新型コロナウイルスの流行により、感染対策をした上での避難所運営、医療活動、復旧作業等を行う必要があります。「令和2年7月豪雨災害」に対するボランティア募集の状況は、県内からのボランティアのみ、または被災地域からのボランティアのみの募集となっていたり、完全予約制、個人ボランティアの受入不可、などの対応を取っています。医療、福祉等の専門職による支援も以前のようにはできません。(参考:全国災害ボランティア支援団体ネットワークがまとめたガイドライン)
避難の方法も再検討されています。避難所が密になることを避けるため、宿泊施設への避難、自宅避難、縁故避難、車中避難などの分散避難がより推進されます。避難するときは、個人の感染防護具(マスクや手袋、アルコール消毒液など)や体温計を持参し、体調管理をする必要があります。新型コロナウイルスに対する差別へ偏見で、体調不良を隠匿する可能性もあるため、申告しやすい環境や雰囲気作りが必要です。
新型コロナウイルス感染者の避難先としてホテルの個室を利用する場合があり、シングルの狭い部屋で外出が制限されます。健常者が比較的広い避難所で生活するよりも、生活不活発病のリスクが増します。生活不活発病の予防には日本理学療法士協会の「リガクラボ」の特集にまとめられています(参考:https://rigakulab.jp/2020/03/11/id000040/)。また、感染者のホテル避難では、感染対策をした上で、食事を自ら取りに行くような仕組みを作り、感染者の運動を促す工夫もできるかもしれません。
命を守るための避難行動も新型コロナウイルスにより躊躇される場合があります。避難指示が出た場合や発災直後は避難所が密になるかもしれません。命を守るために、避難所が密になろうとも受け入れなければならない状況もあり得ます。避難者の理解と協力が必要です。そのために、どのような感染対策を取っているのかや、相談窓口はどこにあるのか、など避難者に対して明確にする等の対応が必要かもしれません。
先日、新潟大学医学部災害医療教育センター主催でオンラインで行われたセミナー『避難生活での健康を守るためには』でも述べられていましたが、最優先は住民の命を守ること、そして第2に感染者を発生させないことです。
分散避難のために、支援が万遍なく届くかどうか、という課題もあります。アウトリーチ型支援を行う団体と行政等の連携が必須です。しかし、支援者が1か所に集まり、情報共有・交換を行う場は3密になりやすく、今まで以上に難しくなります。情報をオンライン可視化するなどの統一した新たなシステム開発が今後必要なのかと考えます。
医療、福祉、教育、観光、交通などの様々な分野で改革が求められています。災害時におけるスタンダードも変わってくると思いますので、アンテナを張っておきたいです。
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