理学療法士→青年海外協力隊→日本で臨床をしながら緊急援助について学ぶ(現在)→大学院?→国際協力をライフワークに
2011年3月11日より発生しました東日本大震災において、犠牲になられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々に対しましては、お見舞い申し上げるとともに、一日でも早くの復興を応援・支援させていただきます。
2016年4月16日より発生しております熊本地震において、亡くなられた方に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

<祝>当ブログの読者Y.Kさんが青年海外協力隊(24-1 モンゴル)に合格した、という非常に嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>当ブログの読者で青年海外協力隊を目指すMIDORIさんが理学療法士国家試験に合格した、というおめでたい知らせを受けました。もう同じ臨床家です。お互い頑張りましょう。
<祝>当ブログの読者KENJIさんが青年海外協力隊(25-2 タイ)に合格した、というまたまた嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>募集説明会で体験談をお話させて頂いた方2名も青年海外協力隊(モザンビーク、ベトナム)に合格したと再会時に報告がありました。おめでとうございます。
<祝>2013年JOCVリハネットセミナーで私の活動報告を聞いてくださったA.Kさんも青年海外協力隊に合格されました。おめでとうございます。
<祝>国際緊急援助隊に当ブログを見て興味を持って頂いたOTさん、青年海外協力隊説明会でお会いしていたOTさん、フェイスブックで私を見つけて質問して頂いたPTさんが仲間入りしました。みなさん青年海外協力隊経験者でした。

青年海外協力隊  体験談&説明会
  *当ブログの作者(ドミニカ共和国、理学療法士)は今回の春募集では体験談を話に行くことができませんが、興味をお持ちの方はぜひお越しください。私に質問がある場合は、関連する記事のコメント欄に質問いただければ、回答いたします。

国際緊急援助隊(JDR)医療チームへの参加に関心のある方へ
  *JDR医療チームはWHO EMT InitiativeのType2認証を受けており、リハビリテーションの提供が求められるチームとなっています。理学療法士・作業療法士で関心のある方、仲間が増えるとうれしく思います。
ラベル 青年海外協力隊 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 青年海外協力隊 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年7月12日日曜日

国際リハビリテーション研究会セミナー2020(オンライン)

三年前に「国際リハビリテーション研究会」というものが発足しました。発足の際のキックオフミーティングに参加したときの記事にある通り、国際協力におけるリハビリテーションに主眼を置いた会です。年1回のセミナーや、年1回の学術集会などを行っていますが、今年はオンライン開催となり、初めてセミナーに参加しました。申し込み時に「会員」と書いて申し込んだのですが、実は会員ではなかったことを、事務局からのメールで知り、今更ながら会員になりました。

今年のセミナーは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の影響で日本に一時退避中の青年海外協力隊(JOCV)3名の活動報告でした。JOCVの話を聞くのは本当に久しぶりでした。私は9年前に派遣されたJOCVですが、参加者の中にはもっと前の方もいらっしゃいました。コメントにもありましたが、今も昔も変わらない、途上国特有の問題点が、今のJOCVにも悩みの種となっているようでした。例えば、

 カウンターパートと協働できない
 現地語が理解できない
 同僚が働かない
 学生が治療
 仕事中、電話やおしゃべりでいなくなる
 謎の治療法
 物がない、電気がない、お金がない
   など。

何も変わってない、と言うよりは、このような状況のところへJOCVを送っているのだと思うので、嘆く必要はないと思います。良くなっているところは支援が終了し自立していっているのだと思います(願います)。

このような環境下に派遣されたJOCVが、カウンターパートと共に、多くの人とコミュニケーションを取りながら、解決策を考え、課題達成に向けて取り組むことに意味があり、JOCV自身が成長することに繋がることが大切です。

今回のセミナーは、現役JOCVの貴重な話を聞く機会ではありましたが、セミナーと言うよりは活動報告会でした。参加者の中にはこれからJOCVを目指すという方もいらっしゃったかもしれません。そのような方には非常にいい時間だったでしょう。私自身はまたJOCVに行きたくなりました。2回目の自分ならこうしたい、というのがあります。現実的には2回目はなかなか難しいのですが…。

セミナー後に総会がありました。適正技術の事例収集や、リハビリテーションの国際事例の収集、スタディーツアーの企画、勉強会の開催、ウェブ講座の作成などの事業計画があるようです。会員になったので、今後の事業の発展に期待したいと思います。

2015年12月27日日曜日

青年海外協力隊に参加する人ってどんな人なのか

青年海外協力隊として2年間、発展途上国で活動し、帰国すると周りの人からは、「大変だったでしょう」や「すごいねー2年も」や「途上国で暮らすなんて普通じゃできないよね」など、なんだか人にはできない事をやってきた特別な人扱いされることが多いです。しかし、果たして青年海外協力隊というのは、それほど特別なものなのでしょうか。
 青年海外協力隊の応募要件には、大雑把に言うと「20歳から39歳の普通の健康な意欲のある日本人」※としかありません。つまり特殊な能力を持っている必要はありません。

※詳しくはJICAのウェブサイトで確認して頂きたいのですが、「普通の」というのは服役中・裁判中ではないと言う事や、暴力団員ではない、などと言うことです。「健康な」というのは、2年間の活動に支障がない健康状態かどうか、という事です。「意欲のある」というのは当たり前ですね。

 募集されている職種は120種以上あり、普通は、自分にでもできる要請が一つくらいあるはずです。看護師や理学療法士などの国家資格を持っている人は、もちろんその資格を活かすことができます。実際は、資格などを持たずに参加している人が多く、そのような人は、派遣前に事前研修を受けて、必要な知識を得ることになります。
 誰でも普通の人なら参加できる青年海外協力隊ですが、やはり「青年海外協力隊に行こう」と思い至るには、人それぞれきっかけや思想などがあり、普通じゃない人がいるのも確かです。普通じゃない、というのは変人・奇人という意味ではなく、普通の人より目的意識が非常に高い人、途上国に対する特別な思いや志がある人、かなり優秀な人などです。そのような人の集団に囲まれて合宿形式で行われる派遣前訓練は、非常に刺激的で、そういう人たちと触れ合うことだけでも、人として大きく成長できると思います。
 つまり、青年海外協力隊に参加することで、普通の人も、普通の人が一生経験できないような貴重な経験をわずか2年ちょっとで経験できるのです。参加する前は普通の人も、参加後は普通じゃない人だと思います。そして多くの青年海外協力隊経験者は、教育の道に進んでいく、というのが私の個人的な印象です。教えることが好きだったり、人のためになりたい、という気質があるのだと思います。
 私も例に漏れず、教育に今、興味を持っていますが、さて、これからどうなることやら。

2015年11月14日土曜日

JICA関西訪問プログラム、その他帰国後の活動

JICA関西ホームページより
JICAが行っている開発教育支援として、「国際協力出前講座」というものがあり、何度かこのブログでも取り上げさせてもらいました。青年海外協力隊の経験者が、学校や自治体などで自身の経験をお話する取り組みです。そしてJICA関西では、「JICA関西訪問プログラム」というものも行っています。これは、学校や各種団体などが、JICA関西を訪れて、JICA事業の説明を受けたり、館内展示を見たり、協力隊経験者の話を聞いたりするプログラムです。
 この訪問プログラムを利用した理学療法の大学、専門学校、学生協会に体験談をお話させてもらったこともあります。出前講座との違いは、JICAの事業説明や協力隊についての説明があった上での体験談発表なので、一般の人にとっては聞きなれない「JICA」や「協力隊」などと言った言葉の説明が不要である、ということです。
 協力隊の任期が終了して帰国してからの、国際協力に関する活動をまとめると、①国際協力出前講座(JOCAから依頼)、②JICA関西訪問プログラム(JOCAから依頼)、③募集説明会での体験談発表(JOCAから依頼)、④高校での体験談発表(自らオファー)、⑤PT養成校での体験談発表(自らオファー)、⑥本ブログの更新(最近サボりがち)、となります。また、⑦日本理学療法士協会の「国際活動への協力者登録」にも最近登録しました。今後、もし何か依頼があれば積極的に協力していきたいと考えています。本当は⑧・・・、⑨・・・、⑩・・・、といろいろやりたいこともありますが、国際協力に関しては、この辺りで手を広げるのはやめて、AKAの練習や、通訳案内士試験のための勉強に余力を注いでいます。
 国際協力に関する活動を続けていて嬉しいこと/時は、出前講座後の感想文で、多くのことを感じ取ってくれたことが分かった時や、募集説明会で話をした人が協力隊に合格したことです。地球市民がこれからも増えていくことを願い、嬉しい報告を自分への報酬として、活動を続けていきたいと思っています。

2014年5月4日日曜日

よくある質問

JICAボランティアの募集説明会に今回、4度協力させていただき、応募を考えている方、興味をお持ちの方といろいろお話させていただくことができました。そこで出た質問と、私ができる回答を紹介したいと思います。応募の締め切りは5月12日ですので、迷っている方も応募を考えている方も是非、下記のQ&AやJICAのQ&Aを読んでいただき、応募してください。

Q、要請一覧に書かれている「26/3, 26/4, 27/1」とはどういう意味ですか?
A、26/3は平成26年度3次隊のことを意味します。質問された方だけでなく多くの方が、平成26年3月と思ってしまうでしょう。JICAボランティアの派遣は年4回行われます。1次隊は1月頃、2次隊は4月頃、3次隊は7月頃、4次隊は10月頃に派遣されます。

Q、派遣される時期はいつ分かるのですか?
A、合格すると合格通知に派遣国と派遣隊次が書かれています。その時初めて、どこにいつ行くのかが分かります。質問者の意図は、仕事を休職または退職するために、都合の悪い時期に派遣となった場合に困る、という事でした。二次選考に進むと、派遣可能な時期の確認がありますので、その際に、「1次隊でしか無理です」や「3次隊以外なら大丈夫です」と希望の派遣時期を伝えておく必要があります。

Q、健康診断はきびしく見られますか?
A、途上国に派遣されるにあたり、知識・技術だけでなく、健康面も重要であり、一次選考および二次選考で厳しくチェックされます。途上国では、環境面(暑さ、寒さ、空気汚染など)や、衛生面、感染症、ストレスなどで、持病がある場合は悪化する可能性があります。JICAは2年間の限られた活動期間をフルに活用して有意義なボランティア生活を送ってほしいと思っています。ですので、病気により1か月仕事を休む、治療のために日本に一時帰国する、などの事態に陥ると、活動がストップし、せっかくの派遣が無駄に終わってしまうこともあり得ます。そうならないための健康診査です。また、健康面で不安があるまま派遣されることになると、日本にいる両親や兄弟、友人などは安心して送り出せません。詳しくは募集要項に書かれていますので、そちらもご覧ください。

Q、語学が心配です。
A、派遣前研修が70日程度あり、そこで集中的に語学の習得を行います。また派遣後も1か月ほど、現地で実践を兼ねた(タクシーやバスの乗り方、買い物の仕方、現地の独特の表現など)語学研修も行います。そこで最低限、生活ができるレベルになっていると思います。PTやOTなどの専門職に限って言うと、専門用語を覚えてしまえば、仕事の話は比較的容易にできると個人的には考えています。むしろ、私は仕事以外の日常会話の方が、語彙力の問題で苦労しました。

Q、安全面で不安があります。
A、安全に関してはJICAが最も気を遣っているところです。極端な例で言うと、日本人が○○国で強盗に会い殺されたとすると、その○○国は危険な国として日本人はみな日本へ撤退することになります。日本が撤退した、となると他の国のボランティアも○○国から撤退するという連鎖が起こり得ます。すると○○国への支援は途絶え、○○国の発展が止まってしまう、という事態になります。これは最悪なシナリオ例ですが、途上国では少しの気の緩みが、大きな問題へと発展することが多々あります。ですので、派遣されたら、安全オリエンテーションが最初にあり、守るべきルールを叩き込まれます。また定期的に安全対策協議会が開かれ、派遣された国での最近の治安状況について情報を得ます。現地警察や大使館に所属する安全対策官などとも連携しJICAは安全に関して最大限の対策を行っています。安全のためのルールを守って活動すれば、危険なことはないと私は考えています。

Q、派遣前に勉強した事、読んだ本について
A、職種別試験問題を解答するために、CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)や、世界の保健医療問題などについて勉強しました。現在公開されている職種別試験問題の理学療法士の分を見ると、非常に難しいな、と言うのは私の感想です。派遣前にしっかり勉強しなさい、ということかもしれません。途上国での実際の活動を想定した問題も出ているので、そういう所で適正を見られると思います。CBRについてはhttp://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/intl/un/CBR_guide/index.htmlが参考になると思います。このCBRガイドライン日本語版は私の時はまだなくて、英語版を全て印刷して何とか読んだという経験があります。また『国際保健医療学』や『国際協力師になるために』を読みました。あと、派遣国が決まってからは、その国の歴史や宗教、経済などを勉強しました。

Q、すごく興味があるんですが、あと一歩が踏み出せなくて…
A、途上国に2年間行く、というのは非常に大きな決断です。しっかり考えて、経験者の話をたくさん聞くのがいいと思います。「行って良かった」と経験者はみな口を揃えて言うでしょう。経験者もみな、最初は「あと一歩」を踏み出すきっかけがあったと思います。それが何か、は人それぞれです。私は、高校生の時に途上国からの研修生さんと出会い、そこで「途上国には学びたくても学べない人がいる」ということを知り、そういう人たちに学ぶ機会を提供したいと思い、理学療法という技術・知識を身につけました。私の場合は、高校生の時から青年海外協力隊に興味があり、教えるものを得られたら応募しようと考えていましたので、きっかけは途上国からの研修生さんとの出会いです。青年海外協力隊に参加して、「途上国には学びたくても学べない人がいる」ということを自分の目で改めて確認し、高校生のときからの夢がかなった思いでした。

まだまだ、学びたくても学べない人たちがたくさん途上国にいます。その人たちの力に是非、みなさんになっていただけないかと願っています。

2014年4月20日日曜日

JICAボランティア募集説明会

現在、JICAボランティア(青年海外協力隊、シニア海外ボランティア、日系社会青年ボランティア、日系社会シニアボランティア)の平成26年度春募集の説明会が全国各地で行われています。私は今回、初めてその説明会で、体験談を話しに行かせてもらいました。制度や目的・意義などの説明が終わると、OB/OGが職種別・分野別に分かれて、参加者との小グループになり体験談を話します。
 もう2回説明会に行き、医療系の職種の方と話をさせてもらいましたが、1回目はPT(理学療法士)・OT(作業療法士)さんがなんと4名も来てくださいました。私も、青年海外協力隊を応募する前に説明会に行き、同じようにPTの経験者の話を聞くことができ、モチベーションがぐんっと上がったのを覚えています。ちょうど4年前のこの説明会でのことです。その時はPTは私一人で、OBの方も「PTさんが来てくれるのは珍しい」と言い、1対1で話をしてくださいました。あれから月日は流れ、PT・OTにも青年海外協力隊という道が少し身近なものになったのでしょうか。4人も来てくれて非常に嬉しかったです。
 よく聞かれた質問は、言語の問題、安全面の問題、金銭面の問題でした。また応募を現実的に考えている人は、退職の時期や、応募を職場に報告するタイミングや、合格しなかった時のことなど、かなり具体的な質問が出ました。私の知っている範囲で実例を挙げながらアドバイスをさせてもらいました。
 高校やPT養成校で国際協力の話をする際に、「青年海外協力隊は国際協力の初級編。長い人生のたった2年。その2年で日本では学べない多くのことを得られます。技術を身につけて是非みなさん挑戦してみてください」と締めくくります。しかし、良くも悪くも人生が大きく変わるイベントになるのは間違いなく、人生をかけた覚悟が必要なことも否めません。簡単に「たった2年だし」と行けるものではないのが現実です。ただ、それでも私は行って欲しいと思います。そのための様々なサポートをこれからもJICA(国際協力機構)には頑張ってもらいたいな、と私は願っています。
 4月22日と5月7日に梅田で行われる説明会で、また体験談をお話させていただきます。多くのPT・OTさんと出会えるのを楽しみにしています。

募集説明会日程→http://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/seminar/

2014年3月1日土曜日

要望調査票を見てみよう

 先日、理学療法士(以下、PT)の養成校で、3年生の希望者に「理学療法士の国際協力」というタイトルで90分、お話させていただく機会がありました。高校では3回講演させていただいた経験があるのですが、PTの養成校で講演させてもらうのは2回目で、正直なところ、まだまだ不慣れでたどたどしいものだったかもしれません。しかし、前回よりも良い講演にしたいと思い、今回は国際協力の具体的なイメージを持ってもらうための新たな試みを行ってみました。
 その試み、というのが「要望調査票を見てみよう」というコーナーを作ったことです。要望調査票とは、海外のJICA拠点(例えば、JICAドミニカ共和国事務所や、ベナン支所、ベトナム事務所など)で働くスタッフが、その国を様々な視点から見て、さらなる発展がボランティアの派遣によって可能だろうと考えられる分野を発掘し、その関係者と協議し、作成されたもので、以下のような内容が書かれています。
 ・国名
 ・職種
 ・配属先概要
   受入省庁名
   配属先名
   任地(配属先の場所)
   配属先の規模・事業内容
 ・要請概要
   要請理由・背景
   予想される活動内容
   使用できる機材
   配属先の人材の概要
   使用言語
 ・資格条件
 ・地域概況
 ・その他
 現在、JICAボランティアのホームページで公開されている青年海外協力隊でPTの要望調査票を印刷し、受講者に配布(全員違う国のもの)しました。自分が青年海外協力隊に合格して、合格通知とともにこの要望調査票が送られてきたと仮定して、「自分はどんな国に行くのか」「配属される場所はどんな所なのか」「なぜ理学療法士のボランティアが必要とされているのか」などを読み取り、そこから途上国のPT事情や、求められる能力などを考察していきました。
 「要望調査票を見てみよう」のコーナーに時間をたくさん割きたかったので、前後の話を簡略化しすぎて、「国際協力をする理由」や「学びたいのに学べない人の存在」についての話のインパクトが弱すぎたかなぁと反省しています。次は、前後の話がもっとこのコーナーにリンクするように工夫をしたいと考えています。
 先日PTの国家試験があり、今年もまた1万人以上のPTが新たに生まれるだろうと思います。そうなると日本の総PT人口は12万人を超えます。青年海外協力隊に応募できる20歳~39歳の理学療法士はその半数のおよそ6万人ほどではないかと日本PT協会の統計資料から読み取れます。3~5年の臨床経験が必要なので、実際はさらに半分の3万人程度が対象ではないでしょうか。しかし、実際に応募するのはいつも30人程度、つまり1000人に1人です。それと比較すると、今回の講演は約2人に1人の学生が受講してくれました。みなが青年海外協力隊に応募するわけではないと思いますが、志の高さがうかがえます。そのような所でお話できたことを非常に嬉しく思います。
 国際協力の入門編とも言える青年海外協力隊へ、ぜひ、多くの方に参加していただきたいと思います。

2014年2月19日水曜日

JICA国際協力出前講座

JICAからの依頼で出前講座を行ったり(出前講座については「JICA伝え方講座」の記事を参照)、自らのオファーによる講演を昨年の11月から計5回行ってきました。対象は高校生および理学療法学生です。今日は、先日、講演に行った高校から生徒たちが書いた感想文が送られてきました。
 その高校での講演は、私の中で、「きちんと伝わったかなぁ?」「興味がわく内容ではなかったかもなぁ?」「退屈だったかなぁ?」など、非常に不安と失敗感がありました。講演に行った意味が本当にあったのかという疑問、人前で話すことの難しさという課題、予想外の生徒の反応などで打ちひしがれていました。
 しかし、生徒たちからの感想文を読んで、「行って良かった!」と思いました。伝えたかった事が伝わっていたと感想文から読み取れました。以下にいくつか抜粋します。

・自分は恵まれた環境なので勉強しようと思いました。
・しっかり勉強して、ちゃんと夢を叶える。
・話を聞けて考えが変わりました。
・今回の講演を聞いて、自分の世界が広くなった気がします。
・たくさんの人の役に立つ仕事の就きたいです。
・人を笑顔にさせられる仕事につきたいと思いました。
・英語と勉強して発展途上国を助けたいと思います。
・物をもっと大切にしないといけないと思いました。
・青年海外協力隊になりたいです。
・聞いただけではまだまだ分からないことだらけなので、自分の目でみて体験したいです。
・青年海外協力隊の人はいろいろな技術を持っていて、それを外国の人に伝えているのが凄いと思いました。
・専門の技術を持っていれば人の役に立つことができる。

 出前講座をきっかけに、素行が良くなかった生徒が急に「勉強したい」と言い出した、という話を別の高校の先生からお聞きしたことがあり、私も生徒の心に響く何かを講演で残したいと思っていました。しかし、私にはそんな魅力ある経験や、伝える能力は持ち合わせていない、と少し自信をなくしていた所だったので、生徒たちの素直で前向きな感想文を読み、嬉しくなって涙ぐんでしまいました。
 こういう活動、これからも積極的に行っていきたいと思います。そして、これからの日本を未来を担う若い人たち(私も若いですが)に、もっと勉強するきっかけを与え、勉強した事を人の役に立てるためのキャリアプランを立ててもらい、感謝される人になってもらいたいと願います。

2013年12月8日日曜日

青年海外協力隊に医師!?

年二回募集が行われる青年海外協力隊(以下、JOCV)ですが、今回の秋募集で医師の要請が出ているのを見つけました。医師の要請は非常に稀で、要請を出したとしても応募する人はいつもいないのが現状です。今回の募集にも誰一人応募していないようですので、医師のJOCVは今回も生まれなさそうです。
 JOCVは国際協力への市民参加という枠組みで、自らの経験や能力を途上国の人々のために活かしたい、と望む人材を必要とされている国・地域に派遣する事業です。派遣されてから、どのような活動を行うのかは、比較的、派遣された本人に任されているところが大きく、自ら現地で生活しながら問題点を見つけて、その解決策を探っていきます。
 しかし、自由度が高いからと言って、なんでも許されるわけではないのが、医療系職種です。日本で取得した免許も、海外ではほとんど無効で、医療行為を行うには特別に現地政府に許可を得る必要があります。そのため医療行為はJOCVには禁止されているのが現状です。
 医師は診断・治療という医療行為を行うことを業としているので、医師がJOCVとして派遣される、というのには非常に違和感があります。要請内容を見ると、リハビリテーション病院の医師への教育がメインになっています。具体的にどのような教育が、現地のリハビリテーション科医師に必要なのか、考えてた上での要請かどうかは疑問ですが、最終的には機能的予後を見極めて、必要な治療を処方できる医師を育てたいようです。
 はたして、それができる医師が日本にいるでしょうか? それもJICAのホームページを見て、自らこの要請を見つけだしたり、事前に語学試験を自分で申し込んで受けたり、たくさんの書類を書いたりして応募する暇のある医者が日本にいるでしょうか? そして、20歳くらいの新卒の何も経験も資格もない人たちとも同等の待遇で二年間も途上国で生活できる医師がいるでしょうか?
 PTさんやOTさんなら分かると思いますが、いろいろな診療科がある中でリハビリテーション科を選んだ医師というのは、いろいろは事情を抱えていることが多いです。非常に優秀な医師がいるのも確かですが、大多数の医師は理学療法や作業療法をきちんと知っていないでしょう。
 そもそもPTやOTでさえ、自分が何をやればいいのか分からなくなっている時代です。医師を途上国に派遣することが、問題解決になるとは到底思えない、というのが私の意見です。要請内容に問題点として「処方の仕方が医師によって統一されていない」、「個々の患者に合った内容ではない」、「患者評価ができない」、「漫然とリハビリを続けている」などと書かれていますが、同じ問題を抱えた日本から医師を送っても、改善のためのノウハウがないのですから、妥当な要請とは考えづらいです。
 これが皮肉にも私が活動していたドミニカ共和国からの要請であり、私がもし活動中だったら断固反対しただろうと思います。もちろんいろいろ熟考した結果の要請ではあるのでしょうが、関係者にも「分かってるんだよ、そんなこと」と思うもしれませんが、この記事を読んでいただきたいと思います。

2013年10月20日日曜日

JICA伝え方講座

この絵から何を読み取るか?
JICAは政府開発援助official development assistance(ODA)の一つである技術協力の枠組みでボランティア派遣を行っています。私もドミニカ共和国に理学療法士として派遣されました。そこでの経験は理学療法士としての経験だけでなく、日本では経験できない文化・風習に触れ感じたことなど数多くあります。こういった経験を日本社会に還元することも、ボランティアとして国から派遣された私たちの役割です。その役割を果たすために、JICAは開発教育支援事業の一つとして「国際協力出前講座」(以下、出前講座)を行っています。
 この出前講座は、関西で年間253件、小学校から大学・大学院までの教育現場や、市民講座などで行われています。私たち元JICAボランティアが、開発途上国での経験を通して、問題意識を持ってもらったり、本当に必要な援助とは何かを考えてもらったりする機会を与えるお手伝いをします。
 しかし、私は教育のプロでもなければ、話のプロでもありません。単に話をしただけでは、内容なんてすぐに忘れられてしまいます。写真などの視覚教材を使って印象に残ったとしても「ふ~ん」で終わってしまいます。対象者と同じ立場で「共に学ぶ」という意識で、一緒に考え、意見を出し合って、開発問題と自分自身との関係を探る参加型学習を通して、対象者に何かを得てもらいたいと私は願っています。
 そこで、先日、帰国したボランティアを対象にした「伝え方講座」に参加するため、JICA関西を訪れました。講師は平成3年度1次隊でネパール、理数科教師として派遣されていた大槻一彦氏でした。講座のなかで多くの、伝え方のヒントを得て帰ってくることができました。
 大事だと感じたことは「1時間で伝えられる内容は一つ」、たくさん伝えようとすると失敗する、ということでした。使う写真も少ない方がいい、その方が1枚の写真から読み取ろうとする割合が大きくなる、ということも忘れてはいけないと思いました。なぜなら、ボランティア経験者は派遣された国で非常に多くの衝撃的な体験や興味深い経験をしています。また写真も何百枚もしくは千枚を超えるくらい撮っていて、見せたいシーンがたくさんあり、ついつい、あれもこれも話したり見せたりしたくなるからです。よって、テーマを絞って、講座の構成を考えないといけません。

 聞いたことは
 忘れる
 見たものは
 覚える
 したことは
 分かる
 発見したことは
 できる

というのは開発教育の分野では、有名な言葉だそうです。三角形の内角の和が180°であることを小学生に教えるときのことを例にすると
 「三角形の内角を全て足すと、180°になるんですよ。」と言葉で教えても、忘れてしまいます。
 そこで、先生が前で、3つの角を切り離して、繋げて見せると直線になることを示して教えると、覚えてくれます。
 しかし、実際にそれを生徒にさせる方が、理解させることができます。生徒に3つの角を繋げさせて「180°になりましたね」と教えるのです。
 「180°になりましたね」と言わずに「どうなりましたか?」と生徒に発見させると、より良い、ということです。
 出前講座では、対象者の方に「発見」をしてもらいたいです。たくさんの発見ではなく、一つの大きな発見をしてらもいたいです。そのために、今回のような伝え方の講座や、参加型ワークショップの組み立て方のセミナーなどに積極的にこれからも参加したいと思います。
 自分が生きた教材となれるように、自分の経験を伝えていく活動のスタート地点に立った気持ちです。

2013年9月18日水曜日

国際協力という道しるべ

 
先日、青年海外協力隊の平成25年度秋募集のポスターが送られてきて、職場などに掲示してください、とのことでした。さっそく職場の総務部に掲示していいか聞きにいくと、あっさり断わられてしまいました。「うちの職員がそちらに取られてしまうのは困る」と・・・。ごもっともです。「うちから国際協力する職員がでたら、それは職場のアピールポイントになりますよ」などのプッシュもできましたが、それはやめてポスターは保管しておくことにしました。そして、その保管しておいたポスターを今日、職場に来た理学療法士養成校の教員に渡すことができました。
 養成校で青年海外協力隊の募集ポスターを貼っていただくので、それを見るのは学生か教員、もしくは外来講師になります。学生は資格も臨床経験がないので、直接応募者が増えることには貢献できないですが、将来の青年海外協力隊につながれば、と思い、ポスターを託しました。
 しかし、ポスターを貼るだけでは不十分です。目にはつくかもしれませんが、意識には登らないでしょうし、興味をもった人がいたとしても、ポスターを見ただけでは具体的にどういったものなのか分からないでしょう。学生に「理学療法士には国際協力という道がある」、ということを知ってもらうため経験者が話しをする機会がないとポスター掲示も無駄になってしまいます。今日、来られた教員の先生には、ぜひそのような機会を設けていただけるようにお願いもしました。いつでも話ができるように準備しておきたいと思います。
http://www.jica.go.jp/volunteer/

2013年7月1日月曜日

JOCVの経験を未来につなげる

久しぶりの更新です。これまでサボっていて申し訳ありません。いろいろありましたが、無事に日本に帰国しています。同期隊員も続々帰国し、日本を満喫しているようですね。サービスの質、商品の質、種類、量、どれもが高い水準で驚かされるばかりの日本ですが、「日本の常識は世界の非常識」、あまりに良すぎるサービスに違和感を覚えながらも、自分もその水準に持っていかないと日本で働いていけないな、と感じます。
 さて、ドミニカ共和国での活動も振り返らなければならないのは勿論なのですが、今日は、これまでの経験をいかに未来に繋げていくか、について考えたいと思います。

1、青年海外協力隊(以下、JOCV)の経験を後進に伝える
 私がJOCVに参加する前、説明会で理学療法士の方がJOCVでの経験を語って下さり、モチベーションが上がったこと、JOCVに参加するイメージができたこと、何よりその人が充実した二年間を過ごしたことが感じ取れたことが、JOCVになる大きなきっかけです。仕事を辞めて二年間途上国に行くわけですから、軽い気持ちでは行けなかったですし、この説明会は私にとってなくてはならないのもでした。
 JOCVの説明会だけでなく、日本理学療法士協会などが主催する国際協力系のセミナーや、学術誌、JOCVのOB/OG会などの会合などから多くの情報を得ることができ、JOCV参加の後押しとなりました。これらは一重に、JOCV経験者が積極的に後進へ情報共有しようと努力してくれているからだと感謝しています。今後は、自分もその一助になるよう、さまざまな形で情報発信できるようになりたいと思います。
 特に、若い理学療法士や、理学療法士の卵たちに、国際協力という道がある、ということを知ってもらいたいと思います。最近は理学療法士が活躍する現場も多種多様になってきていますが、国際協力への道を進む人はまだまだ一握りだと感じています。理学療法士の数は11万人を超えましたが、これまでJOCVとして派遣された理学療法士は400人ちょっとです(青年海外協力隊派遣実績)。パーセントで換算すると0.36%です。また帰国後も国際協力を続ける人はさらに少ないのが現状ですので、派遣中の40人余りの人と帰国後も国際協力を行っている人とを合わせても100人程度なのではないでしょうか。
 国際協力には興味があるが一歩が踏み出せない、という理学療法士の方はどのくらいいるのでしょうか? 今の自分には、多いのか少ないのか、想像もつかないですが、興味がある、という人には是非、具体的に行動に移してもらえるように働きかけていきたいと思います。

2、自分に足りなかった知識や技術を強化する
 「ボランティアとは自分を映す鏡だ」(地球のステージ 桑山紀彦氏)という言葉の通り、ボランティアとして活動し、自分自身の長所や短所、得意・不得意、好き・嫌いなど、己と向き合う機会が増えました。私の性格的な部分、人間性に関しては、これからの長い人生で少しずつ良くなるように努力します。
 理学療法士として、国際協力を続けたいと考える者としては、さまざまな知識・技術が足りないことが明らかになりました。また別の機会に、どのような知識や技術を今後つけて行こうかを書こうと思います。派遣前には考えてもいなかった方向に向かっています。


3、JICAの草の根技術協力事業を活用する
 詳しくはJICAのホームページを見ていただきたいのですが、「草の根技術協力事業」という、NGOや大学などの団体がプロジェクトを立案し、JICAと相談・協力しながら、そのプロジェクトを実行するというものです。私自身のスキルアップの後、この事業と活用しプロジェクトを立ち上げたいと考えています。具体的なプロジェクト案もあるのですが、また書ける時期がきたら、ここで紹介したいと思います。

2012年7月16日月曜日

翻訳本の作成と、著作権

翻訳こんにゃく欲しいです。
 JICAボランティアとしての活動には、現地の人と一緒に働くこともありますし、指導・教育の立場に立つこともありますし、ある目的のためにモノ作りをすることもあります。私は、指導・教育と、そのための教材・参考資料作りが日々の業務の多くを占めています  最近まで詳しく知らなかったのですが、私たちが何か;例えば、音楽やムービー、絵や写真、文章などを作ると、作った瞬間から自動的に著作権が発生します。手続きは必要ありません。ですので、自分が作ったものを他の人が複製、転載、配布などをする場合には、著作者に許諾を得ないといけません。つまり、ボランティアが活動で作ったものを、JICAが別のプロジェクトで使用するためには、作ったボランティアに毎回、使用してよいか問い合わせる必要があります。それをJICAは回避するために、次のような内容を含む合意書をJICA-ボランティア間で結びます。

甲:JICA
乙:ボランティア
(知的財産権)
第10条 乙が、派遣前訓練又は海外協力活動上作成した視聴覚情報や報告書等の一切の成果品の著作権(著作権法(昭和45 年法律第48 号)第27 条、第28 条所定の権利を含む。)は甲に帰属する。乙は、甲による成果品の利用及び改変に関して著作者人格権を行使しないものとする。また、甲は乙の事前の同意なく成果品を一般に公開することができる。
2 乙は、派遣前訓練又は海外協力活動において、第三者の著作物を利用する場合、乙は当該著作物の著作権者との間において、自己の責任で、著作物の利用許諾を受けるものとする。
3 乙は、当該海外協力活動において、発明、考案又は新品種育成等を行い、派遣期間中又は派遣期間終了後に、特許、実用新案又は品種登録その他の知的財産権の登録又は設定に係る出願を行おうとする場合には、予めその出願の可否及び出願の内容について甲と協議することとする。

 これによって著作権はボランティアからJICAに移ります。例えば私が、日本の理学療法を紹介するビデオを作ったら、JICAはそれを別のボランティアに提供して活用させたり、別の言語に翻訳したり、一般公開したりできるのです。これは、ボランティアの成果を他でも活かし、よりよい国際協力を、よりスピーディーにするために必要なものだと思います。
 しかし、ボランティアが作成したものが「二次的著作物」の場合には、権利関係が少し複雑になります。二次的著作物とは、第三者の著作物を元に作ったものです。例えば私が、日本で出版されている本を、スペイン語に翻訳し、図や写真も元の本から転載した、翻訳本を作ったとします。その翻訳本は二次的著作物と呼ばれ、それにも著作権は自動的に発生します。誰に著作権が発生するか? スペイン語に翻訳した本文は私、転載した図や写真は元の著作権者、ということになります。また元の本の著作権者が持つ権利と同様の権利が、二次的著作物にも存在することになっているので、私に発生しているスペイン語の本文の著作権は、元の本の著作権者にも同様に存在します。
 なぜ、今回このような話をしているかというと、まさに今、日本で出版されている本をスペイン語に翻訳してドミニカ共和国の理学療法士の教育に用いようとしているからです。なので、この記事で著作権のことを分かりやすく書こうと思ったのですが、文字で書くとどうしても複雑になってしまいましたね。
 先ほどの例のように、翻訳本を作ったとすると、ボランティアの分の著作権はJICAに移ることになっているので、著作権者は「元の本の著作権者」と「JICA」ということになります。よって、JICAはこのボランティアが作成した翻訳本を使用する際には、毎回元の本の著作権者に許可をもらう必要があります。これでは、もともとの合意書の目的を果たせません。JICAが自由にスピーディーにボランティアが作ったものを再活用するための合意内容だったのですから。
 また、今作っている翻訳本は、私が日本に帰ってからも仕事で使用する可能性もあります。その場合、JICAに著作権が移っていると、作成者である私が、(元の本の著作権者に許可を得るのはもちろんのこと)JICAにわざわざ許可を得る必要がでてきます。
 著作権に関する合意内容は、JICAにとっても、私にとってもメリットのないものになってしまいますので、JICAに相談して、「活動上作成した成果物」として取り扱わないことで、著作権譲渡の対象外になりました。
 現在は、翻訳本を作成するにあたり、元の本の著作権者からの許可を得るために、日本の出版社とやり取りしている段階です。無事、発行できることを願うばかりです。

2012年5月29日火曜日

健康管理

現地顧問医のいる病院
体は丈夫な方だと自負している私ですが、今月、謎の咳に悩まされ続けています。10日ほど様子を見ましたが、咳はひどくなる一方だったので、受診と療養目的で任地から首都に上がりました。ドミニカ共和国のJICAボランティア間では、「1年経った辺りから、みな体調を崩し始める」とよく言われています。私もそろそろ派遣されて1年、例にもれず体調を崩したというわけです。
 JICAボランティアは病気になった際、現地顧問医のいる病院で診察を受けることができます。ボランティアはみな保険に入っていますので、自己負担はありません。現地で検査・診察を経て、治療が開始されます。現地顧問医だけでなく、JICA本部の顧問医にも相談ができるシステムがあります。現地や日本の顧問医とボランティアの間に入り、診察などがスムーズに実施されるようにサポートしてくれるのが、在外健康管理員やボランティア調整員です。今回、健康管理員が日本に一時帰国中だったため、調整員の方にお世話になりました。
 ドミニカ共和国でも診察の流れは日本とほぼ同じです。診察→検査→治療→フォローアップです。しかし、この流れに無駄が多いのがドミニカ共和国です。血液検査をして「次の日また来てください」と言われ、また別の日にX線検査をして「次の日また来てください」と言われ、検査結果を受け取りに行くと「まだ出来ていないので○時にまた来てください」と言われ、診察に行くと「検査を一つ忘れていたので、もう一度○○へ行ってください」と言われ、何度も何度も病院と隊員連絡所を往復しました。交通手段はタクシーなので、医療費は自己負担がないとは言え、交通費で貴重な生活費がたくさん消えていきました。
 今回の私の症状は、持続する咳と痰だったのですが、なぜか副鼻腔のX線を取られて「副鼻腔炎ですね」と言われました。鼻汁(鼻水)や鼻閉(鼻づまり)などの副鼻腔炎に典型的な症状は何一つないのに、副鼻腔の検査をされ、ちょっと滲出液があるからという理由で副鼻腔炎と診断され、「はい、お大事に」というお粗末な診療に、かなりガッカリしました。しかし、これがドミニカ共和国の現状ですし容易に予想できていたことです。途上国で、血液検査やレントゲンが撮れるだけでも優秀な方だと思わないといけません。
 幸い、自然治癒力でかなり咳は減ってきています。一番ひどい時は咳嗽失神を起こすのではないかというくらい、激しい咳とその後のめまいに苦しみました。咳は周りに迷惑をかけるし、誰かいると咳を我慢しようとして余計に辛かったので、早い時期から隊員連絡所での療養を勧めてくれた調整員の方に感謝です。(ただ、連絡所はボランティアみんなの施設で、なかなか一人で療養、という訳にはいかなかったですが)
 今日から本当は職場復帰したかったのですが、もう1週間療養することにしました。せっかく休みをもらって療養しているのに治りきらずに職場に戻るのも迷惑だろうし、任地に戻るための長距離バス(冷房が強烈に効いている)で悪化するとダメだし、いつも職場でしているデスクワークは、首都でもできる、という理由です。という訳で、療養しながら仕事をしています。

2012年5月19日土曜日

チーム医療

チーム医療という言葉は、日本にいた頃から知ってはいました。しかし、実践していたかというと甚だ疑問です。と言いますのも、振り返れば日本にいた頃は血気盛んで、「自分が一番偉い」なんて思っているような男でしたから、人に意見することはあっても、人に意見を求めることなどほとんどありませんでした。ただ、医師や自分の尊敬・信頼できる先輩などには意見を求め、患者安全やより良い医療、および自分自身の知識・技術の向上に資するようには努めていました。つまり、自分の知りたいことだけを尋ね、そうでないことは相手にしない、という自分勝手な働き方をしていました。
 逆に誰かに何かを尋ねられたときは、偉そうに理学療法士の世界でしかあまり耳にしないような単語を並べ、話していました。今思えば、理学療法士同士にとってもきちんと通じるような言い方をしていたのかと疑ってしまいます。自分自身の当たり前を、相手にも押し付けて、あたかも「分からない方が悪い」というような口振りだったと思います。
 そのような理由で、私に話しかけてくれる人はほとんどいませんでした。また、社会に出ると多少の理不尽な出来事を経験することがありますが、それらを全て、全力で批判したり改善を求めたりして、いろいろな部署ともめ事を起こしていました。それにより一層、要注意人物になっていました。
 チーム医療とは、「互いの能力を最大限に発揮するために互いの理解を深め、共通言語を用いて患者のために議論し、同意を得られた内容に基づいて、患者も同意のもと看護・治療を行うこと」だと私は考えています。どのプロセスにも対話が不可欠であります。日本にいた頃の私に欠けていた要素です。
 ドミニカ共和国に来て、チーム医療の重要さを改めて認識し、将来は、理学療法士と他部門の良い連携を築けるようなコーディネーター役、システム作りをしたいと思っています。以前の私のような問題児も、見捨てず上手く教育する体制を作ったり、対話の妨げになる要素を分析し対策を取ったりすることで、より良い病院、より良い医療、より一層の患者安全、より高度な人材育成ができればいいなと思っています。
 そのために、理学療法士として働きながら看護師・保健師の資格を取り、数年、看護師および保健師としても働き、それぞれの現場を知りたいと思います。そしてどこかのタイミングで、医療経営や管理学が学べる公衆衛生大学院で、専門的に学びたいと思っています。
 かつての問題児が、このような志を持ったのも、ドミニカ共和国に来て、チームで働くことの大切さに気づき、過去の自分をじっくり振り返ることができた、というきっかけがあったからです。
 JICAボランティアのキャッチコピーに「世界も、自分も、変えるシゴト。」というものがあります。派遣前には、「世界は変えるが、自分は変わらない。自分は今までやってきたことを引き続きすればいいだけだ」などと考えていました。全く、自分勝手なものです。

2012年3月3日土曜日

安全対策セミナー

 日本から安全対策調査団がドミニカ共和国にやって来て、昨日は首都、今日は私の住むサンティアゴで、安全対策セミナーが開催されました。これとは別に、年2回、現地JICA事務所が安全対策連絡協議会というものを開催しており、私たちボランティアだけでなく、随伴家族や専門家などの関係者が一堂に会して、安全対策について再確認しています。これだけJICAは安全に気を遣っている、ということです。
 私たちの安全をサポートしてくれているのは、今回来られたJICA本部の安全担当の方や、大使館の安全対策の方、現地警察の安全対策クラーク、そしてその方たちとボランティアを繋いでくれる現地JICA事務所の方々など、大勢です。私たちボランティアの活動が安全に実施できるのは、自分の安全に考慮した行動だけでなく、こうした多くの方のバックアップがあってのものです。様々な調査や過去のデータなどから、立ち入り禁止地区を設けたり、利用を禁止する交通手段があったり、など様々な安全対策を講じているからこそ、事件・事故が未然に防がれているのです。
 今日のセミナーは、訓練所でも学んだ内容ではありましたが、再確認し、身を引き締めるためのいい機会になりました。質疑応答も活発に行われ、日ごろ疑問に思っていることなどが解消された人もいたと思います。事故や怪我、病気なく任期を全うし、日本に帰ることが、日本で待っている家族や友人などを安心させる一番の方法だと思います。残り1年4か月、元気に過ごしたいと思います。

2012年2月28日火曜日

健康講座

ドミニカ共和国は2月27日が独立記念日で祝日です。よって多くの人が土・日・月の三連休です。私たちJICAボランティアは、遊びに行く人もいれば、仕事やその関係の用事で活動している人、ゆっくり疲れを癒す人などがいて、連休の過ごし方は様々です。私は連休の真ん中の日曜日に仕事のために首都に滞在していました。
 日系シニアボランティアの看護師Kさんの活動の一つ、「日系社会の健康講座」で、演者としての上京です。演者は他に大使館の医師Y医務官と、主催者のKさんでした。テーマは「肥満と生活習慣病」。病気や代謝の話を医務官が行い、健康管理のためのコツ・食事管理について看護師Kさんが話し、私が運動療法について説明しました。
 若い人の参加がほとんどなく、60~70歳台の方が多かったです。20数人来てくださいました。若い人の模範となるご高齢の方にももちろん大切な内容なのですが、これからの若い人に特に聞いていただきたい内容であり、次回、同内容をラ・ベガで行うときには、若い方にも来てもらえるよう、さらなる宣伝が必要だ、という課題が出てきました。
 JICAボランティアには青年海外協力隊(JV)、シニア海外ボランティア(SV)、日系社会青年ボランティア(NJV)、日系社会シニアボランティア(NSV)、短期青年ボランティア、短期シニアボランティアの6種類があります。現在、ドミニカ共和国にはJV、SV、NJV、NSVが派遣されています。日系社会の発展などにボランティアの能力を活かすのはNJVやNSVですが、職種は日本語教師とPCインストラクターと看護師のみです。日系社会の保健医療に関わる仕事に限るとKさんただ一人です。しかし、JVの中には理学療法士や作業療法士、義肢装具士、養護の先生がいます。同じドミニカ共和国に住む日本人として、JICAボランティアの枠組みを超えて活動することは、ボランティア自身にもドミニカ共和国に住む日本人・日系人にも利益になると思います。私自身は、プレゼンテーションのために勉強もしますし、発表法の訓練にもなります。対象者の方々にとっては健康に関する新しい、正しい知識を得てもらうことができます。
 今回の講座の開催は、JICAボランティアの枠組みを超えた、ドミニカ共和国では初めての試みでありましたが、参加された方は真剣に聞いていただき、しっかり体を動かしてもらい、質疑応答も活発に行われ、やって良かったと思いました。準備に大変な努力をされたKさん、講演の協力をしてくださったY医務官、前日に応援・励ましの電話を(なんと日本にいるので国際電話で)してくれた担当調整員の方、聴講に来てくださったJICAスタッフの方やボランティアの仲間のおかげであります。JVの私が日系社会での活動に入ることを受け入れてくださった日系人協会会長にも感謝です。周りの人たちに支えられ初めて、より良い活動ができる。出会いに恵まれているなぁと今回も感じることができました。

2012年2月17日金曜日

報告会

 JICAボランティアとしての活動を、JICAのスタッフや専門家、隊員などの関係者に報告する機会が、隊員一人につき2回与えられます。1回目は折り返し地点である1年(中間報告)、2回目は帰国直前(最終報告)です。ドミニカ共和国では日本語で行っていますが、他の国ではカウンターパートやその他現地の関係機関の関係者なども参加するので、現地語で行われると聞いています。年4回、報告会が開催され、参加は任意ですが、私は毎回、可能な限り参加するようにしています。
 ドミニカ共和国に到着してすぐの時に初めて報告会に参加した時は、今後、自分がどのように活動していくのか、先輩隊員の報告を聞いて想像したりしました。その約3か月後、語学訓練が終わって病院で活動を始めて少しして2回目の報告会に参加しました。この時は先輩隊員が1年を振り返り、初期の頃、どのような困難があり、どのように乗り越えてきたのか、その時の自分と照らし合わせて考えました。今回は3回目の参加です。活動を開始して半年の地点での中間報告会では、いままでよりも活動の内容を頭で吟味することができました。
 また、毎回思うのですが、発表の方法も人ぞれぞれ特徴があり、みな良い点を持っており参考にしたいものばかりです。視覚的効果を上手く用いている人、起承転結がしっかりしている人、人を笑わせて発表に引き込む人、動画と写真で見る人を飽きさせない発表をする人、など。そして、発表後の質問内容も勉強になります。単純に分からなかったこと・自分が興味あることを質問する場合もありますが、発表者の今後の活動にも繋がるキーワードをうまく誘導する質問をする人もいて、ナルホドと手を打つこともあります。
 私も約半年後には中間報告の時期です。1年間の活動を振り返り、折り返し地点に立っているという意識づけをし、今後の活動計画を立てるための非常に良い機会です。中間報告の日程はまだ分かりませんが、8月にあるラテンアメリカリハビリテーション医学界の学術大会での発表も目指しているので、その頃は非常にバタバタしてると思います。余裕を持っていろいろ準備していかないといけません。
 ちなみに明日は、今日の中間報告会に引き続き、最終報告会があります。2年間の成果をこれまで、みな堂々と発表してきました。そんな先輩たちに負けないよう、私も努力していきたいと思っています。

2011年8月19日金曜日

実務経験


派遣前に勤めていた病院です

 青年海外協力隊には実に様々な職種があります。私のような医療系もあれば、農業系、スポーツ系、開発系、教育系、芸術系などに分類できます。医療系や教育系などでは、指定された免許や資格が必要な場合が多いですが、特に特殊な技能がなくても応募できる職種もあり、幅広い人にチャンスがあります。また、実務経験が必須条件のものもありますが、新卒の方でも応募できるものもあります。
 理学療法士の場合は、私が応募した時は、「理学療法士免許」「実務経験3年/5年」が必須で、さらに中には「小児の経験」「男性のみ」などの条件があるものもありました。理学療法士で応募する際に必須である「実務経験」について、私の経験から少し書かせて頂こうと思います。

*この記事は、一つ前の記事のコメント欄でいただいたMIDORIさんの質問に答える形で書いています。私の未熟な経験を元に、感じたままに書いています。勝手な想像も幾分か含まれています。決して一般論ではないので参考程度にご覧ください。

 実務経験は同時に社会経験も含みます。理学療法士としての「実務経験」と、社会人としての「社会経験」に分けて考えます。
  「実務経験」
 私が就職したのは急性期患者を扱う大学病院です。大学附属の病院が3つあり、どれも手術を行う急性期病院です。平均在院日数も少なく、次々に新しい患者が入院してきます。また、一般病院ではあまり見ない難しい病気の患者を担当することもありますし、非常に重症な患者もいます。反対に脳卒中や糖尿病、骨折などの一般的な病気の患者も担当します。非常に幅広い疾患を数多く経験できた、という意味では大学病院での4年間は現在に活かされているプラスの面です。
 急性期を脱して、回復期へ移行した患者は近隣の病院へ転院します。医師の紹介状、看護師の看護サマリー、理学療法士などの情報提供書を持って別の病院に行った後は、ほとんどの場合、経過は追えなくなります。自分の担当していた患者さんのその後は、患者さん自身が知らせに来てくれる場合を除き、不明のまま終了します。附属病院に回復期や維持期を持たない私の勤めていた病院の「実務経験」としてのマイナス点だと思います。
 ですので、国際協力を目指す・目指さない、いずれにしても、急性期から維持期までを同一組織内で見ることのできる病院に就職し、幅広い疾患の、幅広い時期の患者をみることができればいいと思います。しかし、理学療法士も就職先を選ぼうとすると就職難を実感する職種になってきています。このような都合の良い病院は見つからない可能性が高いです。その場合は、できるだけ急性期病院を選んだ方がいいと思います。急性期病院でリスク管理がきちんとできる理学療法士になった方が、開発途上国の病院で働く際には助けにきっとなります。なぜなら、診断もはっきりしない患者が多かったり、運動が人体に与える影響をしらない医師が処方箋を書いたり、緊急時の対応ができないスタッフの中で働いたりするからです。
  「社会経験」
 実習生の中には、「挨拶ができない」「無断欠席」「提出期限を守らない」「きちんとした日本語でレポートが書けない」「できない事から逃げようとする」「怒られると意欲を失う」など、社会人適正に欠ける人が多くいます。こういう人は社会に出て徹底的に矯正されるか、はじき出されるかだと思います。働き始めても1年毎に病院を変わっている、もっと悪いのは数か月で退職してしまう人は、開発途上国で2年なんて活動できるはずがありません。「実務経験3年以上」とあれば「勤続期間3年以上」と読み替えてもいいと思います。
 ただ、どのような所で社会人経験を積めばよいのか? できるだけ大きな組織に属して欲しいと思います。縦社会の中で、いかに自分の意見を主張するか。上の人とバトルするのも良いです。相手を怒らせると本性を見ることができます。本当に能力のある人間は、若者が食ってかかっても怒りません。逆に食ってかかったことが恥ずかしく思うくらい上手にあしらわれます。そんな経験も非常に重要だと思います。また医療職はプライドの高い人たちが多いので、そのプライドを守りつつ、相手の考えを変えさせる術も学んでいくべきです。私の尊敬する先生が「相手を変えるには、まず自分を変えること」と言っていました。簡単なことではありません。しかし、理学療法士である前に一人の人間として成長すべき期間として働いていただければと思います。

 まとめると、急性期から維持期まで一貫して患者をみられる、比較的大きな組織に就職し、理学療法士としての知識・技術だけでなく、社会人として成長することが大切だと思います。
 そして理学療法士としての知識・技術は、多く知っているに越したことはないですが、重要なのは基礎です。基礎とは、解剖学、生理学、運動学などの基礎の基礎から、理学療法の3本柱「運動療法・物理療法・基本的動作訓練」の原理・技術です。特殊な技術も多々あるようですが、基礎ができていれば、理学療法は可能だ、というのが私の考えです。特殊な技術の習得のために、高額な講習費を払って時間をつぶすよりは、基本的な技術を体得することの方が重要だと思います。
 以上、長々と書きましたが、書きつくせない細かい部分は、twitterに投稿していこうと思いますので、そちらも参考にして下さい。

2011年8月17日水曜日

視点を変えて「やるべき事」から「してはいけない事」へ

 これまでの隊員の活動は「ボランティア活動報告書」というもので確認ができます。これを書くことは「派遣に関する合意書」に定められたボランティアの義務であり、一般公開されるという側面から言えば、日本国民に対する報告義務でもあります。
 その報告書は2年間の派遣中に5回提出することになります。第1号は赴任3か月後、第2号は赴任半年後、第3号は赴任1年後、第4号は赴任1年半後、第5号は帰国前、に提出します。第2号報告書に活動計画表を添付する必要があるため、これを提出する12月末までに具体的な活動計画案ができればいいなぁと思います。
 私の配属されている病院には過去5人の理学療法士が日本から派遣されています。その人たちの報告書ももちろん一般公開されており、JICA地球ひろばなどで閲覧することができます。そこに書かれた問題点と、私が思う問題点は完全に一致していました。
  NGO団体である故の資金不足。低い給与。
  患者数が多く時間がない。
  医師の指示通りのことを流れ作業のように行う。
  理学療法を行う上での基礎知識がない。
  理学療法自体の知識がない。
  患者の評価を行わない。(行えない)
  カルテを書かない。(書くことがない)
など。
 上記の基礎知識がない、というのが致命的で、数学、物理などの知識がないと、筋の評価や、動作の評価などができないですし、物理療法の意義や効果も理解できません。また解剖学・生理学はもちろん、病気の知識もないので、血圧測定、腱反射、感覚検査の目的や重要性も理解できません。これらを解決するには分度器の使い方からまず教育する必要がありますが、非現実的です。なので、患者評価をドミニカ人理学療法士に行ってもらう事は不可能かと考えます。こう、早々に「不可能」なんて言ってしまうと、問題から簡単に逃げ出しているように聞こえるかもしれませんが、実際、過去の隊員たちが懸命に評価の重要性を訴え活動してきて、結果「困難極める」と判断してきていますので、同じことを繰り返すべきではないと考えます。
 評価ができないとなると、カルテに書くことが何もありませんので、「カルテを書け」と言うこともできません。初めての患者でいろいろ検査・測定などの評価をすればカルテに書くことが盛り沢山ですが、長期の患者で特に変化を見せない場合は、カルテに「著変なし」と一言書いて終わります。評価した結果の「著変なし」です。しかし、この国の理学療法士の場合は、評価していないので「状態不明。変化分からず」というカルテを毎日書くことになるでしょう。(何もカルテは評価したことを書くためだけにあるのではないのですが、カルテについては別の記事できちんと書きたいと思います。)
 「患者さんの評価をした上で治療プランを決めましょう」という、ごもっともな助言は無意味なものになるので、これまでとは違ったアプローチを考えないといけません。例えば、安静の大切さを伝えるなど、現地理学療法士が患者に与える害をいかに減らすことができるかを目標にしてもいいかもしれません。痛みを与えながらのストレッチは有害であること、頚損の患者を急に起こしてはいけないこと、低血糖症状の人に自主トレをさせてはいけないこと、などなど。「やるべき事」を教えるよりも「やってはいけない事」を教えて、事故のないようにすることなら可能かもしれません。実際、病院内での事故がこれまでどれほどあったのかは今、知らないので聞いてみようと思います。

2011年7月3日日曜日

引き継ぎ

ドミ共弁当(220円)
 以前、青年海外協力隊が交代として派遣される際に、引き継ぎがどのように行われているのか質問されたことがあります。質問されたときは、私も分からない状態でしたが、回答できるようになってきましたので、この場で回答させていただきます。
 職場が変わる際や、新人に仕事を託す際など、「引き継ぎ」が非常に重要になってきます。今行っていることが、「現状でOK」なのか「改善が必要なのか」。そしてそれぞれ、どのような経緯で今のやり方になっているのか。それを知ることで、過去にあった失敗や成功を活かして次に進むことができます。
 私は理学療法士養成校を卒業した後、就職した大学病院で、いろいろな仕事が与えられました。物品請求、修理依頼、朝のコーヒーの入れ方など、先輩に教えてもらいながら覚えました。すぐには全て覚えることは無理で、何度も聞いては覚えていきます。
 そして、次に私の後輩となるスタッフが入職すると、また同じように仕事を引き継いでもらいます。いかに分かりやすく、無理のないように引き継ぎができるかを意識して行いました。一度にたくさんのことを言っても覚えることは不可能だと、私が入職したときに感じたので、簡単なことから引き継ぐようにしました。そして簡単なことの中でも、今必要なことから実際にやってみながら教えることにしました。例えば蛍光灯が切れている場合、「蛍光灯の交換はどこに頼むか知ってる?」から引き継ぎが始まります。「これを書いて、そしてここに電話するんだよ」と教えて、実際にやってもらいます。
 しかし、この方法は、教える人と教えられる人が同時にいる場合のみ可能です。青年海外協力隊で、交代で行った際、前任者がもう帰国していない場合もあります。その場合の引き継ぎはどうなっているのか。私の例で書きますと・・・、
 私の前任者は3月末で日本に帰ってきています。そして私の派遣が6月末ですから、現地で顔を合わせることはありません。なので、直接話を聞くとしたら日本で、という事になります。前任者の連絡先は、派遣前訓練の途中で、知ることができます。そして派遣前訓練と派遣の間の短い期間に、アポイントを取って直接お話することができます。ただ住んでいる所が遠くて直接会うことは難しい場合もあります。私はたまたま前任者のブログを見つけ、早い時点から連絡を取らせていただきました。
 直接会ったり、メールでやり取りする以外に、報告書を閲覧する方法もあります。そこには、どのような所で、どのような活動をしているのかが書かれており、それは一般公開されています。JICA地球ひろばの図書室などに所蔵されており、コピーも可能です。
 また、任国に派遣されると、ボランティア調整員という方がいて、事情に詳しいです。任国のボランティア事業を広く見渡しておられるので、「今後、こことここの結びつきを強くしていきたい」とか、「こういう目標で今まで頑張ってきている」など、いろいろ話を聞くことができます。また勉強もされており、調整員の方から「AKA博田法」など専門用語も飛び出します。
 このように前任者からの説明、担当調整員からの説明、報告書の閲覧により、引き継ぎがなされます。これにより、これまでの流れを汲みとり、効率よく前進することができるようなシステムになっていると感じます。
 私の場合、派遣される病院からビデオレターをいただき、早く行きたい、と胸をワクワクさせています。その前に明後日から始まる1か月の語学訓練で、しっかり実践的なスペイン語を身に着けようと思います!