【完全版】 2016/11/2更新
来年のWCPT南アフリカ大会では革新的なセッションが予定されています。ロールプレイで患者に、より健康的な生活を営んでもらうための促し方を学びます。
このシンポジウムでは、臨床での理由付けスキルを、生物心理社会学的質問法を実践的に学ぶことで強化し、療法士が患者により健康的な生活習慣を送ってもらうよう促すことが可能になります。アン・ソダーランド博士はこのセッションの座長を務めます。彼女はこの心理社会学的アプローチに対する理解が得られてきてはいるが、残念ながら今のところ系統的に実践方法を紹介してきてはいない、と説明しました。
ソダーランド博士は「今、良いことに意識され始めています。変化の始まりです。ロールプレイでは患者役・療法士役を交代でします。ツールを用いたり、知識を与えたりして出来るだけ具体的になるようにします。これが最も大切なことで、すべき事は分かっていてもどうすればいいのか分からないのです。」と述べています。
彼女は次のように言っています。「療法士は患者の移動能力や機能障害に注目しすぎます。坐位での行動や軽い身体活動、不健康なライフスタイルが実は解決したいと思っている問題の原因になっているかもしれないのにです。」
さらに「ほとんどの国では問題を解決するために教育があります。患者は病院に来て、背中を曲げると痛い、と訴えてきます。すると療法士はそれ来たぞと、頭の中であれこれ考え、問診し問題点を挙げていきます。問題を直接解決しようとするため、患者を全人的に分析していないのです。」
このセッションは大盛況だったシンガポール大会で推進された、健康に基づいた実践能力とエビデンスに基づいた評価ツールを継いでいます。ケープタウン大会でのロールプレイセッションは4つあります。評価ツールの使い方の実演や、心理社会的戦略、そして会員組織がいかに健康促進を臨床や教育に取り入れていくことができるかの詳しい見立ても紹介されます。
日々の臨床で療法士はさまざまな技術を使い行動を変えようとしています。自己管理や目標設定、フィードバックに関する技術も含まれます。しかし、ソダーランド博士は、それでも十分意識的に個々の患者の利益を最大限にすることはできていないと主張しています。
「これまで非系統的に行われてきました。理学療法士は自分が何を行っているのか分かっていないのです。例えば、患者に運動日誌を書かせても、そこに事実が反映されていません。しかし、その事実にこそ、患者の行動を変える何かが隠されているのです。もしこれらのことを意識的に行えば、行動変化から得られるものはより多くなるでしょう。」と彼女は語りました。
【用語解説】
・アン・ソダーランド(セーデルルンド)
スウェーデン出身。彼女が行う行動医学を理学療法に取り入れる研究は、国際的にも珍しい。
・行動医学
行動と疾患の関係を科学し、応用実践する医療分野。医学と心理学を結びつけて行動を分析する。例えば、喫煙者は座っている時間が長い、など。
・心理社会学的アプローチ
病気や障害などがどれだけ心理的・社会的インパクトを持っているかを考慮し、生活の活動性を低下させないよう、自信を持たせ、社会との繋がりを維持できるようにする考え方。
・エビデンス情報に基づく実践
エビデンスに基づく医療evidence-based medicine (EBM)や実践evidence-based practice (EBP)の考え方が、特にインターネットが普及して広く取り入れられるようになった。エビデンスに基づいて最良の医療を提供するという考えだが、それを患者に押し付けてはいけない。何を選択するかは患者の自由であるが、エビデンス情報は全て提供するべきであり、そういった意味でEBPよりもevidence-informed practice (EIP)と言う方がいいかもしれない、として使われている用語。前者は科学尊重、後者は人間尊重の用語と言える。
【使われていた英語表現】
・only +動詞
残念ながら~
・concrete
具体的な
・zero in on ~
~に注目する
・sedentary behavior
坐位での行動
・diagnose
診断。(日本では「診断」は医師の専売特許ですが、英語では疾患や障害の原因を見つけるという意味で使われています。)
・analyse
分析する
・integrate ~ into ~
~を~に統合する
・day-to-day
日々の
・an array of ~
ずらりと並んだ~、勢揃いの~
・self-monitoring
自己管理
・goal-setting
ゴール設定、目標設定
・reflect on ~
~に反映する
・lead to ~
残念ながら~
・concrete
具体的な
・zero in on ~
~に注目する
・sedentary behavior
坐位での行動
・diagnose
診断。(日本では「診断」は医師の専売特許ですが、英語では疾患や障害の原因を見つけるという意味で使われています。)
・analyse
分析する
・integrate ~ into ~
~を~に統合する
・day-to-day
日々の
・an array of ~
ずらりと並んだ~、勢揃いの~
・self-monitoring
自己管理
・goal-setting
ゴール設定、目標設定
・reflect on ~
~に反映する
・lead to ~
~に繋がる
【翻訳作業について】
前記事で紹介した『英文翻訳術』で無生物主語に関して、英文を読みほどいて日本語に翻訳する、というテクニックが書かれていました。それを今回のニュースで応用すると例えば次のようになります。
・The awareness is really there now.
→They are more aware of it now.(今、より認識されるようになってきた。)
→They are more aware of it now.(今、より認識されるようになってきた。)
・The tendency has been for therapists to zero in on patient's difficulties with mobility.
→Therapists tend to zero in on patient's difficulties with mobility.
→Therapists tend to zero in on how difficultly patients move.(療法士は患者の移動能力に注目しがちだ。)
→Therapists tend to zero in on patient's difficulties with mobility.
→Therapists tend to zero in on how difficultly patients move.(療法士は患者の移動能力に注目しがちだ。)
【あとがき】
やはり翻訳は難しいです。自分で訳した文章を自分で読み直しても、他の人が読んだらどうか、という所まであまり想像できません。用語解説を読んでいただけると内容が分かりやすいかと思います。
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