2012年3月22日木曜日

レプトスピラ症


過去の流行地域
 レプトスピラ症とは、病原性レプトスピラの感染により発症する病気の総称です。重症型レプトスピラ症(ワイル病)と、軽症型レプトスピラ症(秋やみ)があります。
 病原性レプトスピラという菌は、ほとんど全ての哺乳動物に感染できると考えられており、感染後は、多くが保菌動物となります。レプトスピラは腎臓に保菌されることから、尿中に排出されます。保菌している動物の多くはネズミの仲間ですが、犬や猫、マングース、牛、アライグマなどからもレプトスピラは発見されています。これらの動物の尿を、直接触ったり、尿で汚染された土壌などに、間接的に触ったりすることで、我々人間にも感染する可能性があります。
 レプトスピラ症は、年間30万~50万人が発症していると推測されていて、温帯地帯よりも熱帯地帯に多いとされています。大雨や洪水後の集団発生や、稲作などに従事する農業関係者、下水道での作業者に多く発症しています。
レプトスピラの電顕像
 症状は、発熱などの感冒様の軽症型から、黄疸・出血・腎不全をきたす重症型まで、多彩な症状を示します。通常5~14日の潜伏期間を経て風邪のような初期症状が出て、重症型ではその後5~8日で黄疸等の症状が出始めます。初期症状が出て2週間ほどでさらに症状は強まり、出血が肺で起こると死に至ることもあります。黄疸を伴わない症例の致死率はゼロだが、黄疸を伴う場合は5~10%との報告があります。
 初期症状では診断が難しく、保菌動物との接触の有無、レプトスピラに汚染された土壌等との接触の有無、流行地域への渡航歴の有無などの申告が必要です。
 治療は、感染に対して抗菌薬を用いて、その他臓器障害に対しても治療も並行して行います。人から人への感染はありませんので、感染者を隔離する必要はありませんが、尿の取扱いには注意が必要です。
 今年に入って、ドミニカ共和国では、レプトスピラによる感染者171人、死者16人が確認されているそうです(大使館からの情報)。家にネズミが出る、という隊員仲間もいます。日本では関係なかった病気ですが、こちらでは気を付けなければいけません。レプトスピラ症だけでなく、デング熱マラリア、コレラなど、普段から注意していないと後悔してしまいます。

3 件のコメント:

  1. 初めまして、OTのちえみと申します。
    24年度3次隊でドミニカ共和国に派遣予定です。
    ブログを読んでいてとても勉強になります。
    色々大変でしょうが、お体に気をつけてください。

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    1. ちえみさん、コメントありがとうございます。私が23年度1次隊ですので、半年ほど、ドミ共で一緒に活動できますね。派遣前訓練が無事終わり、ドミ共にいらっしゃるのを、楽しみに待っています。今後も、少しずつですが、このブログで情報提供していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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    2. ありがとうございます。
      私も派遣までに作業療法とスペイン語の勉強を頑張りたいと思います。
      また色々教えてください。
      現地でお会いできるのを楽しみにしています。
      今後もよろしくお願いします。

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