2011年7月26日火曜日

活動計画

 任地となる病院の担当者から活動計画をいただきました。関心のあるテーマ、短期目標、長期目標、目標達成のための方法などが書かれています。ワクワクしながら翻訳してみました。
 関心のあるテーマには
  急性期患者の扱い
  神経促通法
  伸長運動
  装具使用患者の扱い
  軟部組織技術
  歩行の評価
 が挙げられていました。軟部組織技術とは何なのか分かりませんが、私が無知なだけなのでしょうか?後、神経促通法とは日本でも一部(多く?)で行われているPNFのことなのでしょうか?書類にはたくさん書かれていたので、具体的なものかと思ったのですが、訳してみると案外、漠然とした関心のように思います。
 短期目標には
  解剖学の基礎知識を得る
  可動域測定
  筋の評価
 が挙げられていました。訳せば訳す程、なんだか話があっちへ行ったり、そっちへ行ったり、まとまりがないことが分かります。何から手を付けていいのか、私はこれをみてイメージが湧きませんし、おそらく向こうも同じでしょう。
 また別の欄には、新たな治療手技の獲得、技術・知識の向上が書かれていました。
 今日いただいた計画書は文章能力の問題なのか、知識の混乱なのか、その両方なのか。よく分かりませんが、問題点を見つけて、その問題に対してどういう技術を適応するのか、禁忌は何なのか、全体を統合と解釈しながら理学療法を行うことは難しいということが、この計画書から分かった気がします。
 ちなみに急性期からPTが患者に関わることは、患者教育にはいいと思います。間違ったことを患者に吹き込むPTがいるのは日本でも問題の一つですが・・・。ただ、患者に触るには、患者に害を与えないことが条件です。日本でも下手な暴力的な関節可動域運動で患者を骨折させた事故が何例もあります。はたしてこの国で急性期からPTが患者と関わってメリットがあるのか?何もしない方がいいことの方がPTの範疇では多いことを認識しないといけません。
 まずは基礎知識から入り、運動療法と評価法、装具療法、と進めていこうかと思いますが、任地に行ったらよく話し合わなければなりません。10年以上ボランティアが派遣されていて、いまだにこのレベルか!、とカリカリするのではなく、まぁこんなもんだ、と割り切ってスタートを切ろうと思います。任地で働くことが楽しみであることには変わりありません。

2011年7月18日月曜日

ENTRENA(エントレーナ)

ドミノ
 語学訓練が始まって2週間が終わりました。明日から3週目、折り返しです。語学学校の名前はENTRENAです。JICAやKOICAの人をよく受け入れているようです。午前中は1対1の完全プライベートレッスンで、午後からはグループレッスンになります。以前は、プライベートレッスンが午後だったこともあるそうです。きっと非常勤で働いている講師の人が多く集まれる時間にプライベートをしているのだと思います。今回は午前中の方が講師が集まったのでしょう。午前中だけ授業をして帰る講師や、朝から夕方までずっと授業をしている講師がいます。働き方は多種多様なようです。
 講師の教え方やその上手さには、かなり差があるようです。みなそれぞれ良い所、悪い所あります。どのような点を強化していかなければならないか講師が見抜ける場合もあれば、生徒の方から注文しないといけない場合もあります。一緒に語学訓練を受けている私たちJICAの6人の内、半分が日本語教師ですから、講師を見る目、評価する力は相当です。話をしていると勉強になります。
 私の先生の場合は、会話している中から、できていない所に絞って文法的なことを学習したり、今後、仕事で使えそうな表現を集中的に学んだりしています。スペイン語講師経験も長いようで、レベルは高いと思います。また、グループレッスンでは、みんなで市場に出かけて買い物の練習をしたり、ダンスの練習をしたり、ドミノというドミニカ人が熱中するゲームを遊びながら学んだり、という活動も含まれます。バスの乗り方の練習の日は、あいにくの雨で実戦練習はありませんでした。
 と、なかなか充実はしているのですが、やはり働きたい。。。先日、別のホームステイ先のママが「上腕二頭筋腱炎」という診断で4か月くらい理学療法に通っていると言っていたので話を聞いてみました。超音波などの物療を受けてから、肋木や輪転運動器で痛みを我慢しながら肩を動かしているそうです。
 また、松葉杖を使っている人の100%(今の所、3人見ました)が、不適切な長さやグリップ位置での歩行をしていました。働き始めると、もっともっと課題が見えてくるでしょうね。

2011年7月10日日曜日

ホームステイ&語学研修中

うちの無邪気なちびっ子
 ドミニカ共和国(以下、ドミ共)に到着してから数日、各種オリエンテーションがあった後はシニアボランティアを除き、皆ホームステイとなります。私は、小さな子供から働いている子までいる家族にお世話になっています。このお家は、以前KOICA(1991年設立の韓国国際協力団)の青年を受け入れていたようで、慣れています。
 KOICAの若者とは語学学校でたまに顔を合わせます。かなりスペイン語を頑張っているようで刺激されます。聞くところによると、KOICAはJICAと違い、自国での語学研修が少なく、代わりに任国での研修が長いそうです。昨日、食事したフライドチキンのお店は中国人の方が経営していたのですが、そこの若いお姉さんは語学学校には通わず、独学で人と話しながらスペイン語を覚えたそうです。やはり話すことは大事なんだなぁ、と感じました。日本での語学研修では教わらない「ドミ共語」があるので現地でのトレーニングは欠かせません。
 ただ、せっかくドミ共に来たのに、働かずに語学だけ学んでいるのは、少しもどかしい感じがします。働きながら、病院のスタッフや患者さんなどと話しながらスペイン語の能力を上げればいいのに、なんて思ったりします。限られた2年間という期間がもったいないような気がします。(特に現職教員参加制度で来ている人は2年後の4月までに帰らなければいけないのに。)臨床から離れて3か月、治療できないストレスが溜まっているのかもしれません。何が一番いいのか、終わってみないと分からないかもしれないし、人によって違うかもしれません。
 ホームステイ先では特にストレスなく過ごせています。食事はおいしいし、過度に干渉せず勉強する時間を与えてくれますし。ただ、私がベッドで寝ているのに、リビングのソファの裏の床で寝ているおじさんがいるのは少し気になりますが・・・。ちなみにこのおじさん、いったい誰だか分かりません。笑 このおじさんともう一人、紹介がなかった人がいます。ドミ共の離婚率は90%ほどで家族関係が複雑なのかもしれません。

 最後に、ドミ共語を少し。
¿Cómo tú 'ta'?
 →¿Cómo tú estás? 元気かい?
'Toy bien.
 →Estoy bien. 元気だよ。
Él está guapo con ella.
 →彼は彼女に怒っている。(guapoがenojadoの意味)

2011年7月3日日曜日

引き継ぎ

ドミ共弁当(220円)
 以前、青年海外協力隊が交代として派遣される際に、引き継ぎがどのように行われているのか質問されたことがあります。質問されたときは、私も分からない状態でしたが、回答できるようになってきましたので、この場で回答させていただきます。
 職場が変わる際や、新人に仕事を託す際など、「引き継ぎ」が非常に重要になってきます。今行っていることが、「現状でOK」なのか「改善が必要なのか」。そしてそれぞれ、どのような経緯で今のやり方になっているのか。それを知ることで、過去にあった失敗や成功を活かして次に進むことができます。
 私は理学療法士養成校を卒業した後、就職した大学病院で、いろいろな仕事が与えられました。物品請求、修理依頼、朝のコーヒーの入れ方など、先輩に教えてもらいながら覚えました。すぐには全て覚えることは無理で、何度も聞いては覚えていきます。
 そして、次に私の後輩となるスタッフが入職すると、また同じように仕事を引き継いでもらいます。いかに分かりやすく、無理のないように引き継ぎができるかを意識して行いました。一度にたくさんのことを言っても覚えることは不可能だと、私が入職したときに感じたので、簡単なことから引き継ぐようにしました。そして簡単なことの中でも、今必要なことから実際にやってみながら教えることにしました。例えば蛍光灯が切れている場合、「蛍光灯の交換はどこに頼むか知ってる?」から引き継ぎが始まります。「これを書いて、そしてここに電話するんだよ」と教えて、実際にやってもらいます。
 しかし、この方法は、教える人と教えられる人が同時にいる場合のみ可能です。青年海外協力隊で、交代で行った際、前任者がもう帰国していない場合もあります。その場合の引き継ぎはどうなっているのか。私の例で書きますと・・・、
 私の前任者は3月末で日本に帰ってきています。そして私の派遣が6月末ですから、現地で顔を合わせることはありません。なので、直接話を聞くとしたら日本で、という事になります。前任者の連絡先は、派遣前訓練の途中で、知ることができます。そして派遣前訓練と派遣の間の短い期間に、アポイントを取って直接お話することができます。ただ住んでいる所が遠くて直接会うことは難しい場合もあります。私はたまたま前任者のブログを見つけ、早い時点から連絡を取らせていただきました。
 直接会ったり、メールでやり取りする以外に、報告書を閲覧する方法もあります。そこには、どのような所で、どのような活動をしているのかが書かれており、それは一般公開されています。JICA地球ひろばの図書室などに所蔵されており、コピーも可能です。
 また、任国に派遣されると、ボランティア調整員という方がいて、事情に詳しいです。任国のボランティア事業を広く見渡しておられるので、「今後、こことここの結びつきを強くしていきたい」とか、「こういう目標で今まで頑張ってきている」など、いろいろ話を聞くことができます。また勉強もされており、調整員の方から「AKA博田法」など専門用語も飛び出します。
 このように前任者からの説明、担当調整員からの説明、報告書の閲覧により、引き継ぎがなされます。これにより、これまでの流れを汲みとり、効率よく前進することができるようなシステムになっていると感じます。
 私の場合、派遣される病院からビデオレターをいただき、早く行きたい、と胸をワクワクさせています。その前に明後日から始まる1か月の語学訓練で、しっかり実践的なスペイン語を身に着けようと思います!