【JADM25発表内容】①はじめに、背景

「2019年モザンビークサイクロン災害におけるJDR医療チームの活動:リハビリテーション」ということで発表させていただきます。

まず、世界保健機関WHOが定めるリハビリテーションの定義ですが、「個々の環境に応じて機能を最大化し、病気等による能力低下を改善するために、多職種チームで行う全人的アプローチ」となっています。多職種がキーワードで、理学療法士一人が担うものではなく、医師・看護師や現地の文化的背景を理解した協力者などと共に行う必要があります。

このリハビリテーションの概念は、災害があってもなくても、障害を有する人にはなくてはならない物です。その必要性は災害や紛争が起こるとより高まることが、世界的に論文等で報告されています。しかし、現状、紛争や災害が起こると、急性期治療や外科的治療が優先され、リハビリテーションは忘れられたままになっていることが多いです。

さらにこういうデータもあります。この地図は災害が多い国を赤く表示しているのですが、災害は中低所得国に集中していることがわかります。

またWHOによると、その中低所得国においてはリハビリテーションを専門にする人の数が、人口10万人に対して1人しかいないそうです。つまり、災害が多い国のリハビリテーションは発展途上である可能性が高く、災害が起こったら、急増するリハビリテーションニーズに現地の力で対応することは困難であることが予想されます。

そのような状況で、現在、国際的にどのような対応が取られているか、一部紹介します。国際リハビリテーション医学会が、災害時にリハビリテーション専門職からなるチームを結成し派遣するためのメンバーリストを作成し、さらにそのチームがWHOの緊急医療チーム(EMT)に認定されることを目指しています。また、ISPRMやHI(Humanity and Inclusion)というNGOなどから無料のオンライン教育プログラムが提供される予定にもなっています。

②症例報告へ続く

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