2年前、シンガポールにおいて副会長にMargot Skinnerが、会長に私が選出されました。私たち二人は他の新役員とともに新たな旅立ちに出たのです。
任期の4年の内、もう半分が過ぎてしまったとは信じられません。前役員の仕事を引き継ぎつつも、この2年間でWCPTは大きく変わりました。
外との繋がり
・初めて私たちは、WCPTの戦略的計画についての国際協議を終えました。世界のPTやPT組織が未だかつてない程、この計画に関わっています。
・私たちは、WHOとのつながりを強化するために計画的に仕事をしました。特にWHO「加齢と人生」とWCPTサブグループIPTOPの連携や、リハビリテーション2030に参加しているWHO「障害とリハビリテーション」とのつながりを強化しました。WHO「障害とリハビリテーション」は国際的なリハビリテーション共同体を作ることに賛同しています。
・私たちは、WHOとのつながりを強化するために計画的に仕事をしました。特にWHO「加齢と人生」とWCPTサブグループIPTOPの連携や、リハビリテーション2030に参加しているWHO「障害とリハビリテーション」とのつながりを強化しました。WHO「障害とリハビリテーション」は国際的なリハビリテーション共同体を作ることに賛同しています。
・私たちは、パートナーシップ構築計画を引き続き行います。すでに結んでいるパートナーシップの見直し・整理や、INPTRAやHandicap Internationalとの覚書を交わしました。
・WCPTの認定制度は、私たちが想像していたよりも早く形になってきています。世界中の教育機関に対して質的保証を行うことに大きな意味があります。
・WCPTの認定制度は、私たちが想像していたよりも早く形になってきています。世界中の教育機関に対して質的保証を行うことに大きな意味があります。
昨年5月、成都市と昆明市の理学療法課程に認定書を授与する際、Margot Skinnerが中国を訪問 |
内部の見直し
・WCPTはこの時代の国際機関の中では最も優れた運営をする団体を目指しています。そのため組織の構造や資金や経営に関して見直しを進めるとともに、現在進行中の内政の見直しも継続します。
・初めてWCPTは戦略的事業計画をすべて原価計算で行いました。
・新たなメンバーとしてJonathon Kruger (最高経営責任者)、Sidy Dieye (プロジェクトマネージャー), Héðinn JónssonとBirgit Mueller-Winkler (職能アドバイザー)、Deborah Williams (財務部長)、Atim Henshaw (業務支援係), Kiran Acharya (渉外担当)が加わりました。
・新たなメンバーとしてJonathon Kruger (最高経営責任者)、Sidy Dieye (プロジェクトマネージャー), Héðinn JónssonとBirgit Mueller-Winkler (職能アドバイザー)、Deborah Williams (財務部長)、Atim Henshaw (業務支援係), Kiran Acharya (渉外担当)が加わりました。
・財務・会員・認定の3つの部門が新設されました。
・WCPT各支部長5人とWCPT役員が会合で集まった際に、各地の支部との連携や統制をいかに行うか話し合いがされました。各支部長は今後、WCPT役員会議に出席することになります。
・WCPT各支部長5人とWCPT役員が会合で集まった際に、各地の支部との連携や統制をいかに行うか話し合いがされました。各支部長は今後、WCPT役員会議に出席することになります。
・役員憲章や運営ガイドラインを作成し、新たな枠組みでの経営を行えるよう今月、役員会議で話し合い、承認されることを目指しています。
Xerri de Caro博士がEl-Adawi教授とSaab博士と会談、2016年9月 |
これからの展望
・SUDAプロジェクト(マリ、ニジェール、セネガルの職能団体および教育プログラムの発展を支援する活動)に、支援金を送りました。能力開発をサポートする外部基金を発掘していく計画の第1号となりました。
・メンバー組織からのリーダーシップに関する研究や事例を活用して、WCPTは次世代のリーダーを育成するグローバルリーダーシップアカデミー開催に着手しました。
2016年4月、北米・カリブ地区WCPT年次会合でStacy De Gale(中央)とMargot Skinnerとともに |
経営改革におけるソートリーダーのWilliam L McCombは「改革は点ではなく線だ」と言います。
メンバー組織や各地のWCPT支部、サブグループなどのニーズに応えるため、私たちは常に進歩しようと努力しています。
この2年は忙しくも実りのあるものでした。いつも最善の方法を取っているとは限りませんが、常に成長と発展を目指し、世界中のPTが繋がりを感じられる組織になれればと考えています。
これからの2年、皆さまに刺激的な機会を提供できるよう努めてまいります。
【用語解説】
・WHOのプログラム・プロジェクト
計画や企画、事業などをprogramと言ったりprojectと言ったりします。同義語のように使われることもありますが、国際協力の世界などでは区別されています。小さな、例えば地域を限定したような事業はprojectと言い、projectが集まってできたものがprogramとなります。WHOには多くのプログラムやプロジェクトがあります。Aging and Life-CourseやDisability and Rehabilitationはその例です。
(参考)
・WCPTサブグループ
WCPTとは別の組織だが、一定の要件を満たした理学療法に関する国際的な団体。各団体が自らWCPTに申請を出し、サブグループとして登録してもらう方式。
本文に出てきたIPTOPは「高齢者のための理学療法国際団体」のことです。
(参考)
・リハビリテーション2030
リハビリテーションのニーズは世界中で高いが、低中所得国では十分なリハビリテーションが提供されていません。WHOのプロジェクト「Disability and Rehabilitation」ではこの需要と供給のミスマッチを是正するため、リハビリテーション2030というアクションプランを立てました。
WHOは以前、Global Disability Action Plan 2014-2021というものを発表しましたが、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール3に対応するより幅広い内容のプランが必要だ、ということで2030年までに達成したい目標を設定しました。
(参考)
・SUDAプロジェクト
Handicap Internationalという団体とWCPTが2018年1月までの予定で行っているプロジェクト。対象国となっているマリ、セネガル、ニジェールは紛争地区で障害者が多く、リハビリテーション職種に求められるものを大きいと言われています。
(参考)
・グローバルリーダーシップアカデミー
WCPTのStrategic Plan 2017-2021の中で何度かleadership academyを開校し、可能ならWCPTが提供する生涯学習教材としてMOOCs(Massive Open Online Courses、大規模公開オンラインコース)展開したい考えのようです。
(参考)
・ソートリーダー
Thought leaderとは自分の哲学や考えを表明して、ある特定の分野でリーダーシップを取っていく人(もしくは組織)を言うのだそうです。単なるリーダーとは違い、時代を先取りし、人と人の間に議論を引き起こすような活動をする人を指すようです。
【使われていた英語表現】
・unprecedented
前例のない
・consortium
協会、共同体
*tiumの所の発音はティアムよりもシアムが普通のようです。
・memoranda of understanding
各書、基本合意書
*memorandaはmemorandumの複数形です。
・accreditation
認定
・contemporary
同世代の、同時代に存在する
・charter
憲章
・explicit
明白な、腹蔵のない
・draw on
(知識、経験、技術など)を活かす
【翻訳のウラ側】
・Transformation is an era, not an event.
Transformationは直前に出てきたchangeと同義ですが、やや堅い表現になります。同じ単語の繰り返しを避けるために言い換えていると思われますので、「改革」とそのまま訳出しました。
eraは時代、eventは出来事、ですが、これは時間的幅の比喩表現と読んで、それぞれを「線」と「点」というように訳出しました。後の文の、常に変わり続ける、という内容にも合っていると思います。
(訳例)改革は点ではなく線である。
・We are a constant work in progress.
初見ではこの文章の意味がよく分かりませんでした。workを「仕事」と捉えて「私たちは絶え間ない仕事」となり日本語としておかしかったので、英文の方の誤植か、と思ってしまいました。
困ったときはtwitterで同じ表現を使っている人がいないか検索して、どういう文脈で使用しているのかを調べてみる方法を時々取ります。今回もa constant work in progressと検索ボックスに入力して、世界中のツイートを見てみました。すると比較的よく使用する表現のようで、ツイートを読んでいると、いつでも学ぶ姿勢がある、という意味のようです。
文を分析すると最後のwork in progressが一塊で、「作っている最中の作品」という感じです。人に対して使われているので、「まだ未熟で学んでいる最中」という意味になると思います。それにconstantがついて「一生勉強」に近い意味になるのではないでしょうか。
(訳例)私たちはこれからも学び続けていきます。
【あとがき】
今回の会長の記事は、知らない内容が多く、関連のレポートなども読みながら訳しましたので、非常に時間がかかりました。解説も多く載せましたので、合わせてご覧ください。
関連レポートを読んでいると、どこそこの分野の研究が足りていない、などの問題提起がされています。研究者の方は、自分がしたい研究より、求められている研究をしてほしいな、と思うときがあります。何が求められているかは、WHOなどのレポートを読むと分かることがあるんだと学びました。
【使われていた英語表現】
・unprecedented
前例のない
・consortium
協会、共同体
*tiumの所の発音はティアムよりもシアムが普通のようです。
・memoranda of understanding
各書、基本合意書
*memorandaはmemorandumの複数形です。
・accreditation
認定
・contemporary
同世代の、同時代に存在する
・charter
憲章
・explicit
明白な、腹蔵のない
・draw on
(知識、経験、技術など)を活かす
【翻訳のウラ側】
・Transformation is an era, not an event.
Transformationは直前に出てきたchangeと同義ですが、やや堅い表現になります。同じ単語の繰り返しを避けるために言い換えていると思われますので、「改革」とそのまま訳出しました。
eraは時代、eventは出来事、ですが、これは時間的幅の比喩表現と読んで、それぞれを「線」と「点」というように訳出しました。後の文の、常に変わり続ける、という内容にも合っていると思います。
(訳例)改革は点ではなく線である。
・We are a constant work in progress.
初見ではこの文章の意味がよく分かりませんでした。workを「仕事」と捉えて「私たちは絶え間ない仕事」となり日本語としておかしかったので、英文の方の誤植か、と思ってしまいました。
困ったときはtwitterで同じ表現を使っている人がいないか検索して、どういう文脈で使用しているのかを調べてみる方法を時々取ります。今回もa constant work in progressと検索ボックスに入力して、世界中のツイートを見てみました。すると比較的よく使用する表現のようで、ツイートを読んでいると、いつでも学ぶ姿勢がある、という意味のようです。
文を分析すると最後のwork in progressが一塊で、「作っている最中の作品」という感じです。人に対して使われているので、「まだ未熟で学んでいる最中」という意味になると思います。それにconstantがついて「一生勉強」に近い意味になるのではないでしょうか。
(訳例)私たちはこれからも学び続けていきます。
【あとがき】
今回の会長の記事は、知らない内容が多く、関連のレポートなども読みながら訳しましたので、非常に時間がかかりました。解説も多く載せましたので、合わせてご覧ください。
関連レポートを読んでいると、どこそこの分野の研究が足りていない、などの問題提起がされています。研究者の方は、自分がしたい研究より、求められている研究をしてほしいな、と思うときがあります。何が求められているかは、WHOなどのレポートを読むと分かることがあるんだと学びました。
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