2011年5月30日月曜日

震災ボランティア

PT学会で販売されていたチャリティーTシャツ
 昨日、日曜日に、JOCV経験者で理学療法士の方が、震災ボランティアの報告や私たちにできることについてご講義いただくため、駒ヶ根訓練所に来ていただきました。大阪の方ですが、金曜日から開催されている第46回日本理学療法学術大会に参加されていましたので、宮崎県から遠路はるばるお越しくださいました。宮崎県から飛行機で一度東京まで飛び、その後バスで長野県駒ヶ根市まで来る、という経路で、土曜日の深夜に到着されました。そして日曜日の朝から勉強会を開いてもらい、お昼のバスで帰阪されました。もの凄くハードスケジュールです。今回のこの日程だけでなく、各地で行われているマラソンの救護ボランティアや、いろいろな病院などでのリスク管理勉強会の講師など、日々お忙しく過ごされています。友人の病院にも最近、連続講義で行っていただいています。今回は2時間強の単発講義です。
 講義の内容は、被災地の現状、JOCVのOBとしてできること、専門性に捕らわれないこと、笑いの力、など、隊員活動から繋がる今の活動についてお話いただきました。本当はそれぞれに2時間割いても足りないくらいの豊富なお話をお持ちなのですが、限られた時間でたくさんの内容を私たちに示していただきました。
 被災地に行くと、いろいろな仕事があります。靴を提供することで歩いていただく、情報が氾濫したホワイトボードの整理をする、床に敷いているビニールシートをガムテープで固定し躓かないようにする、談話スペースを作るなど、必ずしも専門性を持った活動ができる、というわけではありません。パッチアダムスの映画にもあるように、人を笑顔にするには自分の専門だけに固執してはいけない、という事が被災地では特に当てはまるのだと思います。また、勝手に行って、勝手に理学療法士を名乗って、勝手に活動することはできません。やはり、被災地にもシステム・ルールがあります。問題は一度出来あがったシステム・ルールは変えることが難しい、ということ。最初にきちんとしたシステムやルールができなければ、後になって修正することは困難です。最初にきちんとしたシステム・ルールを作るためには、日ごろからの良好な関連職種との連携、職能団体と行政との関係、職能団体自体のシステム構築が必要だと思います。それがあって初めて発言する力が産まれるからです。
 講師の方も災害ボランティアに参加するために、いろいろ情報が混乱しており苦労されていた様子でした。気持ちだけでなく能力がある人が、スムーズに活動に入れない理由には、システムの脆弱性、マンパワーの不足と疲弊など、さまざまな要因があると思います。これから派遣前の短い期間ですが、被災地でボランティア活動する仲間がいます。できることはなんでもして欲しいと思います。しかし、自分たちは限られた時間だが、被災地の人たちはずっとそこにいる、ということを忘れないで欲しいです。入れ替わり立ち替わり来るボランティアからのちょっとしたストレスも積りに積もれば大きなストレスです。プライバシーの尊重や不用意な声掛けなど、気を付けていただきたい、と思います。特に若い人には。

2011年5月28日土曜日

派遣前訓練クライマックス~語学交流会~

海は誰に聞いても、凄くキレイだそうです。

 派遣前訓練が始まって53日目になりました。残すところ後12日。2週間を切りました。来週いっぱいは8:45~14:50まで毎日語学の授業があり、それが終わると語学の最終試験です。もう派遣前訓練も最終章に入っているのです。
 その最終章での大きなイベントの一つに「語学交流会」というものがあります。日本に来ている海外からの人(研修生や留学生など)を招いて、これまで学んできた語学を使いもてなすというものです。各クラスに1~2名のゲストが入り、クラス毎に内容を考えます。私のクラスには、ドミニカ共和国の女性の方と、メキシコの男性の方が来られました。
 二人ともとても気さくで、たくさん話してくれました。私たちにも分かりやすいように、ゆっくり、こちらのペースに合わせてくれていたのが分かります。ドミニカ共和国は私の任国ですので、たくさん質問させてもらい、ドミニカ共和国がより一層近く感じることができました。またドミニカ共和国で会う約束をし、FACEBOOKでも友達になり、派遣がますます楽しみになってきました。
 それにしても、入所したときは、スペイン語で何かイベントを行うなんて考えられなかったですが、なんやかんやで皆、いろいろな事を話していました。ちゃんと勉強してきたんだなぁ、と実感できたとともに、語学の先生にも感謝です。基礎をしっかり叩き込んで、後は現地で実際にスペイン語を使いながら話せるようになる、という方針で、文法をきちんと系統立てて教えてくれています。訓練中に話せるようになるのはもちろん不可能です。語彙が圧倒的に不足しています。しかし、文法の知識はつけることができます。忘れてもノートを見ればわかるように、ノートもきちんと作っています。夜は、最近、ノートの肉付け作業をしています。よく出る不規則動詞の活用を書いたり、似ている動詞の活用を並べて書いたりして、後で使えるものになるように頑張っています。
 今日の語学交流会でも、先日あったドミニカ共和国のJICA事務所とのテレビ電話でもそうですが、スペイン語が話せるようになると、どれだけ楽しいだろうか、と思います。語学を勉強する醍醐味は、自分の気持ちが相手に伝わったときの喜びです。楽しみながら語学を習得できるように、今はあともう少し訓練所で必死に基礎を学ぼうと思います。

2011年5月25日水曜日

パキスタン障害者社会参加促進プロジェクト

障害問題啓発動画がアップされました。
パート1~6

パート7~11

パート12~15

パキスタン障害者社会参加促進プロジェクト
A STAR Project
(Abbottabad Social participation Through Awareness Raising)
日本語:http://sky.geocities.jp/a_star_project/index_j.html
English:http://sky.geocities.jp/a_star_project/index.html

2011年5月22日日曜日

現時点での将来の目標

 医学には、1:治療医学、2:予防医学、3:リハビリテーション医学があります。将来の目標をここに書いてみようと思うのですが、その前に、この3種類の医学について書きます。

  1:治療医学
 治療医学とは、病気を治療するために系統立てられた医学であり、大きく分けると内科学(薬を使って病気を治す)、外科学(手術によって病気を治す)、物理医学(物理的エネルギーを使って病気を治す)の3つに分類できます。今は、内科は循環器内科や神経内科など、外科は呼吸器外科や消化器外科など、細分化されております。
  2:予防医学
 予防医学とは、病気になる前から、病気にならないように対策を講じるために用いられる医学の一分野です。労働環境や衛生などの公衆衛生学の分野や、食生活や文化などの社会学の分野、性教育などの教育学の分野など、いろいろな学問がここに応用されます。
  3:リハビリテーション医学
 病気や、病気による障害のために、社会参加や家庭復帰が制限される状態を、別の代替手段で解決しようとしたり、職場環境や家庭環境を改善させたり、障害者が暮らしやすいルール作りをしたりするために、医学的な考慮をする分野です。

 そして、それぞれの医学に携わる人々の例として、次のような職種があります。(括弧内はごく一部に限られた活動を行う職種)

  1:治療医学
 医師、看護師、(薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士など)
  2:予防医学
 医師、保健師、(理学療法士、栄養士、教師など)
  3:リハビリテーション医学
 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚師、(ソーシャルワーカー、政治家など)

 私は1の中でも物理医学、そして3を行ってきました。そして、今後、進学して看護師・保健師の勉強をしようと考えています。今まで専門外だった予防医学や、医師の補助として治療医学にもう少し携わりたいからです。
 なぜ、予防医学なのか、と言うと、例えば、安全な飲み水が手に入らず、下痢で死亡したりする地域があると知り、病気を治すだけでは解決できない問題が存在するという事。障害を治療したり障害者を社会復帰させることだけでなく、障害の原因である病気を減らす必要性もあると感じる事が理由です。
 これは遠回りをしているようにも見えます。3つの医学、すべてやりたいなら医者になれば良かったのです。それを理学療法士、看護師、保健師と3つの資格をバラバラに取るのは奇妙に見えるかもしれません。しかし、理学療法士として働いてきたからこそ見える医者とは違った視点や、看護師・保健師の勉強をする中で得られるもの、というのはこの経路をたどった人にしか持ち合わせることができないのではないかと思います。
 少し、専門外の人には読みにくい内容になってしまいましたが、派遣約1か月前、いい機会なので書いてみました。

2011年5月14日土曜日

自主講座「高山病」

世界一高い首都ラパス(約3600m)
 あっと言う間に日が過ぎます。語学の授業では、線過去・点過去の違いに翻弄されながらも、現在完了、過去完了が仲間入り(!?)し、さらに難しくなってきました。これはもう慣れるしかないので、日々、問題を解きながら、1歩1歩進んでいきます。訓練中に話せるようになるのではなく、基礎をしっかり固めることがスペイン語の先生の目標だし、私もそうすべきだと思います。
 さて、派遣前訓練では、さまざまな専門を持った訓練生がお互いの知識や技術を共有しあうために、「自主講座」というものを開催することができます。申請書を提出し、承認されればJICA側がいろいろ支援してくれます。配布資料の印刷も参加者がコピー機で各自お金を出して用意する必要はありません。JICAが用意してくれます。ありがたいものです。現在までに2件、承認されており、その1つが私の「息切れをしない生活のために」という講座です。高地で活動される隊員が少なからずいますので、その人たちに、高山病に関する知識や、息切れしやすい動作や、息切れしにくい代替動作について解説しようと思います。
 資料はCOPD患者に対する作業療法の文献や、メルクマニュアルの高山病の項、あとは高校の理科で習うような部分です。酸素分圧の低い土地で、いかに酸素消費量を減らした生活ができるか、は、COPDの患者さんに対する動作指導に似ています。胸郭の動きを制限するような手を拳上した状態での動作、お腹に圧力がかかるような足元での動作、息を止める動作、早い動作、力が必要な動作は、酸素分圧の低い土地でさらに酸素摂取量を減らすことになるので息切れを誘発します。それぞれがどのような動作なのか、受講者参加型のワークショップ形式で、みなさんと考えていきたいと思います。
 3日後、火曜日に開催です。うまくできるかな?
 ちなみにこの講義を簡略化したものを、スペイン語のテクニカルクラスの時に発表しようと思います。なのでスペイン語バージョンも用意しないといけません。

2011年5月6日金曜日

中間試験

 今日で派遣前訓練が始まって31日目になります。65日間ある訓練も1か月を超え、折り返し地点にきたこの日、中間試験というイベントがありました。スペイン語のリスニング試験、ライティング試験、オーラル試験のtrilogyです。
 朝8時45分から30分間のリスニング試験、9時半から90分間のライティング試験、13時から各々4分程度のオーラル試験がありました。リスニング試験もライティング試験も、最初は簡単な問題から徐々に難しくなってくるという、いつものJICAの試験の特徴通りでした。さまざまな到達度の人を試験するにはこうしないとダメなんでしょう。オーラル試験は絵を見て1分間考えて、2分間話す、という一方通行方式です。順番に部屋に入り、生徒一人に対して2~3人で行われます。
 分からない所はたくさんありましたが、こんな事も言えるようになったんだぁ、とか、こんなにいろいろな文章が分かるようになったんだぁ、と思います。ただ、まだ試験には現在形の動詞しか使われておらず、今後、いろいろ種類のある過去形が使われるようになると、もっと複雑になっていきます。また、語彙の少なさは、いくら文法がわかっても補うことができないので、これからもっと語彙力をつけていかないとダメだと感じました。
 ところで、一般社会から切り離された空間にいるので、あまり考えませんが、世間はゴールデンウィークなんですよね。そんな時にテストや授業、外部講師を呼んだ講座などを日曜日以外は休みなくやっております。いつもこの時期は休日出勤で働いていました。することがないので、休日勤務に組み込んでもらったりしていました。今年は前職場では新人さんへの入れ替わりが大きかったので、休日診療体系はなくなっています。ちょうどいい時に訓練がありました。・・・ではなく、私が辞めたから新人さんが入ってきたのか。