2011年2月16日水曜日

幸福感

 去年の4月に受講したイデアス実践講座の講義資料の一つを、先日引っ張り出して読んでいました。資料のタイトルは『幸福研究と開発経済学』です。
 幸福の要素とは、物的な豊かさ・自尊と尊厳・生活保障・平和・身体の安全など、と『Voices of the Poor』という本に書かれているそうです。人間生活を評価する指標に、「お金持ちか、お金がないか」と「幸福感があるか、幸福感がないか」の2つの視点を持って考えた場合、従来はお金持ちであればあるほど、幸福感は上がる、と思われていました。しかし、実際にはそうではない、という考え方が経済学に取り入れられるように近年はなってきたそうです。ブータンは「GNPではなくGNHで世界一を目指す」と言った、という話も聞きました。GNHとは、gross national happiness:国民総幸福の略です。
 例として適当かどうかを論点としないならば、私の例を一つ挙げてみたいと思います。私が卒業した専門学校は歴史が古いため、建物の老朽化や、設備・備品の故障・破損・紛失など、決して恵まれた環境ではありませんでした。ベッドも何度壊れたことか。最先端の設備を備えた新しい大学などと比べるとハード面では到底敵いません。しかし、私は不幸だったか、と言うとそうではありません。むしろ幸せでした。それは、自分の希望を叶えてくれる教育を受けることができたからです。アマルティア・センの言う「貧困」と全く逆です。私の潜在能力を生かして、さらに伸ばしてくれる教育が受けれたことが、幸福感を上げる大きな因子になりました。
 お金やモノがあれば良い、というわけではないのです。
 なぜ、こんな事を書いたかと言うと、先日、『理学療法士の国際協力』というタイトルで、JOCVの大阪府OB・OG会で30分、お話させて頂いたことがきっかけです。プレゼンテーション後、懇親会で「理学療法士の仕事である、障害を持った人が社会に戻る手助けをする、というのはその人の幸福感を上げることができる素晴らしい仕事だ」と言ってもらいました。障害者が稼いだお金が例え微々たるものでも、社会の輪に入ること自体に意義がある、と教えていただきました。私は、障害者が社会参加することが、その国や地域に良い経済影響を与えることができれば良いなぁ、と考えていました。しかし、国や地域に影響を与える以前に、一人ひとりの生活に影響を与える、ということを忘れていました。その影響とは、経済的な影響だけでなく、幸福感へも影響を与えるんだ、ということを気づかせてもらいました。
 人々の幸福感を上げることが、私の幸福感にも繋がると思います。もっと広い視野を持たないといけません。

4 件のコメント:

  1. いいね!いい!こういう教え子をもって、私は本当に幸福だと思う。

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  2. katabira no tsujiさん
    先生にそう言ってもらえると、とても幸せです。人として裕福になっていきたいですね!

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  3. Y.Kです。

    幸福感…自分の実感としてもあり、最近のmy lifeのテーマ
    でした!!タイムリーでびっくりしてます!!

    しかしgross national happiness:国民総幸福といった定義があるのは知りませんでした。大変勉強になり、これか
    ら調べてみたいと思います!!

    あと余談ですが…

    先日発売されたMr.childrenのアルバム『SENSE』の2曲目「擬態」という曲の歌詞に…

    富を得た者は そうでない者より
    満たされてるって 思ってるの !?
    障害を持つ者はそうでない者より
    不自由だって誰が決めるの !?
    目じゃないとこ
    耳じゃないどこかを使って 見聞きをしなければ
    見落としてしまう
    何かに 擬態したものばかり

    といった歌詞がありました。衝撃的でした。これを歌に
    できるんだって思ったら。まさに幸福指数…

    ビッグアーティストでもこんな事考えるんだって思ったら何かホッとしました。

    ご存知でしたかね?まだ聞いてなかったら是非聞いて下さい!

    あとLilyさんの講演聴きたかったです。どんな内容の講演をしたのか今度時間があったら教えて下さい!!

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  4. Y.Kさん
     コメントありがとうございます。
     「擬態」曲は聴いたことがありましたが、歌詞の内容までは知らなかったです。友人に「トビウオのやつやで」と教えられました。笑 その友人にアルバムを貸してもらえることになりましたので、きちんと聞いてみようと思います。
    幸福とは非常に定義が難しいですね。幸福だと思っていたことも、何かのきっかけで不幸だと思うようになることもありますし。
     gross national happinessとは誰が言い出した言葉なんでしょうね。私も時間があれば調べてみようと思います。記事にできそうなら、記事にしてみます。

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