理学療法士→青年海外協力隊→日本で臨床をしながら緊急援助について学ぶ(現在)→大学院?→国際協力をライフワークに
2011年3月11日より発生しました東日本大震災において、犠牲になられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々に対しましては、お見舞い申し上げるとともに、一日でも早くの復興を応援・支援させていただきます。
2016年4月16日より発生しております熊本地震において、亡くなられた方に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

<祝>当ブログの読者Y.Kさんが青年海外協力隊(24-1 モンゴル)に合格した、という非常に嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>当ブログの読者で青年海外協力隊を目指すMIDORIさんが理学療法士国家試験に合格した、というおめでたい知らせを受けました。もう同じ臨床家です。お互い頑張りましょう。
<祝>当ブログの読者KENJIさんが青年海外協力隊(25-2 タイ)に合格した、というまたまた嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>募集説明会で体験談をお話させて頂いた方2名も青年海外協力隊(モザンビーク、ベトナム)に合格したと再会時に報告がありました。おめでとうございます。
<祝>2013年JOCVリハネットセミナーで私の活動報告を聞いてくださったA.Kさんも青年海外協力隊に合格されました。おめでとうございます。
<祝>国際緊急援助隊に当ブログを見て興味を持って頂いたOTさん、青年海外協力隊説明会でお会いしていたOTさん、フェイスブックで私を見つけて質問して頂いたPTさんが仲間入りしました。みなさん青年海外協力隊経験者でした。

青年海外協力隊  体験談&説明会
  *当ブログの作者(ドミニカ共和国、理学療法士)は今回の春募集では体験談を話に行くことができませんが、興味をお持ちの方はぜひお越しください。私に質問がある場合は、関連する記事のコメント欄に質問いただければ、回答いたします。

国際緊急援助隊(JDR)医療チームへの参加に関心のある方へ
  *JDR医療チームはWHO EMT InitiativeのType2認証を受けており、リハビリテーションの提供が求められるチームとなっています。理学療法士・作業療法士で関心のある方、仲間が増えるとうれしく思います。

2016年9月22日木曜日

【WCPT News】完全版 2016/9/21 世界保健機関 ヨーロッパの疾病対策において筋骨格系の重要性を認識

 今月からWCPTのニュースを試験的に翻訳して配信しています。まずは、ニュースが公開されたらできるだけ早く要約版を公開し、その後、完全版をきちんと配信したいと思っています。(要約版はスピード重視で、完全版は正確性重視で、できるだけ補足も付けたいと思っています。) 新しい試みなので、皆さまのご意見もよろしくお願いいたします。

(2016/9/27) 完全版に書き換えました。要約版はそれに伴い削除しております。


【完全版】

 ヨーロッパにおいて、非伝染性疾患(NCD)予防のため、筋骨格系の健康を促進することが重要だと強調した世界保健機関(WHO)の新たな行動計画が9月15日に承認された。
 この計画では、ヨーロッパ地域における障害の最大の原因が筋骨格系の健康状態であるとの認識を示し、それが就業不能や高齢者の自立度の低下を招くとした。
 世界理学療法連盟(WCPT)のCEOジョナサン・クルーガー氏は「この提言を歓迎する。WHOが初めて、筋骨格系疾患由来の障害を減らす取り組みを各国が行う必要があると認識した。筋骨格系の健康は身体面でも健康を左右する。身体的に健康であることは、最大限の能力を使って生活するための前提条件である。」と述べた。
 この計画では教育戦略や産業衛生計画との統合を通して、全ての世代の人々に筋骨格系の健康を促進することを勧めている。また、在宅ケアを受けている人も含む高齢者の、全身の筋骨格系運動プログラムも、早期介入や自己管理とともに重要だと強調している。
 クルーガー氏は、「理学療法士は早期介入やリハビリテーションサービス提供において重要な役割を持っている。世界の健康保健制度において、理学療法士は移動能力の改善や健康促進における独自の地位を得ている。各国の理学療法機関は筋骨格系の運動促進に向けた国家計画の策定を支援する準備ができている。」と語った。
 スイス理学療法協会の会長、ローランド・ペレックス氏は、コペンハーゲンで行われたWHO地域委員会において、この計画を歓迎した。「理学療法士は身体活動をより促し、どんな障害にも合わせて運動を指導できる。多くの理学療法士は職域が拡大し、健康保健サービスの財源を節約しなければならない」と述べた。
 多くの国では、理学療法に対するダイレクトアクセスが認められており必要な時に必要なサービスを受けることができるので、早期介入の機会や機能障害のリスクを最小限に抑える機会がある。少なくとも40のWCPTメンバー国でダイレクトアクセスとセルフリファーラルが認められている。
 WHOと国際的および地域的に連携を取っている筋骨格系の健康のための国際同盟は、この計画をヨーロッパ各国に採用するよう呼び掛けを行った。また筋骨格系の健康の重要性が世界的に認識されていたと言うことも合わせて伝えた。


【用語】

・非伝染性疾患
生活習慣の改善により予防可能な疾患の総称で、日本でいう生活習慣病に相当。食事、運動、喫煙、飲酒などを原因とする高血圧や糖尿病、心疾患、脳卒中、COPD、悪性新生物(がん)など。
2008年にWHOが非伝染性疾患に関する報告書を作成し、多くは予防可能だと記載された。また、低所得層の国で多いことが分かり、国際協力の分野でも注目された。

・ダイレクトアクセス
ダイレクトもアクセスも日本語として定着している外来語ですが、アクセスについてもう少し詳しく見てみましょう。オックスフォード英英辞典ではaccessは「何かを得る権利・機会」と用法2で書いています。原文のdirect access to physical therapyは「理学療法を直接受ける権利」となり、日本のようにPTと患者の間に、医師の診察や処方を介さない、ということです。すなわち開業権と繋がってはくるのですが、ダイレクトアクセス=開業権ではないので訳すときは注意が必要だと思います。

・セルフリファーラル
患者自身が問題を感じて、自ら相談に行くこと。日本では、患者が直接、理学療法士に何かを相談に来ることはないですが、ダイレクトアクセスが認められている国・地域では、このセルフリファーラルで患者が理学療法士の所へ来ることができます。

・筋骨格系の健康のための国際同盟
運動器の10年Bone and Joint Decadeとして60ヶ国以上がネットワークを組んでいます。その中の組織で、筋骨格系に関する内容を取り扱っています。


【使われていた英語表現】

・The plan acknowledges that~
その計画は~だと言うことを事実だと認めている

・the burden arising from~
~に起因する障害(重荷・負担)

・Good physical health is a prerequisite to~
身体的に健康であることは、~の前提条件である

・residential care
在宅ケア

・early intervention
早期介入

・Physical therapists are crucial in~
理学療法士は~においてきわめて重要である

・minimanize the risk of functional impairment
機能障害のリスクを最小限にする

・embrace the plan
計画を採用する


【後書き】

 要約版を即座に公開しましたが、翻訳としては雑なものでした。コペンハーゲンをスイスにある、と書いたり等、いろいろ気がついた方もいらっしゃると思います。この翻訳配信は世界の理学療法事情を日本のPTさんがもっと手軽に手に入れられるようにと思い開始したものですが、同時に私自身の翻訳トレーニングという一面もあるということでご容赦頂きたいと思います。
 完全版では、日本ではあまり馴染みのない用語の解説や、原文の中からよく使えそうな単語やフレーズの紹介なども含めました。世界の理学療法事情を知るだけでなく英語の勉強の助けにもなれば幸いです。

【参考】

2016年9月8日木曜日

World Physical Therapy Day ( 9月8日)

毎年、9月8日はWorld Physical Therapy Day(世界理学療法の日)です。今年は「健康寿命を延ばそう」というテーマで取り組みが行われています。これは一般の人に対するキャンペーンで、理学療法が人々の生活をどんなに良いものにしてくれるかをポスターやパンフレットなどでお知らせします。
 ちなみに去年は「能力を最大限に使う Fulfilling Potential」、一昨年は「社会参加のための身体作り Fit to Take Part」という内容でしたが、日本ではあまりこう言った活動の認知度がPTの中でも低いようです。しかし今年は日本理学療法士協会の国際部が、ポスターやパンフレットの翻訳を行い、世界理学療法連盟( WCPT) のウェブページにJapanese versionとして正式に公開されましたhttp://www.wcpt.org/wptday-posters-japanese。これをきっかけにWCPTの活動にも興味を持ち、アンテナを張れるように多くの人がなればいいと思います。
 ところで、今年のテーマは英語で、Add Life to Yearsとなっており単語自体は簡単ですが、英語学習者でも訳しにくい表現かもしれません。もともとAdd Years to Lifeという表現があり、これは「長く生きる」という事を言っています。しかし、現代社会において世界的に平均寿命が延びてきた今、単に長生きを目指すのではなく、健康的に過ごす時間を増やそうと言う呼び掛けをするため、YearsとLifeを逆にしたスローガンが考案されたと私は考えています。
 WCPTの全てのニュースが日本語に翻訳されれば、それほど楽な事はありません。日本の医療状勢、経済状勢などにアンテナを張っておくだけでも大変で、日々の業務に追われているとあっという間に情報遅れになってしまいます。それに加えて英語で発信される世界の理学療法の流れにも注目しようとなると、めまいが起こってしまいます。誰かがWCPTの主要なニュースだけでも翻訳して配信してくれればいいのになと思います。私がやるか? 無理かなぁ。けど需要があるならやろうかな。試しに9月のニュースから。

2016年6月6日月曜日

熊本地震 海外NGOでのOTの活動

緊急援助においては、多くの日本の団体が様々な形で援助を行っていますが、それに加えて外国の団体も熊本に来て援助をして頂いています。今回は、海外医療系NGOに所属し活動した作業療法士(OT)の体験談を紹介します。このOTさんは、私の友人で、私のよき理解者でもあります。
今回所属した団体はアメリカのNGOで、医療系の人道支援・被災地復興支援を世界各地で行っています。この団体からプログラムオフィサー、公衆衛生の専門家、心理士、ITの専門家が来日しており、その他は現地雇用をしています。現地雇用がこの団体のチームの8割ほどを占めます。海外NGO故に通訳も現地雇用しています。
事務チーム、ロジスティックス・調達チーム、医療チームを作って活動しています。またアセスメントチームを多職種で作り、支援が必要な避難所を見つけます。実際、主に支援に入った避難所は2ヶ所だった、とのことです。
OTとしてアセスメントチームに入り、避難所の評価・ニーズ発掘に関わったり、各種情報共有会議に出たり、本業である作業療法を行ったり、活動範囲は多岐に渡りました。どの活動も重要なものではありましたが、やはりOTとして専門を生かした活動ができたときには、達成感や充実感を得ることができた、とのことです。
実際に行った作業療法の例の一つは、集団体操です。機能レベルを以前より上げるというのは、災害医療においては(できるに越したことはないですが)優先順位は低く、この集団体操では被災前の活動レベルに戻す、ということを目標にしていました。避難所の限られたスペースで、不特定多数の方が生活している場所で、活発に動き回る、ということはなかなかできません。散歩や軽い運動などを自ら行うように促しても、「こんなにみんなが大変な時に、散歩なんてできない。」「周りの目線が気になる」などの理由で、活動量はどうしても減少してしまいます。そのため、専門職が集団体操の指揮をとり、それがきっかけ・理由となって、運動に参加してもらうように誘導しました。
このときだけは心配ごとを忘れてもらおう、と体操だけでなく、レクリエーションも実施しました。レクリエーションを通じて、避難者同士の交流もなされ、避難所内での人間関係の改善にも繋がりました。このような活動は、1回完結ではなく、繰り返し行うことで、前述のような良い結果をより生み出せる、とのことでした。
また、この団体の活動の特徴として、現地雇用メンバーに、サイコロジカルファーストエイド(Psychological First Aid、以下PFA)を推奨していました。WHOなどが作成したPFAのガイドラインには「被災者の尊厳、文化、能力を尊重したやり方で支援するための枠組みを示す・・・どのような言葉をかけ、どのような行動を取れば、最も支えとなるのかを考えるための資料」と書かれています。(WHOのガイドラインはこちらから各国言語でダウンロードできます→http://www.who.int/mental_health/publications/guide_field_workers/en/) アメリカのNational Center for PTSDなどが作成したPFAのガイドラインもあり、この日本語版が兵庫県こころのケアセンターのホームページからダウンロードできます。(http://www.j-hits.org/psychological/)
この熊本での活動で感じたのは、情報収集の大切さ、情報共有の難しさ、チームとしての協業性の重要性、などだったそうです。また現地で支援をしている地元の方も、支援を受けている人と同様に被災者であることも忘れてはいけない、と強く感じた場面もあったそうです。
以上のように、外国の団体ではありますが、現地雇用の人材を生かし、熊本で多くの支援をしていただきました。このような外国のNGOが日本に来る事ができるのは、そのNGOの活動を支える支援者がいるからであり、その遥か遠くの見えない支援者様たちにも感謝したいと思います。

2016年5月8日日曜日

JRAT大阪 熊本地震派遣 報告会

昨日、大阪府理学療法士会が、現在も派遣中のJRAT大阪の活動についての報告会を開催しました。そもそもJRATとは、どういうものなのか、私自身、よく分かっていなかったのですが、報告会に参加し、様々な情報を得ることができました。
 JRATの始まりは2011/3/11の東日本大震災でした。発災後2ヶ月が経とうとする5/5に10団体が結束して作ったリハチームが現地の避難所に入りました。しかし、入ることができたのはたった3つの避難所でした。それは、あまりに派遣した時期が遅かったからです。発災後、すぐに行かなければ、ボランティアは必要なところに配備され、後から来た人には「もう間に合っています」ということになります。その教訓があり12団体が協力し、JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)を作り、平時からの備え(研修・啓発等)を行っています。
 財源は豊富にあるわけではなく、今回の熊本地震における派遣は、JMAT(医師会の災害医療チーム)の傘下に入り、災害救助法がカバーできる範囲での費用弁済される予定だそうです。しかし活動全てが自腹になってしまう可能性もある、とのことでした。
 JRATが全国レベルでの災害リハビリコーディネーター養成研修会を実施し、その後、各都道府県で地域JRATが発足しています。JRAT大阪は比較的活発に早い段階から活動をしているという話でした。
 今回の熊本地震の発災翌日4/15には東京にJRAT災害対策本部が立ち上がり、熊本にも現地のJRAT災害対策本部が立ち上がりました。発災後9日目には医師を含むチームが現地に入り、活動を開始しました。東日本大震災の時と比較すると初動がかなり早くなっています。
 リハ関係職種が災害医療チームに入る利点として、複数の報告者の発表を聞いてまとめてみると、次のようになります。
  1、リハトリアージができる
  2、廃用予防、生活不活発病の予防ができる
  3、ICFを用いた考え方ができる
  4、ADLに関しての知識が豊富
  5、環境設定が得意
  6、他職種との連携が得意
 リハトリアージとはリハ的な関わりの必要度に応じて被災者を選別することで、JRATのマニュアル(無料ダウンロード可→http://www.jrat.jp/images/PDF/manual_dsrt.pdf)にも記載されています。また被災者の疾患や生活環境によっては廃用症候群に至る可能性もあり、そうならないためのICFの枠組みでの思考が重要です。特に環境因子は大きく影響を与え、環境設定を適切にすることで廃用症候群を防げる、ということも分かりました。(前回の記事に書いた、自宅よりも動く環境になり被災前よりも元気になった高齢者の例)
 また、今回JRATは私が活動したAMDAが入っている避難所には介入をしなかった、とのことでした。AMDA医療チームにPTが入る前にJRATが訪問しリハ的な介入が必要そうな人の選別がされ、AMDAにPTが入ってから、そのPTに引き継がれたそうです。AMDAのPTは1か所で活動しており、他の避難所の状況はあまり知らなかったのですが、いくつかの避難所を回っているJRATから見ると、AMDAが入っている避難所は、衛生面・環境面・支援体制等が非常に整備され、「さすがプロの医療支援団体だなぁ」という印象だったそうです。
 今回の報告会で、AMDAで活動した自分自身の経験と、JRATから見た視点が融合できて、非常に勉強になりました。
 具体的な活動についても報告がありましたが、詳しく書くときりがないので、また別の機会に紹介できたらさせていただきます。

2016年5月3日火曜日

熊本地震 緊急医療援助 理学療法士編

 4月14日から続いている熊本地震により、被災された方々にお見舞い申し上げると共に、犠牲になられた方々およびその家族の方々にお悔やみ申し上げます。一日も早い復興を願い支援させて頂きます。
 私は4月28日から5月2日までの5日間、熊本の益城町にある避難所で医療支援をしているAMDAのボランティアスタッフの一員として活動させて頂きました。AMDAの医療チームは医師・看護師・薬剤師・理学療法士・鍼灸師・介護福祉士・調整員等で構成されています。
 前任者として2名の理学療法士が避難所で活動しており、私がその活動を引き継いだ形です。前任者は避難者の中からADLの低い方、低下するだろうと予想される方に対して離床を促したり、離床しやすい環境の整備をして下さいました。生活環境の改善として、ベッドが必要な方に医療用ベッドや災害支援用の段ボールベッドを設置しました。数に限りがあるベッドなので、優先度の高い方にできるだけ使って頂けるように、医師と相談しながら、また周りの避難者に了解を取りながら、トラブルにならないよう行われました。
段ボールベッド
慎重に行う必要のある事として、特別な・数に限りのある物資を渡す時に「どうしてあの人にだけ?」と思われないようにする事です。不満を口に出されない方もいる事も念頭に置いておきます。
 同様に、理学療法的な介入のし過ぎには気をつけないといけませんでした。「なぜあの人だけリハビリの先生が毎日来るの?」となってはいけません。理学療法士のボランティアが一人や二人では避難所の数百人をみることは到底できません。また、地元の医療に徐々にバトンタッチしていく必要があるため、地元で今後受けられる理学療法以上の理学療法も行うべきではないでしょう。
 私が行った活動は、段ボールベッドの作成や、前任者が行った環境設定のフォローアップ、共有スペース(出入り口や通路など)に潜む転倒の危険のある場所の修繕、要介護者の離床の促しやレクリエーション、震災により骨折した避難者の動作指導などです。
段差解消
 他の団体から歯科医や栄養士、福祉用具などの支援も頂き、また近隣の老人福祉施設で要介護者の入浴もして頂きました。
栄養師ボランティアとAMDA医師・PTによる聞き取り
(避難者様の写真使用許可あり)
実際、避難所で初めて災害ボランティアとして活動して気づかされた事があります。活動前は避難者の廃用症候群・生活不活発病を防ぐことが必要だと思っていました。しかし、避難所では、排泄は少し離れた仮設トイレまで行かないといけない、そのために普段は使っていなかった階段を使わないといけない、など、自宅にいるときよりも活動量が増える例が多くありました。「家じゃベッドからほとんど動かなかったけど、ここ(避難所)じゃ、たくさん動くから、ばぁさん元気になった」なんて声も聞かれました。廃用症候群や生活不活発病などと言うものは、避難所にいる時よりも、今後、仮設住宅に入ってからの問題なのかな、と感じました。むしろ今は若い人も高齢者もオーバーワーク気味なのだと思います。
 疲労や脱水などによる体調不良の方や、腰痛・肩こり・頭痛などの症状の方が多く、鍼灸師の方がかなり忙しく治療をされていました。
医療チーム回診
今回の活動は、JOCVリハビリテーションネットワークのメーリングリストに流れたAMDAからの理学療法士募集を見て、応募したことから始まりました。このような災害時緊急医療援助をしている団体はたくさんあると思いますが、私はあまりまだこの分野は詳しくなく、今後さらなる情報収集をしようと思っています。
 私の活動はたった5日間で終わり、支援できたことと言えば、ほんの少しのことだと思います。しかし、小さなことの積み重ねで前に進んでいくものだと思っています。チームの医師が「ホームランは打たなくてよい、送りバンドをするつもり」で活動しようとおっしゃっていました。支援は永遠に続くのではなく、減っていくもの・終わるものであり、地元の力で復興できるようになるまでの繋ぎであることを学びました。なので、私ができたことは少しのことでしたが、被災者の方の喜ぶ姿を見ることができたし、役に立てたのではないかと思います。そして、私自身も医療や福祉の原点を見たようで、非常に勉強させていただきました。
 この活動は、被災地の避難所を借りて、させて頂いた活動であり、決してやってあげた、という活動ではありません。被災者の方々に感謝させていただきます。

<リンク>
AMDA http://amda.or.jp/
 理学療法士に関するAMDA記事
  速報9 http://amda.or.jp/articlelist/?work_id=4983
  速報10 http://amda.or.jp/articlelist/?work_id=4989
  速報11 http://amda.or.jp/articlelist/?work_id=4993
  速報12 http://amda.or.jp/articlelist/?work_id=4995
  速報14 http://amda.or.jp/articlelist/?work_id=5012
 FACEBOOKページ
JRAT 大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会

2016年4月4日月曜日

フランス語

 義務教育で第二言語として英語を私たちは学習します。そして、第三言語(第二外国語)は青年海外協力隊で派遣される国の言語だとずっと思っていました。(大学に行った人は教養としての第二外国語は必修なんで勉強しているんですよね?) 私はドミニカ共和国でスペイン語を学ぶ事ができたので、次は独学で新たな外国語を習得したいと考えています。
 次に学びたいと思っていた言語は、フランス語か中国語でした。フランス語は、もともとアフリカで国際協力をしたいと思っていた事が影響しています。中国語は、日本でも街を歩いているとよく聞く言語であるし、ドミニカ共和国でもよく聞く言語だったという事が影響しています。
 そこで、フランス語と中国語のどちらをやろうか決めるため、まず一週間、いろいろな本やウェブサイト、体験レッスンなどを用いて中国語をやってみました。すると、なかなか面白いな、と最初は思いましたが、学習欲はあまり沸いてきませんでした。
 次にフランス語の学習を、同様に本やウェブサイト、体験レッスンなどで始めました。こちらは、言っている事と書いている事が違いすぎて、よそ者を寄せ付けない雰囲気がありました。しかし、フランス語の方は、どうしてだろう? これはどう発音するのだろう? これはどう表現するのだろう? など、次々に知りたいことが出てきて、いつの間にか、今月からのラジオ講座「まいにちフランス語」のテキストの定期購読を申し込んでいました。
 結局、言語の学習は、その言語を使って話したい人がいるかどうか、だと分かったような気がしました。中国語話者より、フランス語話者=アフリカの人と国際協力の分野で関わりたいという気持ちが、今回、フランス語に私を導いたのだと思います。
 また、先月の記事に書いたJDR登録も、新たな言語の習得のモチベーションになっています。緊急援助の現場で、標準語となるのは英語でしょう。しかし、スペイン語しか話せない・フランス語しか話せない、という人もいるかもしれません。そんなときにコミュニケーションが円滑に進めばいいな、とも思っています。

2016年3月8日火曜日

国際緊急援助隊(JDR)

 国際協力機構(JICA)は、ボランティア派遣事業だけではなく、非常に多くの事業を行っています。その一つが、国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief, JDR)の派遣です。JDRのチームには、救助チーム・医療チーム・専門家チーム・自衛隊部隊があり、それぞれの役割に応じて、被災国からの要請があれば、出動します。
 JOCVリハビリテーションネットワーク(PT・OT・STのJICAボランティア経験者の集まり、通称リハネット)からの情報で、JDR医療チームにおける理学療法士の役割に期待が高まっている、という話を聞きました。そこで、私なりにいろいろ調べて見ました。

①JDRについてはJICAのウェブサイトをご参照ください→ http://www.jica.go.jp/jdr/about/jdr.html
②最近の日本理学療法士協会からの会誌にJDR医療チームとして派遣されたPTさんの記事があります→ http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/activity/news298/298_20.pdf
③2015年のネパールの大地震における理学療法士の役割についての文献が、WCPTのサイトからリンクされていました→http://www.wcpt.org/sites/wcpt.org/files/files/Nepal-JOSPT-sept2015-editorial.pdf
④WHO(世界保健機関)の災害時の障害とリハビリテーションについての特設ページです→http://www.who.int/disabilities/emergencies/en/
⑤同じくWHOから。病気・外傷の発生からリハビリテーションに至るまでの範囲をカバーできるチームが必要、と7段落目に書かれています→http://www.who.int/hac/emergency_workforce_february_2016/en/
⑥国境なき医師団(MSF)のclinical guidelineです。MSFの医師が現場で遭遇するであろう疾患の、現場での診断方法や処方の仕方が書かれています→http://refbooks.msf.org/msf_docs/en/clinical_guide/cg_en.pdf

 大規模災害が発生すると、大勢の怪我人や病人が医療施設に集まります。医師や看護師は、できるだけ多くの患者を救うため、緊急時のマニュアルに則り対処していきます。しかし、場合によっては対応可能な患者数を越え、病院はパンク状態になるかもしれません。さらに、治療が済んでも帰る所がなく、病院に患者が留まる場合もあります。帰る場所があっても、松葉杖がないと歩けない患者もいるでしょう。車イスで帰ろうにも、道が悪すぎて進めない可能性も考えられます。病院の近くにいた方が何かあった時に安心、と動こうとしない人もいるかもしれません。
 そこで、WHOは、災害時の外傷治療のみならず、その後のリハビリテーションにも対応する必要性を認識し始めたようです。効率よく治療し、退院させ、次の患者を受け入れる、という回転率の向上が重要です。そのために、退院先として自宅がない患者を受け入れる施設の設置(リハビリセンターのようなもの?)や、病院へと繋がる道の整備、歩行補助具や車いすなどのデバイスの提供・フィッティング・使用方法の指導などを行わなければならないと思います。
 第50回PT学会で、今後理学療法士には「社会参加・国際貢献」が求められてくるという提言があったそうです。国際貢献として青年海外協力隊に参加する理学療法士が増えることを願うとともに、大規模災害時に活躍できる人材を増やすための啓蒙活動も今後、必要でしょう。その一つの方法がJDRに登録する理学療法士を増やすことです。
 JDRに登録する条件に、PTとしての経験が5年以上、英検2級程度以上、などがあり、おそらく多くの人が語学の面で自身のキャリアにJDRという選択肢を除外してしまうだろうと思います。また、外国に行ったことのない人も多く、初めての渡航先が被災国というのもハードルが高いでしょう。どんな環境でも適応できる、なんでも食べられる、どこでも寝れる、外国語でもコミュニケーションが取れる、などの資質を持った人となると、青年海外協力隊の経験者が最適なのではないかと思っています。今後、理学療法士の帰国隊員にはJDRについての案内を帰国時オリエンテーションで行ってもいいのではないか、と思います。
 WHOが先月に⑤を出したように、今まさに理学療法士の緊急援助での活躍が期待されています。「鉄は熱いうちに打て」。4月からJDRの仮登録が始まる予定だそうなので、私も登録しようと思います。