理学療法士→青年海外協力隊→臨床に戻り基本からやり直す(現在)→大学院?→日本の技術を世界へ
2011年3月11日より発生しました東日本大震災において、犠牲になられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々に対しましては、お見舞い申し上げるとともに、一日でも早くの復興を応援・支援させていただきます。
2016年4月16日より発生しております熊本地震において、亡くなられた方に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

<祝>当ブログの読者Y.Kさんが青年海外協力隊(24-1 モンゴル)に合格した、という非常に嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>当ブログの読者で青年海外協力隊を目指すMIDORIさんが理学療法士国家試験に合格した、というおめでたい知らせを受けました。もう同じ臨床家です。お互い頑張りましょう。
<祝>当ブログの読者KENJIさんが青年海外協力隊(25-2 タイ)に合格した、というまたまた嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>募集説明会で体験談をお話させて頂いた方2名も青年海外協力隊(モザンビーク、ベトナム)に合格したと再会時に報告がありました。おめでとうございます。
<祝>2013年JOCVリハネットセミナーで私の活動報告を聞いてくださったA.Kさんも青年海外協力隊に合格されました。おめでとうございます。

青年海外協力隊 平成28年度秋募集(2016/10/1より募集開始) 体験談&説明会 開催予定日公開!
大阪以外の開催地・日程はこちら→http://www.jica.go.jp/volunteer/seminar/index.html
 ・梅田
 10月1日(土)14:30~ 阪急グランドビル26階 
 10月6日(木)19:00~ アプローズタワー10階 
 10月13日(木)19:00~ BREEZE BREEZE8階 
 10月22日(土)14:30~ 大阪富国生命ビル12階
 10月28日(金)19:00~ 阪急グランドビル26階
 ・天王寺
 10月8日(土)14:30~ あべのベルタ3階
 10月19日(水)19:00~ あべのベルタ3階
 ・堺
 10月16日(日)14:30~ 堺市立国際交流プラザ6階
  *当ブログの作者(ドミニカ共和国、理学療法士)は今回の春募集では体験談を話に行くことができませんが、興味をお持ちの方はぜひお越しください。私に質問がある場合は、関連する記事のコメント欄に質問いただければ、回答いたします。

2017年3月19日日曜日

WCPTから翻訳の許可

絶版ですが中古で手に入ります
昨年から取り組んでいるWCPT Newsの翻訳配信ですが、先日、WCPTから正式に許可を頂きました。1月は1件、2月は0件とニュースの配信が今年に入ってから少ないですが、今後も有益な情報を発信し続けていきたいと思います。

 以前、翻訳の勉強を始めるにあたり購入した本の紹介をしましたが、その後もいろいろな本を読んで勉強しています。最近よく読んでいるのが、別宮貞徳氏の本です。別宮氏は翻訳に必要な能力について「1英語の能力ではなく日本語の表現能力がより重要であり、2専門の学問の能力とは関係ない」と言うことを述べています。経済学者が翻訳した経済学の本がおおよそ読解不可能であることを例に挙げていますが、理学療法に関する翻訳本においても同様のことが言えるのではないでしょうか?

 例えばKendallのMMTの教科書に

「伏臥位を取り、どちら側でも快適な方に頭を向ける」

と書いてあるのですが、英語でheadと書いてあったのでしょうが、日本語では「顔を向ける」とすべきです。また

「この種の患者には他のテストも行ってみるよう検査者に注意を促す手がかりを与える」

も何を言っているのかすんなり理解はできません。「検査に協力的ではない患者には別の方法を用いなければならない」と言うと分かりやすいのではないでしょうか?

 Neumannの『筋骨格系のキネシオロジー』では

「神経系は、長時間安定した姿勢を維持させる働きを持つ筋線維を賦活することや、反対に必要に応じてより推進的な運動のために、短時間に大きな力を発生させることができる」

という難解な日本語が登場します。「反対に」とありますが、何と何を対比しているのでしょうか? これは姿勢維持に必要な小さな力と、動作を行う時などに必要な大きな力とを対比している文章ですが、こういった読解を読者にさせるというのは、翻訳の悪い例であると別宮氏は述べています。

 私自身、文章を書くのは好きな方で、このブログでは180ほどの記事を掲載しています。しかし、今までは単に書いているだけで、「日本語として美しいか」「読者にとって分かりやすい文章か」というところには無頓着でした。多少難解であっても、情報が正しいか、他では得られにくい情報か、という点を大切にしてきました。今回、WCPTの翻訳を正式に許可して頂いて、翻訳について学びを深めていく中で、日本語能力の重要性に気付かされました。今後は様々な、素晴らしいと言われている文章に数多く触れていきたいと思っています。

 子供のころは読書は好きではなかったのですが、30歳台になって読書に目覚めるとは思いもしませんでした。丸谷才一氏の『文章読本』では多くの「名文」が紹介され、文章を書くにあたっての心構えなども学べそうなので、手に入れてみようと思っています。

2017年1月18日水曜日

【WCPT News】完全版 2017/1/18 ケープタウン大会では他では得られない様々な学習機会を用意

WCPTケープタウン大会には13の特別コースが用意されており、学術プログラムの補完を、その道の専門家から直接から受けることができます。

7月1日と5日に開催されるそれらのコースは希望者制で大会に一日でも参加する人であれば誰でも申し込むことができます。参加費は安く抑えられており、オンラインでスケジュールが確認できるようになっています。

コースの詳細にはそれぞれのトピックスが示されており、運動学や人間工学、小児学、ウイメンズヘルスなどがあり、学習形式も様々です。同じ志を持つ参加者との出合いの機会となるでしょう。

7月1日(土)は、オーストラリアのキャサリン・グレンジャーと、デンマークのモーテン・キストが運動と肺癌についてコースを開催します。また同じ日に、高齢者に対する運動について、方法や年齢に応じた運動強度などについて深く考えるコースも開催されます。

大会の後に行われるコースの一つに、アメリカのジョセフ・デイとデニス・フェルにより共同実践についての入門コースがあります。この二人は低所得国における医療とリハビリテーションの専門職間の繋がりの発展を目指しています。

一方、リーダーシップ・アドボカシーに関するコースでは、専門性を高めるためのポテンシャルを発展させたいと考えている教育者や臨床家をサポートします。

13コース全てで、臨床家、研究者、教育者など様々な分野の人が、また若い人からキャリアの長い人までが実用的な知識を、最新の知見から得られるようになっています。


【用語】

・アドボカシ―
 自己の権利を主張することが難しい高齢者や障害者などに代わって、別のものが権利を主張すること。

・共同実践のコース
 低所得国において他職種共同で現地のニーズを満たすプランを考えるコース。

・低所得国
 OECDの開発援助委員会(DAC)による分類には、LDC(least development countries、後発開発途上国)、LIC(low income countries、低所得国)、LMIC(low and middle income countries、低中所得国)、UMIC(upper middle income countris、高中所得国)、HIC(high income countries、高所得国)がある。


【使われていた英語表現】
・in-depth
 詳細な、綿密な

・low-income countries
 低所得国

・applied knowledge
 応用的な/実用的な知識


【あとがき】
今年初めてのWCPTニュースです。また次の学会の案内になります。コースのほとんどは1日コースで、参加費は210~280米ドルです。学会にも出て、学会前と後のコースにも出ると、かなりの出費になりますね。国際学会は言葉の面だけでなく、お金の面でもハードルが高いですね。

2017年1月15日日曜日

【WCPT Policy Statement】Disaster Management

12月に入ってからWCPT Newsが更新されませんね。今日はWCPT Policy Statement: Disaster Managementをお届けします。

【災害マネージメントに関するWCPT方針】

災害には様々な種類(自然災害や環境変化、技術進歩がもたらす災害など)があり、人々や国に与える影響は甚大で長期的なものになるという認識をWCPTはしている。

理学療法士が災害時に専門性を生かした貢献ができるよう平時からの備えとマネージメント戦略を練っておくようにWCPTは各国のメンバー組織に推奨する。

・理学療法士は国や地域が災害時の対策を考えるにあたり協力すべきである

・理学療法士は発災前・後・復興期における障害予防に関する教育や施策について協力すべきである

・理学療法士は被災者にリハビリテーションを含む介入や治療の提供をすべきである

・理学療法士は被災した全ての人が理学療法を受けることができ、健康面・機能面を最大限に高めることができるようにするべきである

WCPTは次のことを推奨する。

・メンバー組織は政府機関、非政府機関、援助機関などと協力し、災害予防策や災害対策準備、災害時活動戦略、コーディネート計画を行うこと

・メンバー組織は災害時、支援を申し出る個人会員と協力し、情報の共有などの手助けをすること

・メンバー組織は卒後教育に災害マネージメントに関する内容をカリキュラムに入れること。

【原文】
http://www.wcpt.org/policy/ps-disaster-management

【用語】

・災害コンティニュアム
 本文中には出てこないが、Disaster continuumという言葉があります。災害予防(prevention)、準備(preparedness)、災害時対応(response)、復興(recovery)の変化のある一連の流れを指します。WCPTは準備・対応・復興に理学療法士が関わっていけると報告書にまとめています。

・準備(preparedness)
 平時からの備えは非常に重要です。どのような備えをすべきか、災害が起こったら自分は何をしなければならないか。理学療法士という以前に、一個人として考えておく必要があります。
 また理学療法士として災害時にできることが、平時に自分ができることを超えることはありません。災害時に多い疾患はWCPTのレポートから引用すると、
・脊髄損傷、
・外傷性脳損傷、
・骨折、
・末梢神経損傷、
・熱傷、
・切断
であり、求められるPT技術は
・呼吸理学療法、
・スプリント(副子固定法)、
・車椅子処方、
・心理的ファーストエイド、
・障害インクルージョン(障害のある人もない人も同じ権利を持ったり、同じ活動を行ったりすること)
です。これらの事を普段の仕事でしていなければ、災害時にできる事ももちろんありません。
 JDRの導入研修でも「普段の仕事をきちんとやる、普段から様々なことにアンテナを張る」ことの重要性を再確認しました。

【使われていた英語】

・be involved
 (議論・活動などにいい意味で)参加する、関わる、携わる

・those affected by disasters
 被災者

・populations affected
 被災者全員

・curricula
 カリキュラム(curriculumの複数形)

2016年12月13日火曜日

JDR(国際緊急援助隊)医療チーム 導入研修

 先日、JICA東京で2泊3日で行われた「第54回国際緊急援助隊(JDR)医療チーム導入研修」に参加してきました。JDRについては以前、記事(2016/3/8)で理学療法士の役割が重要視され始めている、という事を書きましたが、その点についていろいろ知ることができました。
 災害が発生すると多くの国やNGOなどが緊急医療支援を行います。その医療チームの診断レベル、治療レベル、ロジスティックレベルは非常に高いものから、如何わしいものまで様々です。特にハイチの地震の際に、その問題をWHOが取り上げ、対策に乗り出しました。それが緊急医療チーム(EMT)認証制度です。これにより、医療チームの質の保証と信頼性を確保できるようになりました。EMT認証には、type 1からtype 3とspecial cellの4種類の分類があり、今年、JDRはEMT type 3以外の全ての認証を得て、手術も可能となりました。type 2、3、special cellにおいてはリハビリテーションに関しても対応できなければならないとWHOが明記しています。
 今回の研修には4人の理学療法士が参加し、無事みな合格し、本登録の手続きに入ります。被災国からリハビリテーションに対応できるチームの要請があった場合に備えて、今後もっとJDRに登録している理学療法士が増えないといけないと感じます。マニュアルの作成や、必要機材には何があるか、何が具体的にできるか、などこれから整備していく段階です。JDR登録PTのネットワークを作る必要があると思いますので、そこから動いていこうかと考えています。
 非常に濃い3日間の導入研修の次には、もっと濃い中級研修があります。「より詳しくは中級研修で」という項目も多々あり、中級研修に参加し、学ぶことが今から楽しみです。


<参考>


・2016年11月発行のEMT Initiativeという冊子を読むことができます。
http://www.who.int/hac/techguidance/preparedness/emergency_medical_teams/en/

・EMTに関するWHOのエクストラネット
https://extranet.who.int/emt/page/home

・EMT認証基準に関する手引書(ブルーブック)
http://www.who.int/hac/global_health_cluster/fmt_guidelines_september2013.pdf?ua=1

●JDRのEMT認証について

・JICAのプレスリリース
https://www.jica.go.jp/information/jdrt/2016/ku57pq00001v8lkl.html


●EMTにおけるリハビリテーション関連職の知識・技術・資材等の必要水準(WHO草案)
MINIMUM TECHNICAL STANDARDS AND RECOMMENDATIONS FOR REHABILITATION
https://extranet.who.int/emt/sites/default/files/Minimim%20Technical%20Standards%20and%20recommendations%20for%20rehab.pdf

●WCPTがまとめた災害時のPTの役割
http://www.wcpt.org/sites/wcpt.org/files/files/resources/reports/WCPT_DisasterManagementReport_FINAL_March2016.pdf

●国際人道支援をより効果的に行うための電子教材(Eラーニング)
WHOのウェブサイトでも紹介されていた無料学習サイト。ハーバードやIMCなどが共同で作成しています。
http://www.buildingabetterresponse.org/

2016年12月2日金曜日

WCPTウェブサイトに「世界理学療法の日」活動レポート掲載

 以前、「世界理学療法の日」について記事にしました(http://lily-international-cooperation.blogspot.jp/2016/09/world-physical-therapy-day-98.html)。世界理学療法連盟(WCPT)が作ったポスターやパンフレットの日本語翻訳版が作られたことを紹介いたしましたが、その翻訳メンバーの一人が私でした。せっかく翻訳の段階から「世界理学療法の日」と関わってきたのだから、ポスターやパンフレットを活用して、日本からも「世界理学療法の日」を盛り上げようと草の根的に活動しました。
 小さなことですが、今の職場のリハ室の入り口に、ポスターを掲示し、パンフレットを設置しました。患者さんやそのご家族、そして職員なども立ち止まって見てくれていました。この取り組みをレポートにしてWCPTに提出しました。
 WCPTのウェブサイトには、毎年行われている「世界理学療法の日」の活動レポートが国ごとに掲載されています。日本からは今までレポートがなかったのですが、今年2016年の活動レポートのページに私のレポートが取り上げられました。記念すべき日本からの第一号です。
こちらをクリック!
 世界中のPTが目にすると思い、英文にはネイティブチェックを入れてもらいました。添削者は、オーストラリア留学の際にお世話になったホストファミリーのお母さんで、分かりやすい文章になりました。ウェブサイトに掲載された文章は、実際に書いたものの半分くらいに削られ、個人的な思いなどもカットされてしまいましたが、掲載して頂いただけでも満足です。
 WCPT事務局からもこの記事が掲載されたことをメールで連絡いただきました。掲載が遅くなったことを謝罪していましたが、それは今年はレポートがたくさん各国から届いたからだそうです。また、おそらく、私が書いたレポートの内容を改変して掲載していることから、他の国でも同じように、WCPTのウェブページに掲載できる形に整えてからのアップロードだから時間がかかったのだと思います。
 来年も何らかの形で「世界理学療法の日」と関わっていければと思います。

2016年11月30日水曜日

【WCPT News】完全版 2016/11/29 HIVリハビリテーションの新たな可能性

【完全版】

 HIVと共に生きる人が増え、そして長い経過をたどる疾患になったことで、理学療法士の役割がより大きくなってきています。

 トロント大学理学療法学部のステファニー・ニクソン准教授は来年のWCPTケープタウン大会でシンポジウムを行います。

 彼女からのメッセージです。「HIV患者に対する理学療法のニーズが増してきています。それはHIVが今や慢性疾患になったからです。」この事に関してはシンポジウムで取り上げられるでしょう。

 「理学療法士の多くはこの分野は自分の専門外だと思っています。能力開発がまさに必要です。リーダーシップが求められています。すでに持っている技術を使えば、HIVを持つ大人や子供にとって素晴らしい理学療法士になれるでしょう。さらなるステップを踏み出す時です。」

 さらにニクソン准教授は「免疫システムが侵されるということは、全身のいたる所が感染しやすい、ということです。たとえ神経系のリハビリテーションに携わっていてHIVとは縁がないと思っていても、HIV患者はきっとあなたのところへ訪れることがあるでしょう。他のどのような領域で働いていてもそうです。」と加えました。

 HIV患者の手助けができるのではないかと考える理学療法士は増えています。イギリスではニクソン准教授はダレン・ブラウン氏の取り組みに注目しています。ブラウン氏はHIV、腫瘍学、緩和ケアを専門に、ロンドンのチェルシー&ウエストミンスター病院で働いています。彼のコブラー・リハビリテーション教室はグループリハ的な介入を行っており、理学療法の効果や価値を、患者を全人的に捉えて長期的に経過を追うことで示してきました。

 「ダレンのプログラムでは1対1の臨床ケアが行われますが、同時に対象者を全人的に捉えます。教室ではグループで行われ、具体的な機能障害に対応するのと同時に、対象者とその周りの人とのつながりをも考えます。彼は四肢や臓器レベルで起こった問題に対処しますが、同時に機能障害がその人の活動や参加レベルでどのような影響を与えているのか、あらゆる面から対処します。」とニクソン准教授は言いました。

 東ヨーロッパやアフリカ南部ではHIVが流行していることから、研究や長期調査が行われている。ヨハネスブルクにあるウィットウォーターストランド大学のジョアンヌ・ポッタートン理学療法士は、生まれつきHIV陽性の子供に対するケアをどのように発展させていくかを示した研究に、ニクソン准教授は注目しています。

 「ジョアンヌは長年、小児のリハビリテーションに携わってきました。生まれつきHIVを持つ子供におけるHIVの影響について数多くの研究結果を報告しています。ここ10年でアフリカ南部にもHIVの治療がいきわたるようになってきたので、そのような子供たちの成長をしっかり見ることができるようになりました。以前なら不可能でした。

 医学により寿命が延びた、そしてリハビリテーションによって健康寿命が延びた、とよく言われます。文字通り、それが成し遂げられました。この疾患の理学療法の過渡期において、これまで以上に必要性が増しています。」


【用語解説】

・ステファニー・ニクソン
 カナダ人理学療法士。HIV活動家として20年間、研究を行ってきた。

・HIVとリハビリテーション
 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染しAIDSを引き起こす。AIDS関連の死亡は2004年のピーク時よりも42%減少したという。つまり慢性疾患へと移り変わってきたことで、新たに若い人が感染するケースが増えてきている。HIVによる障害は全身の各器官に及ぶため、神経系や、呼吸器系、筋骨格系などの機能障害が生じる。また参加制限や、episodic disability(予想不可能な状態の変化に伴う能力低下。つまり、良いときもあれば悪いときもある能力障害)も生じる。
 このepisodic disabilityという用語は、ニクソン女史のシンポジウムでのキーワードになっている。

・全人的
 障害だけを見るのではなく、その人全体、つまり、身体面、社会面、経済面などを総合してみること。


【使われていた英語表現】

・people living with HIV
 HIVとともに生活している人々
 日本語でも障害者→障がい者、分裂病→統合失調症、痴呆症→認知症、など、障害当事者の方への配慮が、言葉の上でもなされている。英語でも、the disabled→disabled people→people with health conditionsや、wheelchair-bound→wheelchair userなど、言葉の上での配慮がなされる。

・transition
 〈名詞〉移り変わり、過渡期
 〈動詞〉移り変わる

・compromise
 〈名詞〉和解、妥協、折衷
 〈動詞〉和解する、妥協する、(名声などを)汚す、傷つける
 *compromised:感染しやすい

・immune system
 免疫系

・be vulnerable to
 ~を受けやすい

・whole-person approach
 全人的アプローチ

・one-on-one
一対一の

・prevalence
 流行、普及

・be born HIV-positive
 生まれつきHIVが陽性な

・a good ten years
 たっぷり十年

・more now than ever
 今まで以上に


【あとがき】

 11月はWCPTニュースの配信が1件でした。油断して見落としそうでした。最後の段落のAnd yet you rarely・・・roles around HIV.が訳せませんでした。policy tableとかresearch funding tableとかは何かの比喩でしょうか? どなたか分かるかたがいらっしゃればご教授ください。
 HIV患者に対するリハビリテーション。日本はHIVに関する社会の関心が低いと指摘されています。社会の問題よりも個人の問題として捉えられている面があります。日本でも新規感染者が増加傾向にあり、今後、理学療法・リハビリテーションが必要なHIV患者が自分と所へ来るかもしれません。本文にも述べられていたように、病気のことを理解すれば、あとは理学療法士として必要な技術はすでに持ち合わせているはずです。HIVに関する社会保障などについても知っておく必要もありますかね。今回もまた興味深い記事でした。

2016年11月1日火曜日

【WCPT News】完全版 2016/10/31 生活習慣改善のための系統的アプローチをロールプレイで学ぶ

【完全版】 2016/11/2更新

 来年のWCPT南アフリカ大会では革新的なセッションが予定されています。ロールプレイで患者に、より健康的な生活を営んでもらうための促し方を学びます。

 このシンポジウムでは、臨床での理由付けスキルを、生物心理社会学的質問法を実践的に学ぶことで強化し、療法士が患者により健康的な生活習慣を送ってもらうよう促すことが可能になります。アン・ソダーランド博士はこのセッションの座長を務めます。彼女はこの心理社会学的アプローチに対する理解が得られてきてはいるが、残念ながら今のところ系統的に実践方法を紹介してきてはいない、と説明しました。

 ソダーランド博士は「今、良いことに意識され始めています。変化の始まりです。ロールプレイでは患者役・療法士役を交代でします。ツールを用いたり、知識を与えたりして出来るだけ具体的になるようにします。これが最も大切なことで、すべき事は分かっていてもどうすればいいのか分からないのです。」と述べています。

 彼女は次のように言っています。「療法士は患者の移動能力や機能障害に注目しすぎます。坐位での行動や軽い身体活動、不健康なライフスタイルが実は解決したいと思っている問題の原因になっているかもしれないのにです。」

 さらに「ほとんどの国では問題を解決するために教育があります。患者は病院に来て、背中を曲げると痛い、と訴えてきます。すると療法士はそれ来たぞと、頭の中であれこれ考え、問診し問題点を挙げていきます。問題を直接解決しようとするため、患者を全人的に分析していないのです。」

 このセッションは大盛況だったシンガポール大会で推進された、健康に基づいた実践能力とエビデンスに基づいた評価ツールを継いでいます。ケープタウン大会でのロールプレイセッションは4つあります。評価ツールの使い方の実演や、心理社会的戦略、そして会員組織がいかに健康促進を臨床や教育に取り入れていくことができるかの詳しい見立ても紹介されます。

 日々の臨床で療法士はさまざまな技術を使い行動を変えようとしています。自己管理や目標設定、フィードバックに関する技術も含まれます。しかし、ソダーランド博士は、それでも十分意識的に個々の患者の利益を最大限にすることはできていないと主張しています。

 「これまで非系統的に行われてきました。理学療法士は自分が何を行っているのか分かっていないのです。例えば、患者に運動日誌を書かせても、そこに事実が反映されていません。しかし、その事実にこそ、患者の行動を変える何かが隠されているのです。もしこれらのことを意識的に行えば、行動変化から得られるものはより多くなるでしょう。」と彼女は語りました。


【用語解説】

・アン・ソダーランド(セーデルルンド)
 スウェーデン出身。彼女が行う行動医学を理学療法に取り入れる研究は、国際的にも珍しい。

・行動医学
 行動と疾患の関係を科学し、応用実践する医療分野。医学と心理学を結びつけて行動を分析する。例えば、喫煙者は座っている時間が長い、など。

・心理社会学的アプローチ
 病気や障害などがどれだけ心理的・社会的インパクトを持っているかを考慮し、生活の活動性を低下させないよう、自信を持たせ、社会との繋がりを維持できるようにする考え方。

・エビデンス情報に基づく実践
 エビデンスに基づく医療evidence-based medicine (EBM)や実践evidence-based practice (EBP)の考え方が、特にインターネットが普及して広く取り入れられるようになった。エビデンスに基づいて最良の医療を提供するという考えだが、それを患者に押し付けてはいけない。何を選択するかは患者の自由であるが、エビデンス情報は全て提供するべきであり、そういった意味でEBPよりもevidence-informed practice (EIP)と言う方がいいかもしれない、として使われている用語。前者は科学尊重、後者は人間尊重の用語と言える。


【使われていた英語表現】

・only +動詞
 残念ながら~

・concrete
 具体的な

・zero in on ~
 ~に注目する

・sedentary behavior
 坐位での行動

・diagnose
 診断。(日本では「診断」は医師の専売特許ですが、英語では疾患や障害の原因を見つけるという意味で使われています。)

・analyse
 分析する

・integrate ~ into ~
 ~を~に統合する

・day-to-day
 日々の

・an array of ~
 ずらりと並んだ~、勢揃いの~

・self-monitoring
 自己管理

・goal-setting
 ゴール設定、目標設定

・reflect on ~
 ~に反映する

・lead to ~
 ~に繋がる


【翻訳作業について】

前記事で紹介した『英文翻訳術』で無生物主語に関して、英文を読みほどいて日本語に翻訳する、というテクニックが書かれていました。それを今回のニュースで応用すると例えば次のようになります。

・The awareness is really there now.
→They are more aware of it now.(今、より認識されるようになってきた。)

・The tendency has been for therapists to zero in on patient's difficulties with mobility.
→Therapists tend to zero in on patient's difficulties with mobility.
→Therapists tend to zero in on how difficultly patients move.(療法士は患者の移動能力に注目しがちだ。)


【あとがき】

やはり翻訳は難しいです。自分で訳した文章を自分で読み直しても、他の人が読んだらどうか、という所まであまり想像できません。用語解説を読んでいただけると内容が分かりやすいかと思います。