論文掲載を約束したり講演依頼をする勧誘メールが理学療法士に送りつけられ、後から高額な料金を請求する悪徳な出版社があるとして、WCPTは注意換気を行っています。
研究成果を学術誌に掲載したり、学会で発表したりすることは、学術的に非常に重要なことですが、金儲けのためだけのジャーナルやイベントなどが増えてきており、医療従事者が獲物にされています。
いわゆる「ハゲタカ出版社」によるジャーナルやイベントの存在は広く認識されつつあります。好条件で近づく怪しい勧誘があれば、きちんと調査したり、きっぱり断りましょう。
「WCPTやそのメンバー組織のような適切に運営されている団体が、どこの誰かも分からない者に類似組織を作られていることに気づくことがあります。これは悲しいですが現実です。」とWCPTのCEOであるJonathon Krugerは述べています。
「研究や教育に携わる方は、自分の名前が無断で編集委員やイベント準備委員、発表者などに使われていないか、目を光らせておかなければなりません。」
ハゲタカジャーナルはスパムメールを使って寄稿の依頼を、理学療法士を含む研究者や教育者に送ってきます。即掲載や、特典付き、などと勧誘してきます。しかし、信頼のある出版社なら行われる査読や編集、アーカイブ化などは行われません。
ハゲタカ出版社が絡む国際イベントは、北米や西ヨーロッパ、日本、中国などの魅力的な都市で、信頼のある別のイベントと時期を合わせて開催することが多いです。 プログラムは細かく組まれており宣伝もされているのですが、演者の経歴や写真が許可なく使われていることが確認されています。
このようなイベントのウェブサイトや広告には問い合わせ先が書かれていないことが多く、開催日以降はすぐに閉鎖されます。 カナダやオーストラリアの権威ある出版社をOMICSグループが買収した時には批判が集まりました。
南アフリカ共和国の栄養士Elizabeth Fourieは「第11回肥満・内分泌学会」という2日間のオーストラリアでのイベントに騙されて参加しました。当日、プログラムに書かれた演者は欠席だと告げられ、発表内容は精査されておらず、多くの論文はテーマとの関連が薄いものでした。
ハゲタカ出版社によるジャーナル、イベント、メール送信は近年、増加しており、毎日のように教育関係者からスパムメールの報告があります。ハゲタカ学会は「利益目的に科学論文を利用したサイドビジネス」として悲しくも横行しています。それにより研究者は信頼のある認められた学会等で発表する機会を奪われます。
若い研究者や教育者で、英語を第一言語としない方は特に狙われやすいです。もう気づいているでしょうが、質の低い出版物やイベントに関わると自身の信頼の低下に繋がり、誰も関心を持ってくれなくなるでしょう。
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