理学療法士→青年海外協力隊→臨床に戻り基本からやり直す(現在)→大学院?→日本の技術を世界へ
2011年3月11日より発生しました東日本大震災において、犠牲になられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々に対しましては、お見舞い申し上げるとともに、一日でも早くの復興を応援・支援させていただきます。
2016年4月16日より発生しております熊本地震において、亡くなられた方に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

<祝>当ブログの読者Y.Kさんが青年海外協力隊(24-1 モンゴル)に合格した、という非常に嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>当ブログの読者で青年海外協力隊を目指すMIDORIさんが理学療法士国家試験に合格した、というおめでたい知らせを受けました。もう同じ臨床家です。お互い頑張りましょう。
<祝>当ブログの読者KENJIさんが青年海外協力隊(25-2 タイ)に合格した、というまたまた嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>募集説明会で体験談をお話させて頂いた方2名も青年海外協力隊(モザンビーク、ベトナム)に合格したと再会時に報告がありました。おめでとうございます。
<祝>2013年JOCVリハネットセミナーで私の活動報告を聞いてくださったA.Kさんも青年海外協力隊に合格されました。おめでとうございます。

青年海外協力隊 平成28年度秋募集(2016/10/1より募集開始) 体験談&説明会 開催予定日公開!
大阪以外の開催地・日程はこちら→http://www.jica.go.jp/volunteer/seminar/index.html
 ・梅田
 10月1日(土)14:30~ 阪急グランドビル26階 
 10月6日(木)19:00~ アプローズタワー10階 
 10月13日(木)19:00~ BREEZE BREEZE8階 
 10月22日(土)14:30~ 大阪富国生命ビル12階
 10月28日(金)19:00~ 阪急グランドビル26階
 ・天王寺
 10月8日(土)14:30~ あべのベルタ3階
 10月19日(水)19:00~ あべのベルタ3階
 ・堺
 10月16日(日)14:30~ 堺市立国際交流プラザ6階
  *当ブログの作者(ドミニカ共和国、理学療法士)は今回の春募集では体験談を話に行くことができませんが、興味をお持ちの方はぜひお越しください。私に質問がある場合は、関連する記事のコメント欄に質問いただければ、回答いたします。

2017年4月29日土曜日

Sphere Handbook 2018年版発行に向けて改訂作業中

スフィアハンドブックは2000年に第1版、2004年に第2版、2011年に第3版が発行され、各版は日本語に翻訳され公開されてきました。

(参考)スフィアハンドブック第3版 日本語版

 そして今、第4版の2018年夏発行を目標に改訂作業が行われている最中で、その草案が先日公開されました。草案公開に合わせて、変更点などを共有しディスカッションするために、ウェビナー(web + seminar = webinar)が開催され、私もリアルタイムで参加しました。

(参考)ウェビナーの模様 Revising the Sphere Handbook: What is new and how you can contribute

 人道憲章(the Humanitarian Charter)や基本理念などの大きな枠組みは変更されませんが、「スフィアとは?(What is Sphere?)」の部分の内容が増強されます。

 そして、すでに発行されている他のガイドラインとの整合性を向上させるよう配慮されているようです。例えば「人道支援の必須基準(Core Humanitarian Standard)」はスフィアハンドブック第3版が発行された後の2014年に作成され、第4版ではその「9つのコミットメントと基本行動(9 Commitments and Key Actions)」はそのまま「コア基準(the Core Standards)」の章に受け継がれるようです。

 また、翻訳された時に、正しく理解してもらうため、分かりやすい言葉を使うように努めているようです。ちなみに日本語版の作成は第2版と第3版で別の団体が行っています。第4版は誰が翻訳するか分かりませんが、簡潔な英語で書いていただいていると翻訳者は助かりますね。

 各章の構成も新しくなっています。指標と目標値を別に記載し、特定の数値(specific numbers)を書かずに参考値(threshold)を記載するに留め、状況に応じて目標値を考えるようにされています。

 大枠の変更の他に、各章の改訂もされていますので、下記のページの後半にあるGet the draft standardsから確認してみてください。

(参考)改訂版草案1 http://www.sphereproject.org/handbook/revision-sphere-handbook/draft-ready-for-feedback/

 このウェビナーはAdobe Connectを使って行われました。参加人数や参加者の名前がサイドバーに表示され、プレゼンテーションを聞きながら、コメントのやり取りもできます。リアルタイムで質問して発表者が答えたり、後日返答したりすることができるシステムです。今回は参加者が110人前後を行ったり来たりしていました。参加者の名前を見ていると日本人らしき名前は私ともう一人いました。ちなみに発表者の一人は日本人だったのですよ。

 コメント欄には英語での書き込みの他、フランス語も使用されていました。数回アラビア語かな、という書き込みもありました。スペイン語では誰も発言していなかったと思います。こういう国際的な場での言語はやはり英語とフランス語なのかな、と感じました。

2017年4月23日日曜日

災害医学とリハビリテーション(DM&R)

物理医学におけるリハビリテーションは、私たちが日々臨床で行っている理学療法・作業療法という形で発展してきましたので、「物理医学とリハビリテーション(Physical Medicine and Rehabilitation, PM&R)」科という長い名前の診療科がアメリカにはあります。日本で言うリハビリテーション科は正しくはPM&R科なのですが、日本には物理医学がきちんと入ってこなかったのでPM&Rという言葉は馴染まなかったようです。

 今、WHOもマニュアルを作っていろいろ動きがあるホットな分野に、「災害医学におけるリハビリテーション」があります。世界中で様々な災害が起こり、各国の支援チームが緊急援助を行っています。発災初期からのリハビリテーションにまで対応できるチームの発足が必要と認識されてきており、WHOが緊急医療チームの認証制度を作っています。日本のJDRはリハビリテーションにまで対応できるチームとして認証されており、災害におけるノウハウの整理や研究が必要だと今後は思います。

(参考)・JDR(国際緊急援助隊)医療チーム 導入研修

 災害医学におけるリハビリテーションが発展し、ノウハウが蓄積されてくれば立派なリハビリテーションの一分野となると思います。その時は、私としてはリハビリテーションの歴史の流れに乗って「災害医学とリハビリテーション(Disaster Medicine and Rehabilitation, DM&R)」と名乗って欲しいな、と思っています。

 このDM&Rの発展のためにJDR-PT・OT NETWORKを立ち上げました。今後、様々な活動を行えるようにしていきたいと考えています。JDR登録者とJDRや災害医学に興味があるPT・OTなら登録して頂けます。登録希望の方は下記の登録フォームからお願いいたします。

(参考)・JDR-PT・OT NETWORK 新規登録フォーム

 様々な活動と書きましたが、実際はまだまだ模索段階です。現在はメーリングリストを利用した情報共有や意見交換が中心です。今後は、勉強会を行ったり、WHOのマニュアルを翻訳したり、メンバーの皆で記事を書き合ってウェブサイトを立ち上げたり、などを考えています。仲間が増えることを心から願っています。

2017年4月17日月曜日

国際リハビリテーション研究会キックオフミーティング(2017/4/16)に出席して

WCPT Photo Competition 2012
 「国際理学・作業療法学(案)」という記事を書いてから随分と時間が経ちました。少しずつその中身を作り上げて行こうという計画でしたが、実際はほとんど進んでいません。そのような折りに、国際リハビリテーション研究会キックオフミーティングが東京で開催されました。そこには協力隊同期が私の他に三名も参加しており、同窓会のようで楽しめました。この分野に熱い隊次なのだと再確認できました。

 このミーティング(主催者はセミナーではないと強調していました)では「国際リハビリテーション学」という学問を自立させるべく研究会を立ち上げ、過去の実績や経験・技術をまとめたり、積み上げたり、学術的に発展したりするためにはどうすれば良いかを考える会でした。

 国際看護学というのは国が定めるカリキュラムに組み込まれており、国家試験にも国際関係の問題が出題されているようです。「国際」と付くと海外での支援活動を想像するかもしれませんが、国際看護学という学問の狙いはそこではありません。「国際看護学を学ぶことでより良い看護を提供することができる。なぜなら看護の対象は『人間』であり、背景に様々な文化、風習、宗教、価値観を持っている。幅広い視点から対象者を見ることは国内外を問わず看護を行う上で重要である」ということだそうです。

 これは看護をリハビリテーションに置き換えて読んでも違和感はないと思います。この観点から「国際リハビリテーション学」を解剖していくと、
 宗教とリハビリテーション
 文化とリハビリテーション
 政治とリハビリテーション
 経済とリハビリテーション
 開発とリハビリテーション
 災害とリハビリテーション
などに細分されるのではないでしょうか。

 「国際」と言われてよく想像される青年海外協力隊は、もともと私たちが持っているリハビリテーションの知識・技術に、上記の宗教・文化・開発などの知識を組み合わせて活動しているものだと私は考えます。もし役所に配属されるなら政治を知らなければならないでしょうし、貧困削減が上位目標にあるなら経済・開発を知らなければなりません。

 災害に関しては、災害の種類によって、例えば、地震・津波・洪水・火災・干ばつ等にさらに細分化されるのかと思います。この辺りはまたJDRの研修などを通して考えていけたらと思います。

 このような事を私は想像していたのですが、今回のミーティングでは、国際協力を主軸に置いた考え方のようでした。協力隊などでの活動をいかに学問的に残すか、事例を蓄積していくかを重点課題としているようでした。国際協力だけを対象にするならば、「国際リハビリテーション学」という冠は仰々し過ぎると思います。実際は国際協力だけを取り扱うわけではないでしょうが、一日しかない今回のミーティングではそういう印象でした。

 同期とも話したのですが、「国際」も「リハビリテーション」も扱う範囲が広く漠然とした概念です。二つ合わせて新しい概念ができるかと言うとそうではなく、今ある知識や技術の寄せ集めになると思います。寄せ集めた中から、使えそうなものを選び出し関連付けていくという作業になるのではないでしょうか。

 そもそも理学療法も、解剖学・生理学・運動学などの元々ある学問を基礎に、病気を考慮して行ってきたものであり、すなわち寄せ集めです。AKA-Hも独自の発見はありますが基礎は、解剖学・運動学・関節生理学・組織学などの元々ある学問です。寄せ集めて体系化する作業は大きな苦労を伴うと思いますが、国際リハビリテーション学というものを普及させるには誰かが舵を取らないといけません。

 ミーティングでは、主催者は「外枠は作った。中身はまだない。これから皆で作り上げて行く」と述べていました。しかし、前述のように中身となり得るものはすでにたくさんあって、今まで外枠がなかっただけだと考えます。その外枠を慎重に作らないと今後、混乱するのではないかと思います。外枠の議論がまだまだ必要です。中身はその後でいいので慌てずに外枠作りをしないといけないと思います。

 リハビリテーションは単独では存在しません。理学療法も作業療法も「物理医学とリハビリテーション(PM&R)」という名の下で発展しました。言語聴覚療法は「耳鼻咽喉科とリハビリテーション」。このような流れに倣うと、「宗教とリハビリテーション」「開発とリハビリテーション」など、国際リハビリテーション学には先に述べたような様々な『とリハビリテーション(and rehabilitation、&R)』が出現しそうです。

 「宗教とリハビリテーション」という外枠があれば、そこに過去の宗教に関する経験を蓄積していくのです。イスラム教徒の患者に対して行った配慮、キリスト教徒の患者の対応での失敗談、土着宗教の例、などなど。

 DALYsやジニ係数などは「経済&R」、持続可能性や適切技術や就労支援などは「開発&R」、医療制度などの政策がらみは「政治&R」。計画立案やPDCAなどはリハビリテーションとは直接結び付かないので&Rからは切り離した方がよいのかな、と思います。

 この&R案はまだまだ改良の余地があると思います。受け入れてもらうにはもう少し洗練させないといけないでしょう。今年11月に第1回学術集会をやろうと企画しているようですので、そこで改訂版&R案を披露できたらいいかな、と考えています。いろいろな人の意見も取り入れて作っていこうと思います。ご意見ございましたら、是非コメントをお願いいたします。

2017年3月31日金曜日

【WCPT News】完全版 2017/3/30 WCPT段ボールを使った共同プロジェクトに支援

 技術は進歩し装具や補助具の大量生産ができるようになりましたが、既製のサイズだけでは個別のニーズに応えられないことが多いです。

 ニューヨークにあるAdaptive Design Associationは国際的なヘルスケア団体とチームを組み、不要になった段ボールを使った補助具の作成に取りかかりました。

 このプロジェクトのチームにはWCPT、グラスゴー・カレドニア大学、WCOTが入っています。世界中の障害を持つ子供や大人、機能低下のある人が自由に動けたり、自立した生活ができるようになるのが目標です。

 グラスゴー・カレドニア大学のTracey Howeは「私たちが大事だと考えていることがあります。それは一人として同じ人はいないと言うことです。ニーズもみな違います。置かれている環境もみな異なります。しかし、市販されているものはフリーサイズのことが多いです。」と述べています。

 理学療法士のHoweが最初にADAを知ったのは2016年にウインストン・チャーチル奨学制度でニューヨークにいた時でした。Alex Truesdellを中心に1998年からオーダーメイドの補助具を作ってきました。

 Adaptive Design Globalではデザイナーがあらゆる形やサイズのシーティング装置や脊柱サポーターなどを作ります。
 
 「このプロジェクトの素晴らしい点はオーダーメイドであるという事です。人が中心であり、チームで作られます。チームとは家族や教師、セラピストであり、何が実現可能か、何をしたいか、などを考えながら作製します。

 WCPTのEmma Stokes会長はこのプロジェクトを歓迎しています。「WCPTがこのプロジェクトに関わることができるのは非常に嬉しいです。この分野に理学療法士は多いに貢献できるでしょう。」と言っています。

 「プロジェクトは国際団体が掲げる使命や目的を果たすものです。この高度な新たな取り組み、未来を見据えた取り組みは世界中の関係職種に影響を与えるでしょう。」

 グラスゴー・カレドニア大学で理学療法学科を取りまとめているFiona Moffattはオーダーメイドの良さの例を挙げました。「例えば脳性麻痺の子供のために作られた車いす用のテーブルがありますが、既製品では上肢の緊張が高く、腕が外に飛び出してしまいます。そこで腕が納まるように横に窪みを作り、腕が落ちないようにしました。簡単な工夫です。しかし、これは市販のものではできない、オーダーメイドならでは事例です。」

 ADAは段ボールの補助具を作ることですでに大きな成功をしています。セラピストとデザイナーが作ってきた製品は毎日の使用にも10年以上耐えています。プラスチックやアルミニウム製に比べて、段ボール製の方がより快適でかつ涼しく、軽いです。またリサイクルもできます。

 「今や、どこを見ても段ボールがあります。みんな街で段ボールを見かけたら写真を撮って送ってきてくれます。」とHoweは言っています。

 今はまだ挑戦の途中です。今年の初めにADGは100万ドルの支援をMacArthur基金から得るために、他の2000のプロジェクトと競争しました。

 この戦いには敗れましたが、チームの野望が薄らぐことはありませんでした。補助具をオーダーメイドすることの秘めたる可能性を広く認識してもらうために、Howeは教育プログラムを改変し、世界中に広がるようにしようと考えています。

 「毎年、非常に多くのセラピストがオーダーメイド補助具の重要性に気がついてくれました。世界中に広まるまでには、まだまだ時間がかかるかもしれませんが、今までに10万人ほどのセラピストが新たに賛同してくれました。

 私たちは、各大陸にスペシャリストを置いたハブを作りたいと思っています。たとえ小さな村であっても、段ボール補助具を作ることは可能でしょう。しかし、どんなに優れた職人がいても、段ボールを使って補助具を作製するという発想はないでしょう。」と彼女は話しました。


【使われていた英語表現】

・back 
(動詞)支援する、支持する

・cardboard 
段ボール

・adaptive 
適応性のある

・one-size-fits-all
フリーサイズ

・overlook
見落とす

・identical 
同一の、全く同じ

・under the leadership of
~の指揮のもとで

・cascade down to
~に段階的に伝わる、流れる

・offer an example
例を挙げる

・tray
車イス用のテーブル

・gutter 

・custom-made
オーダーメイドの
※order-madeとするのは誤り。

・in contrast to 
~と比べて

・one of scale 
いくつかの段階の内の1つ

・compete with ~ for ~ 
~を得るために~と競う

・bid
企て、努力

・undimmed
dimmed(薄らぐ)に否定のunが付いている

・provision 
用意、食糧

・thousands of
何千の、(概数的に)非常に多くの

・awareness 
気付くこと
※英英辞典にはknowing that sth exists and is important、つまり「大切だと気付くこと」


【リンク】

・原文
http://www.wcpt.org/news/adaptivedesign

・Adaptive Design Assosiation
http://www.adaptivedesign.org/


【あとがき】

 久しぶりのニュース更新でした。段ボールを使った補助具の作製についてでした。段ボールと言えば思い出すのが、熊本地震のときに避難所で使われていた段ボールベッドです。非常に軽く、しかし十分な耐久性があり大活躍でした。
 ADAのウェブサイトで見られる動画や写真には、段ボールで作った椅子や階段などの実例が写っています。一度ご覧になるとイメージが湧くと思います。
 各種研修コースも開催しているようです。ニューヨークに来いと書いていますが、日本に来てくれないでしょうかね? 招致しましょうか?

2017年3月19日日曜日

WCPTから翻訳の許可

絶版ですが中古で手に入ります
昨年から取り組んでいるWCPT Newsの翻訳配信ですが、先日、WCPTから正式に許可を頂きました。1月は1件、2月は0件とニュースの配信が今年に入ってから少ないですが、今後も有益な情報を発信し続けていきたいと思います。

 以前、翻訳の勉強を始めるにあたり購入した本の紹介をしましたが、その後もいろいろな本を読んで勉強しています。最近よく読んでいるのが、別宮貞徳氏の本です。別宮氏は翻訳に必要な能力について「1英語の能力ではなく日本語の表現能力がより重要であり、2専門の学問の能力とは関係ない」と言うことを述べています。経済学者が翻訳した経済学の本がおおよそ読解不可能であることを例に挙げていますが、理学療法に関する翻訳本においても同様のことが言えるのではないでしょうか?

 例えばKendallのMMTの教科書に

「伏臥位を取り、どちら側でも快適な方に頭を向ける」

と書いてあるのですが、英語でheadと書いてあったのでしょうが、日本語では「顔を向ける」とすべきです。また

「この種の患者には他のテストも行ってみるよう検査者に注意を促す手がかりを与える」

も何を言っているのかすんなり理解はできません。「検査に協力的ではない患者には別の方法を用いなければならない」と言うと分かりやすいのではないでしょうか?

 Neumannの『筋骨格系のキネシオロジー』では

「神経系は、長時間安定した姿勢を維持させる働きを持つ筋線維を賦活することや、反対に必要に応じてより推進的な運動のために、短時間に大きな力を発生させることができる」

という難解な日本語が登場します。「反対に」とありますが、何と何を対比しているのでしょうか? これは姿勢維持に必要な小さな力と、動作を行う時などに必要な大きな力とを対比している文章ですが、こういった読解を読者にさせるというのは、翻訳の悪い例であると別宮氏は述べています。

 私自身、文章を書くのは好きな方で、このブログでは180ほどの記事を掲載しています。しかし、今までは単に書いているだけで、「日本語として美しいか」「読者にとって分かりやすい文章か」というところには無頓着でした。多少難解であっても、情報が正しいか、他では得られにくい情報か、という点を大切にしてきました。今回、WCPTの翻訳を正式に許可して頂いて、翻訳について学びを深めていく中で、日本語能力の重要性に気付かされました。今後は様々な、素晴らしいと言われている文章に数多く触れていきたいと思っています。

 子供のころは読書は好きではなかったのですが、30歳台になって読書に目覚めるとは思いもしませんでした。丸谷才一氏の『文章読本』では多くの「名文」が紹介され、文章を書くにあたっての心構えなども学べそうなので、手に入れてみようと思っています。

2017年1月18日水曜日

【WCPT News】完全版 2017/1/18 ケープタウン大会では他では得られない様々な学習機会を用意

WCPTケープタウン大会には13の特別コースが用意されており、学術プログラムの補完を、その道の専門家から直接から受けることができます。

7月1日と5日に開催されるそれらのコースは希望者制で大会に一日でも参加する人であれば誰でも申し込むことができます。参加費は安く抑えられており、オンラインでスケジュールが確認できるようになっています。

コースの詳細にはそれぞれのトピックスが示されており、運動学や人間工学、小児学、ウイメンズヘルスなどがあり、学習形式も様々です。同じ志を持つ参加者との出合いの機会となるでしょう。

7月1日(土)は、オーストラリアのキャサリン・グレンジャーと、デンマークのモーテン・キストが運動と肺癌についてコースを開催します。また同じ日に、高齢者に対する運動について、方法や年齢に応じた運動強度などについて深く考えるコースも開催されます。

大会の後に行われるコースの一つに、アメリカのジョセフ・デイとデニス・フェルにより共同実践についての入門コースがあります。この二人は低所得国における医療とリハビリテーションの専門職間の繋がりの発展を目指しています。

一方、リーダーシップ・アドボカシーに関するコースでは、専門性を高めるためのポテンシャルを発展させたいと考えている教育者や臨床家をサポートします。

13コース全てで、臨床家、研究者、教育者など様々な分野の人が、また若い人からキャリアの長い人までが実用的な知識を、最新の知見から得られるようになっています。


【用語】

・アドボカシ―
 自己の権利を主張することが難しい高齢者や障害者などに代わって、別のものが権利を主張すること。

・共同実践のコース
 低所得国において他職種共同で現地のニーズを満たすプランを考えるコース。

・低所得国
 OECDの開発援助委員会(DAC)による分類には、LDC(least development countries、後発開発途上国)、LIC(low income countries、低所得国)、LMIC(low and middle income countries、低中所得国)、UMIC(upper middle income countris、高中所得国)、HIC(high income countries、高所得国)がある。


【使われていた英語表現】
・in-depth
 詳細な、綿密な

・low-income countries
 低所得国

・applied knowledge
 応用的な/実用的な知識


【あとがき】
今年初めてのWCPTニュースです。また次の学会の案内になります。コースのほとんどは1日コースで、参加費は210~280米ドルです。学会にも出て、学会前と後のコースにも出ると、かなりの出費になりますね。国際学会は言葉の面だけでなく、お金の面でもハードルが高いですね。

2017年1月15日日曜日

【WCPT Policy Statement】Disaster Management

12月に入ってからWCPT Newsが更新されませんね。今日はWCPT Policy Statement: Disaster Managementをお届けします。

【災害マネージメントに関するWCPT方針】

災害には様々な種類(自然災害や環境変化、技術進歩がもたらす災害など)があり、人々や国に与える影響は甚大で長期的なものになるという認識をWCPTはしている。

理学療法士が災害時に専門性を生かした貢献ができるよう平時からの備えとマネージメント戦略を練っておくようにWCPTは各国のメンバー組織に推奨する。

・理学療法士は国や地域が災害時の対策を考えるにあたり協力すべきである

・理学療法士は発災前・後・復興期における障害予防に関する教育や施策について協力すべきである

・理学療法士は被災者にリハビリテーションを含む介入や治療の提供をすべきである

・理学療法士は被災した全ての人が理学療法を受けることができ、健康面・機能面を最大限に高めることができるようにするべきである

WCPTは次のことを推奨する。

・メンバー組織は政府機関、非政府機関、援助機関などと協力し、災害予防策や災害対策準備、災害時活動戦略、コーディネート計画を行うこと

・メンバー組織は災害時、支援を申し出る個人会員と協力し、情報の共有などの手助けをすること

・メンバー組織は卒後教育に災害マネージメントに関する内容をカリキュラムに入れること。

【原文】
http://www.wcpt.org/policy/ps-disaster-management

【用語】

・災害コンティニュアム
 本文中には出てこないが、Disaster continuumという言葉があります。災害予防(prevention)、準備(preparedness)、災害時対応(response)、復興(recovery)の変化のある一連の流れを指します。WCPTは準備・対応・復興に理学療法士が関わっていけると報告書にまとめています。

・準備(preparedness)
 平時からの備えは非常に重要です。どのような備えをすべきか、災害が起こったら自分は何をしなければならないか。理学療法士という以前に、一個人として考えておく必要があります。
 また理学療法士として災害時にできることが、平時に自分ができることを超えることはありません。災害時に多い疾患はWCPTのレポートから引用すると、
・脊髄損傷、
・外傷性脳損傷、
・骨折、
・末梢神経損傷、
・熱傷、
・切断
であり、求められるPT技術は
・呼吸理学療法、
・スプリント(副子固定法)、
・車椅子処方、
・心理的ファーストエイド、
・障害インクルージョン(障害のある人もない人も同じ権利を持ったり、同じ活動を行ったりすること)
です。これらの事を普段の仕事でしていなければ、災害時にできる事ももちろんありません。
 JDRの導入研修でも「普段の仕事をきちんとやる、普段から様々なことにアンテナを張る」ことの重要性を再確認しました。

【使われていた英語】

・be involved
 (議論・活動などにいい意味で)参加する、関わる、携わる

・those affected by disasters
 被災者

・populations affected
 被災者全員

・curricula
 カリキュラム(curriculumの複数形)